昭和音楽大学オペラ公演2014~V.ベッリーニ:夢遊病の娘 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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連休の中日、私は敢えてこの日に首都圏の音楽会を入れ 遠出をセーブして正解か?
台風の足音がゆっくりと来ているかのような空気が漂っていて、今日は長袖を着て失敗の蒸し暑さになりました。

そして向かったのは新百合ヶ丘。

平成26年度 文化庁 大学を活用した文化芸術推進事業
昭和音楽大学オペラ公演2014 
🎵V.ベッリーニ:夢遊病の娘(全2幕)

14時~
昭和音楽大学「テアトロ・ジーリオ・ショウワ」


今日は前から6列目(10列)のど真ん中という、願ってもない席。ちょっぴり字幕を見るには目を左右に振る必要があるけど 舞台よりちょっぴり高い位置なので、舞台を観て 歌を聴くにはベスト。

歌手の多くは大学院を出てすぐの若手たちばかり。
アミーナ 柏川翠
エルヴィーノ 岡坂弘毅
リーザ 木全瑞穂
ロドルフォ 小田桐貴樹
アレッシオ 市川宥一郎
テレーザ 吉田郁恵
公証人 工藤翔陽

指揮:ダンテ・マッツォーラ
演出:マルコ・ガンディーニ
昭和音楽大学管弦楽団
昭和音楽大学合唱団

この作品は過去に2回観たような気がする!うち1回は その当時 売り出し中だった若手有名美人歌手による公演で、歌は凄かったのに 演技が中学校の学芸会レベルで憤慨したのがいまだにしっかり頭に刻まれていて、第2幕の屋根の上で歌う場面の陳腐な舞いがどうしても忘れられません😱

そんなトラウマを抱えた場面をもつこの作品、先日も友達に「夢遊病…ってドニゼッティだよね!」と言い 笑われたくらい、ドニゼッティとベッリーニの区別がつかない私です。
でも、この2人の私には区別のつかない数々のオペラは 皆、私にはちょうど良いレベルで いつも安心して歌に酔いしれることができるのです。

今日は若手の力一杯の舞台になりました。
そこでの演技は 合唱を含めて 皆、堂々としたもの!
特にリーザの嫉妬心がメラメラ燃えるあたりは、終始 歌唱は少ないけど 舞台での表現から、合唱、つまり村人との方向性の違和感をしっかりと出していました。この作品での唯一 反対側に立つ役の心理を見事に見れる演出を見事に演じていました。
そして最後の場面では、リーザの心が素直に溶け込んでいくくだりも 主役の二重唱の反対側の舞台で展開させ、すべてをハッピーエンドに収める爽やかな演出となっていました。

また第1幕な幕切れでは、テレーザがリーザのスカーフを見つけ、アミーナを守る場面の動きなどは安定感抜群。このなかではベテランに入る 吉田さんの存在感がひとしおでした。

このように この演出では、歌い手以外の周りの役の動きで ストーリーを固めていく感じが強く、とても興味深く観ることができました。

舞台装置は モダンな幾何学的な背景や壁を移動させたり、それに光を投影させたりと、抽象的なつくりとなっていました。私的には古典的な舞台を期待したのですが…
ただ、第1幕でアミーナがロドルフォの部屋に入って来る場面では 照明が効果を上げていました。

歌唱では 主役のアミーナを歌った柏川さんが凄かったです。清楚な宗教曲や古典にピッタリの私好みの声。そして この中型のホール全体に響かせる声の強さもありました。
そして 第1幕のカヴァティーナでのアジリタも 丁寧に歌い上げたのですが、感動的だったのは 第2幕 フィナーレのアリア。完璧でした。私は好みの声質ということもあり、もうメロメロ😌💓♥❤

他にはエルヴィーノの岡坂さんも健闘。ちょっぴり高い音になると 声の質が変わっちゃいましたが、ホール全体を鳴らしていました。
残念だったのは 演技で光っていたリーザの木全さん。第1幕では声に張りがなく 合唱やアンサンブルでも完全にかき消されてしまう状態。第2幕のアリア以降、急に声に張りが出てきたので、前半がとても残念に感じました。

そして なにげに素晴らしかったのが 指揮のマッツォーラさん。歌手の微妙なテンポの揺れや呼吸のタイミングをピッタリと合わせていきました。
オケはちょっぴりヴァイオリンが怪しい感じもしましたが、ピットの中って考えれば 合格。それより舞台裏での管楽器が ピッタリと決まっているのに拍手でした。
でも、私がこの作品で一番ドキドキしちゃう アミーナが夢遊病の時に管楽器が伴奏する音楽(16分音符からの同音反復)がとってもチャーミングに決まったのが メチャメチャ嬉しかったです!

このように若手中心で 舞台上の役との年齢がピッタリで 舞台を見ての違和感をまったく感じられない、夢のような優れた舞台が4800円ですから、大満足。

やっぱり この時代のオペラが観るなら最も満足するところ。ドイツではウェーバー、フランスではボワエルデューやエロール。フランスの作品が日本ではほとんど紹介されないのが ことのほか残念です。