はいどん楽遊会 その二十六:雑司谷拝鈍亭 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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昨夜は安心してカーリング中継を見れました。LS北見の戦い方は、ハウスにストーンを溜めない方が良いと思うのは私だけ? 日本の選手のストーンって、見ていると軽そうに見えるから、ダブルテイクアウト以上が厳しい感じがしたので…
第10エンドも負ける感じがなく、最後まで見れました。
勝ちの一番のポイントは、第9エンドの最後をテイクアウトさせようとしたエンド運び。イギリスは第9エンドで点数を取っちゃうと、第10エンド 日本が後攻になっちゃうから。それは第10エンド イギリスに無理な選択をさせたのにつながりますよね。あの1点のままだと エキストラエンドで日本が後攻になってしまうから。
日本の後半の試合運びは絶妙でした。

83年に網走から常呂の栄浦までヒッチハイクをした時に、カーリング選手にスカウトされて以来、カーリングを応援し続けて、本当に良かったと思った瞬間でした。
そんな興奮冷めやらぬ今日は、カーリング女子のスウェーデンの優勝を確認して、 午後から都内へ。


はいどん楽遊会 その二十六

17時~
雑司谷拝鈍亭

楽遊会弦楽四重奏団
若松夏美、竹嶋祐子(ヴァイオリン)
成田寛(ヴィオラ)
鈴木秀美(チェロ)


いつもの拝鈍亭でございます。
今日は満席の盛況。小さなホールは暑いくらい。ガット弦には酷な環境。

最初の曲は
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調 作品9-2 Hob.III:20
柔らかな変ホ長調の響きで開始されるモデラートの第1楽章。第1主題のコデッタのシンコペーションは波に揺れる光の様。第2主題では転調による陰影がきれいでした。初期の曲なので第1ヴァイオリン中心になりました。
単純なリズムのメヌエットに対して、3連符がアクロバティックに駆け回るトリオが対照的な第2楽章。テンポの変化はつけませんでした。
幽玄なアダージョの序奏をもつ第3楽章。通作形式のカンタービレと題された主部は 第1ヴァイオリンが歌う美しいセレナード(協奏曲)。後半にはアインガングとカデンツァ挿入可能な箇所もありますが、若松さんは控え目だったのが残念。ここでは伴奏が(第2ヴァイオリンとヴィオラ対チェロで)交互に入るところの繋がりが絶妙でした。
アレグロの第4楽章はハイドンらしいお茶目なソナタ形式の音楽。1拍目に休符が入った伴奏の柔らかさとの対比が楽しめました。

秀美さんのお話のあと
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品33-6 Hob.III:40
6/8拍子の狩のリズムから開始される第1楽章は少し遅めに感じたのですが、どこか懐かしい雰囲気の第2主題にはピッタリのテンポで決まりました。ここでは秀美さんのチェロの長~い持続音からの表情が生きていました。
通作形式のアンダンテの第2楽章は、私は精巧なつくりの秀作と思っています。それは序奏のようにも聴こえる(第1ヴァイオリンの5小節にもわたるAの持続音で開始される)冒頭の10小節の間に、第2ヴァイオリンが主題を演奏。11小節目からの第1ヴァイオリンが明快な旋律(耳では第1主題)を演奏し、それを受けて第2ヴァイオリンが奏でる動機(耳では第2主題)は冒頭の第2ヴァイオリンの主題!こんな遊び心をもつこの楽章、今回はちょっぴり真面目にわかりやすく(冒頭は第2ヴァイオリンをはっきりと)演奏されました。しかし、ここでは竹嶋さんの潤いのある音色を存分に聴くことができました。
スケルツォと書かれた第3楽章。今日はおとなしめの演奏。スケルツォよりもチェロが最初に引っ張るトリオの方が躍動感がありました。
アレグレットの似非二重変奏曲の第4楽章。とってもかわいい第1主題がしっかり変奏されていく姿が楽しめますが、その形式がちょっぴり歪められているあたりがハイドンらしい面白さ。なので ここはもう少し遊び心があっても良かったようにも感じられました。

休憩のあとは
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品71-2 Hob.III:70
雄大さがこの作品の魅力!
4小節の序奏の響きの充実感はピカイチ。ガット弦の柔らかな音がホールに満ちました。そのあとのアレグロの主題が、秀美さんのチェロ~ヴィオラ~第2ヴァイオリン~第1ヴァイオリンと1拍遅れてカノン風に出るところのリズムの生気は抜群。そのあとは強固な歴史的建造物を見る様な大きさを感じるガッチリとした音楽が最高。
アダージョ カンタービレの第2楽章は今日の白眉。第1ヴァイオリンのカンタービレに3つの楽器の装飾が綺麗なレースをつけていく魅力と、展開部での転調の移ろいの美しさ。特にヴィオラの存在感の大きさが 音楽に立体感を与えました。
あまりにスッキリとしたメヌエットとトリオの第3楽章は楽器毎の対話が楽しめました。特に秀美さんのユーモアがなかなか。私的には装飾をもっと…と。なぜならこの作品のメヌエットではダ・カーポ後のメヌエットも反復したので。
アレグレットの第4楽章。ロンド形式かと思わせておいて、突然アレグロにテンポを上げて 力強くコーダを作り上げてまとめる唐突感はハイドンならではの意表をつく楽しさ。今日の演奏は 堅実なテンポ設定と組み立ての 安定感あるもの。ここは変にユーモアを探すことのない演奏でしたが、ハイドンの音楽そのものの魅力が伝わってきました。

今日は 作年末に体調を崩して 演奏活動をお休みされた 鈴木秀美さんの今年最初の舞台。楽しいお話とアグレッシヴなチェロは健在。5月下旬と6月上旬の大阪と東京の協奏曲を弾く演奏会、決まり!

音楽会のあとは お友だち3人との反省会。今日は私が音楽よりも カーリングのことばかりしゃべったような… お付きあいで会話にのってくれたお友だちに感謝。私は反省。