神奈川県の木、イチョウの黄葉ももうお仕舞い。木々は冬の装いになってきました。そして、町にはキラキラと派手な電飾がいっぱい。
今日は日暮れのあとに、桜木町へ。
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 定期演奏会
みなとみらいシリーズ 第345回
19時~
横浜みなとみらいホール
指揮:パスカル・ヴェロ
ヴィオラ:大島亮(首席ヴィオラ奏者)
HPの紹介文は
~フランス音楽の旗手/度重なる名演の想い出~
「ボレロ」「幻想交響曲」「オルガン付き」「ラ・ヴァルス」・・・色彩の魔術師パスカル・ヴェロが神奈川フィルと成し遂げた数々の名演が、マエストロのパーソナリティーと合わせて忘れられない想い出となっている方も多いのではないのでしょうか。フランス音楽の大作をメインにした今回のプログラムも、既に名演の予感がしています。神奈川フィルの特別契約首席ヴィオラ奏者大島亮を独奏者とした「ベルリオーズ/「イタリアのハロルド」は、フランス音楽ファンのみならず、神奈川フィルファン必聴の演奏となること間違い無し!あの感動をもう一度。
今年度、神奈川フィルの定期演奏会は なんとこれだけしか予定が入っていません。日程とプログラムが合わずに、地元のオケなのに なかなか行けないということになってしまいました。
そんな中で今日の公演は外せないもの。私の中では日本で活躍している指揮者のひとりとして数えているヴェロさんで、ベルリオーズのお気に入りの曲に加えて、ハイドンなんですから!
今日はしっかりと聴きたいので、1階7列目中央(私的に最高の位置)で聴きました。
今日のコンサートマスターは石田様。ヴィオラが上手手前の通常配置。
まず最初は
🎵イベール:交響組曲『寄港地』3つの交響的絵画
イベールで知っているといえば、中学時代に買ったLPに入っていたディヴェルティメントくらい。寄港地も、聴いたことはあるはずですが、記憶にはない作品。
第1曲ではオケのギリギリの弱音を聴くことができました。ミュートをつけたトランペットの音が印象に残りました。
第2曲はヴィオラのコル・レーニョとオーボエソロの異国情緒あふれる雰囲気が、いい感じ。ここでは弦楽器を半分に刈り込んだ軽さを持たせた響きは 暖かい空気を運んでくる様に感じられました。
第3曲は色彩の鮮やかさ、特に打楽器の心地よいバランスで響いてくるリズムと音が生き生きとして届きました。
続いて
🎵ハイドン:交響曲第44番 ホ短調 Hob.I:44『悲しみ』
イベールが終わったあと、オケの全員が退場しちゃうので「あれっ?」て思っていたら、第2ヴァイオリンが上手から出てきました! なんとここで、第2ヴァイオリンとヴィオラの位置を交換。10-10-6-6-4のチェロとコントラバスを上手奥に置く 両翼配置になりました。
この両翼配置が、特に私の座席では、めちゃ効果的でした。
第1楽章、ヴェロさんのテンポは速め。16分音符で駆け回るところ、第2ヴァイオリンが第1ヴァイオリンと対話しながら呼応するところで、第2ヴァイオリンが追いつかない…ってこちらが青ざめたのは1回目、反復後は落ち着き、ホッ! 反復後のこの対話、16分音符のところから、ヴァイオリンの両翼配置の面白さがくっきりと浮かび上がりました。もちろん掛け合いだけでなく、ユニゾンでの音の広がりも抜群。
クレシェンドを細かく組み入れた滑らかな表情はモダンオーケストラにピッタリ。そして高音でピーンと張られた糸のようなホルンの信号音も、安定した美しさで聴けました。
遅めのテンポで歩んだメヌエット。メヌエットの後半、オケ全体の休みのあと、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンがユニゾンで ppで そーっと始まるところ、同じフレーズを2回繰り返す その2回目を、第2ヴァイオリンをはっきり、第1ヴァイオリンをさらに弱音にするという繊細な表現。背中がゾクゾクしちゃいました。なおダ・カーポ後は両ヴァイオリンともさらに弱音とするなど、反復前後で同じようにはしない 繊細な変化まで楽しめました。
長調のトリオは、短調のメヌエットとの明暗の対比より、明るさの中にある影を管楽器から浮かび上がらせた響きがくっきりと聞こえてきたのにはしびれました。
弱音器の音色が魅力の第3楽章。ヴァイオリンの32分休符がはっきりと、リズムの輪郭をくっきり描いた音が楽しめました。ハイドンの葬儀で使われたという伝説、哀悼、悲しみのタイトルにとらわれない音楽がここでは新鮮でした。明日の音楽会でも聴くこの楽章、その演奏とはまったく正反対になりそうな予感は、私だけの楽しみになりました。
ここでも提示部を反復。反復後、石田さんがちょっぴり浮かび上がるように、あるフレーズを演奏したのがめちゃ素敵でした。
プレストの終楽章は、走りすぎない安定した立体的な音楽が良かったです。ここでも石田さんがソロっぽく出るところがあり、最初は「力が入りすぎたのかなぁ」と思うも、それがひとつのフレーズのみで、反復前後で変えているあたりは、意図的な感じも。これはヴェロさん? それとも石田さん? いやいや第1ヴァイオリン全体? まさか副指揮者の阿部さん? 誰の判断かはわかりませんが、私には暗い空間に差し込む一筋の光みたいな効果として届き、とても綺麗に響きました。
モダンオーケストラのハイドンの最高の演奏を聴くことができました。
後半は
🎵ベルリオーズ:『イタリアのハロルド』~独奏ヴィオラつき交響曲 作品16
中学時代にFMから録音をして、好んで聴いていた曲。実演では1度、読響の定期会員だった時代に、定期か名曲の公演で聴いたような記憶がおぼろげにあるだけ。
冒頭のチェロとコントラバスが混沌として、ちょっぴり焦りましたが、それはここだけ。第4楽章の同じフレーズのところでは しっかり決まりましたので…
その後は色彩鮮やかな音楽にどっぷり。
第2楽章の敬虔な音楽。鐘の響きが遠くから響くピーンと張ったような音が印象に残りました。
第3楽章では管楽器の色鮮やかな音色が素敵でした。
終楽章は生き生きとしたリズムが躍動しました。後半、舞台裏からのヴァイオリン2本とチェロの音色は田園の彼方からの響きのように聴こたのにはゾクゾクでした。
大島さんのヴィオラは、安定した潔癖な音楽。正確で楷書的な音楽が好印象。ただ私的には、ヴィオラソロには旋律的より言語的な表現を期待したので、ちょっぴりズレちゃいましたが、それは許容範囲内でした。
今日の前半、ヴェロさんは真っ赤なメガネ。石田さんは真っ白なメガネ。「年末なので紅白なんですか?」と突っ込みを入れたくなりました。めちゃ個性的なお2人に、目からも楽しめました。
ちなみに神奈川フィルのTwitterでは、ヴェロさんの譜面台の向きが逆ってチェックが入ってました。仙台フィルでそれは普通に見ていた私には目からうろこ。この方がスコア捲りやすいから…
神奈川フィルとヴェロさんという、私の好きな組み合わせ、めちゃ楽しめました。
ホールから20分、今夜の暖かい家までの散歩は気持ち良かったです。


