神戸市室内管弦楽団 第145回定期演奏会:神戸文化ホール 中ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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朝イチのJALで伊丹へ🛫
土曜日なので満席でした。
まずは床屋へ✂️💈頭さっぱり。

今日は三宮でお友達と待ち合わせをして、お昼。そのあと地下鉄で大倉山へ🚃💨


神戸市室内管弦楽団 定期演奏会 (145回定期公演) 
~新しい美学の先導者エマヌエルとハイドン~

14時~
神戸文化ホール 中ホール


指揮及びチェロ独奏:鈴木 秀美
神戸市室内管弦楽団
コンミス:小川 響子


今日の演奏会は、神戸市室内管弦楽団の音楽監督、岡山先生の追悼演奏会という意味合いもある会となりました。
岡山潔先生は、ドイツから帰国して読売日本交響楽団のコンマスに就かれた時が ちょうど私が大学生。私の読売日本交響楽団の定期会員の時期。私の席は東京文化会館の1階1列14番と、コンマスの真横ということもあり、勝手に親近感を持っておりました。
私が岩手県に転居して読響の定期会員を終える頃、岡山先生は藝大の先生に。
そして私が岩手から横浜に戻る頃、神戸ではボッセ先生が素晴らしい古典派の演奏会を繰り広げ、私の関西行きが恒例化。そしてボッセ先生のあとに神戸の音楽監督となられたのが岡山先生。
そしてこの数年は、玉川学園前近くの岡山先生のご自宅のホールでの小さなコンサートにもお邪魔するようになり、これからはそちらを優先して音楽会を組み立てようかと思った矢先。
本当に残念でなりませんでした。
今年は岡山先生の他、やはり中学時代からハイドンの演奏会などで聴かせていただいた、ソプラノの嶺貞子先生の訃報も。お二人とも(藝大の先生で)先日までお元気な姿を見ていたのに…
今日の鈴木秀美さんも藝大の先生つながりで 昨年から神戸への招聘になったのでは…と思っていたところ。


ホールに入ると、正面、大ホールの前に献花台が置かれていました。もちろん私も、ご挨拶をさせていただきました。

今日の席は、前から6列目の中央。ちょっぴり高さは足りないものの、舞台からの距離はちょうどいい離れ具合。ヴァイオリンの両翼配置がしっかりわかるところ。ちなみに 昨年の12月の公演で、チェロ奏者がエンドピンを外して演奏してびっくり(前日の飲み会で決めたと仰っていた!)でしたが、今年も、事前にお話しができていたのでしょうが、やはりエンドピンなしで演奏していました。

最初に岡山先生を悼んで
🎵F.J.ハイドン:交響曲 第44番 ホ短調 Hob.I:44 「悲しみ」第3楽章
(神戸市室内管弦楽団音楽監督 岡山潔への献奏)
昨日の神奈川フィルのリズミックな演奏とは対照的でした。なお、昨年12月の秀美さんの神戸(ここ)でこの作品を演奏したばかり(つまり再演)。
旋律を存分に聴かせてくれる、弱音器つきの温かで優しい音色のハイドン。後半、管楽器が加わった時、岡山先生が天国の窓からホールを笑顔で見ている様に思えました。
岡山先生、読響や神戸で、素敵な音楽をありがとうございました。

次に秀美さんのチェロで
🎵C.P.Eバッハ:チェロ協奏曲 イ短調 Wq.170,H.432
この作品は、エマニュエル・バッハ特有の明暗、動静の対比の際立った曲。秀美さんはソロが休みの時も リピエノを演奏するスタイル。つまり現代の協奏曲とは異なり、オケのトップ奏者がソロの部分を受け持つという感じ。私的には 古典派の協奏曲はこれこそが『原典版』。使用スコアや楽器も大切ですが、スタイル(やホール)も考えなくてはいけないと思うので。
今日の秀美さんの率いるオーケストラは、そんなチェロを包むような温かな対話が充実。仲の良い親友が お互いにからかいあって、そう、漫才を聞いているかのような愉しさあふれる時間があっという間でした。

休憩のあと、ハイドンの交響曲が2曲
🎵F.J.ハイドン:交響曲 第26番 ニ短調 Hob.Ⅰ:26
“ラメンタツィオーネ(哀歌)”
第1楽章は主旋律がオーボエと第2ヴァイオリンという組み合わせで第2主題を奏でるという珍しいスタイル。そこではオーボエを支える第2ヴァイオリン。第1ヴァイオリンは分散和音での応援スタイルですが、今日はそのバランスがめちゃいい感じ。音色がそこだけフワッと軽くなったようなところが絶品でした✨ 再現部の第2主題のところ、短調から長調に転調するのですが、私は 雲の隙間から突如光が降ってくるような効果を期待するのですが、今日はそこをサラッと流したように感じたのにはちょっぴり肩透かし。予想とは異なるところがあるのが秀美さんの魅力です。

美しい旋律の第2楽章。オーボエのソロが絶品。そしてオーボエを支える弦楽器の表情豊かな『刻み』。第1ヴァイオリンの3連符が雄弁。ちょっぴり掛けたビブラートのお洒落さに 6人のしっかりと揃った安定した音。そして後半、第2ヴァイオリンが3連符で入ってくる時の温かさ。第1ヴァイオリンに「お疲れ!」って寄り添ってくるような愛情を感じました。
なお、今日 絶品のオーボエを吹いたのは、なんと私にはおなじみの、新日本フィルの金子亜未さんでした。だから安心して聴けちゃった?

メヌエットの第3楽章。ここではトリオがめちゃ楽しめました。ヴァイオリンの三重音(突然のfの箇所)は もちろん全員に(分けずに)3つの音を弾かせ、その最後の音を正しいリズムの位置に置くので、装飾音のような効果。それは花火が打ち上げられる様。すると直後に8分音符が2音のスラーを伴って2小節で落ちていくのは 重力と空気の力くらべを見ているかの様な楽しさ!秀美さんの音楽そのものが聴けました。

そして今日のメインは
🎵F.J.ハイドン:交響曲 第86番 ニ長調 Hob.Ⅰ:86
この曲を神戸市室内…で前回聴いたのは、2007年6月17日に 松方ホールでのこと。この時のボッセ先生の名演奏は忘れられません。それと比較してはいけませんが、同じオケなので どうしても比較しちゃいました。
ボッセ先生は本当に自然で、流れるように優しいリズムで心地よい音楽。
今日の秀美さんは、アグレッシブでハイドンの面白さを「これでもか~💪」と強調してくるもの。基本のスタイルがまったく異なりました。
例えるならば、ボッセ先生は 冷たいぶっかけうどんで、秀美さんはカレーうどんのようなもの。これでうどんの麺の美味しさを比較せよって 無理でしょ😁
でも、今食べたいのは、どちらかといえば、私はぶっかけうどんかな~

そんな過去との比較はそこまで! 今日の86番は めちゃ楽しめました。
第1楽章の序奏、木管と弦との和した音色の美しさに耳を奪われました。
アレグロの主部ではハイドンらしい緻密な構成で組み立てられたもの。第1主題では細かく動きまわる第1ヴァイオリンの正確無比のリズムと、それでいて雄弁に語られた旋律。それに対して全楽器が第1ヴァイオリンに打ち付ける楔の力の大きさがバランスが良すぎる!まわりから押す力が同等なので中心が動かないってところ。
それに対して第2主題、アグレッシブならテンポを落とすなど…を期待したのですが、そこまでエグい表現はせず、ある意味 ホッとしたのですが、残念でも…

カプリチョと書かれた第2楽章。通作形式で様々に顔を変えていく 七変化のような楽章。細かく書くとキリがないので省略しますが、それぞれの部分での語りの雄弁さに脱帽。ここでは木管楽器の、特にファゴットの太郎冠者のような、語りが聴きものでした。

今日の白眉が第3楽章。反復を(ダ・カーポ後のメヌエットまで)完全実施。その1回毎に表情を変えていくので、飽きるどころか、ワクワクがどんどん高まりました。
トリオでは前半の(ここには反復記号がない!)2回目の主題提示の時に主題を演奏する楽器のバランスを大きく変化させました。
ここまでやるのなら、反復時に弦楽器をソロ(ソリ)で音色や装飾を加えるくらいの変化は私の希望。それは『楽譜に忠実』な秀美さんには禁句でしょうか…

充実極まりない3つの楽章を受けての終楽章。もちろんハイドンの緻密な音楽は、山紫水明の景色を見るが如く。ここでの私の一番のワクワクの瞬間は第2主題のヴィオラ。44小節から48小節のあたままでのEの音。民族音楽的な響きを強調、ハイドンはパリにバルカン半島の香りをそっと加えたところを、秀美さんはドバッっと強調。私はブホッって笑っちゃいました。

いやー、ハイドンの緻密で定型にはまった交響曲。まるで幕の内弁当の玉子焼きや蒲鉾、そしてご飯までにとてつもない味付けをしたかの様。驚きと発見の86番でした。
でも私はやっぱり、崎陽軒のシウマイ弁当が一番好き🍱

終演後、お友達とともに秀美さんのサイン会に。お友達はCDに。私はもうサイン無しのCDが無いので、チラシに。すると秀美さん「今日も出席」って、『出』の一文字🤣 最高~
「86番のメヌエット最高でした」と伝えると「後半のメヌエットの反復、練習まではしなかったけど、本番で急遽やることにした」って(26番はダ・カーポ後は反復なしだったので、?ではありました)。ワクワク感があるはずです!
そして帰ろうとすると客演コンミスの小川さんのお顔が。仙台のコンクール、セミファイナルでの感動と、先日のコンクールでの優勝のおめでとうを伝えたく、ちょっぴりお話しとサインをいただいちゃいました(コンクールのCD持ってくれば良かった😢)。初めてのコンミス、ビブラートを極力廃した演奏、大変だった様ですが、そんなことをまったく感じさせない演奏でした。

↑出席確認つき! 今年度の単位、大丈夫かな?

帰りにお友達と夕食。
日が暮れた天王寺で旅館に行こうとすると、天王寺公園が光の洪水✨ちょっぴり寄り道。


そういえば、ルミナリエと1週ずれたのが、残念。今年はルミナリエ、パスになりそう。