第20回 首都オペラ公演歌劇『ミニョン』:神奈川県立県民ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

~君を知るや…~

まだまだ蒸し蒸しの暑さの横浜。
午後から山下公園方面へ。


第20回 首都オペラ公演
👗トマ:歌劇『ミニョン』 

14時~
神奈川県民ホール

演出:三浦 安浩
指揮:渡辺 麻里
神奈川フィル
ミニョン:勝倉 小百合
フィリーヌ:古崎 靖子
ヴィルヘルム:大野 光彦
他 


トマの作曲で 序曲が有名。それにもまして ミニョンが歌う『君よ知るや南の国』は昔から日本の愛唱歌。
今回はフランス語の日本初演。
このオペラの上演を観る機会は、これからあるかわからない。

この珍しい作品、もちろん私も映像を含めて初めて観るのですが、今回の演出が 凝っていて、なんだかんだ 読み替えがあり、プログラムの演出家のノートを読まないと良くわからない。私はプログラムのストーリーだけ読んで臨んだので、観ていてが頭がぐるぐると飛び回ってしまいました。

そもそもわかりにくくしたのは、劇中劇にしたところ。今 帰宅してから演出家の書いた記事を読んで、なんだかよくわからない部分が1つだけ減ったような感じ…

開演前30分にホールに入ったところ、暗い舞台に衣装をつけた合唱団が立ち位置決めを行っている。と 思いきや、開演10分前に席に着くと、違う。これはすでに舞台が始まっている。
そう すでに『この演出』では、開場と同時に劇が始まっていたのです。

ベルが鳴り、聴衆が着席したとみるや ミニョンが駆け込んできて そのまま音楽が始まる。拍手のタイミングを失って。

オリジナルのストーリーと音楽は、思春期のミニョンと、青年 ヴィルヘルムの奔放な生き方の中での恋愛物語。ゲーテの原作とは微妙に異なる、最後をハッピーエンドにしたストーリーは、日本で言うなら 寅さんか。

中で歌われる曲は序曲にも入った、ミニョンの『君を知るや南の国』に、フィリーヌの『私はティターニア』の他にも、素敵なアリアが散りばめられていました。それもレチタティーヴォとテンポがほとんど変わらずに続くアリアは、いかにもフランスのロマン派オペラっていう感じ。
オーケストラも金管はコルネットのみの、木管中心の柔らかい響き。

今回はストーリーの読み替えがあったので、その部分の感想を省きます。

舞台はしっかりした大掛かりなものでしたが、幕ごとの組み替えは無し。
照明のちょっぴりどぎつい色は、劇中劇だからか。

歌手はみな、県民ホールという バカでかいホールに負けてしまい、残念。新国の中ホールくらいだったら、充実した歌唱になったでしょう。
しかし演技は見事。演出家の意図した動きが細部までしっかり。わからないのは私の予習というか能力不足。

早めにチケット購入して良い席で観れて、満足。

ただ そんな『良い席』1階のピットから10列目 なのに、オーケストラが大きめで歌を消すのは、歌手の力不足か、指揮者のバランス感が悪いのか…

『ミニョン』をもう一度、正攻法の演出で観てみたくなりました。
作曲技術などを言えば、2流作品とレッテルを貼られそうですが、耳には本当に優しい 素敵な音に包まれた作品でした。