東京芸術劇場コンサートオペラvol.5ビゼー:歌劇『真珠とり』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は期待のオペラ公演。明日、二期会のオペラを目的に仙台から東京に来るというお友達を「絶対に観るべき」と1日早く来させたので、責任をもって東京駅でお迎えして、池袋へ。


東京芸術劇場コンサートオペラvol.5
ビゼー:歌劇『真珠とり』全3幕 演奏会形式
日本語字幕付フランス語上演、照明付

14時~
東京芸術劇場コンサートホール

レイラ(尼僧): 鷲尾麻衣
ナディール(漁夫): ジョン・健・ヌッツォ
ズルガ(ナディールの旧友、真珠とりの頭領): 甲斐栄次郎
ヌーラバット(バラモン教の高僧) : 妻屋秀和
コーラス:国立音楽大学合唱団(指導:工藤俊幸、秋山理恵)
管弦楽:ザ・オペラ・バンド
指揮:佐藤正浩


 
芸術劇場のHPの紹介文は
≪『真珠とり』は、ビゼーの代表的なオペラとして『カルメン』と並びヨーロッパでは上演される機会も多い作品である。しかし、我が国では1980年の藤原歌劇団、2005年フェニーチェ歌劇場の引越し公演で上演された程度と、美しいアリアや2重唱などが溢れる優れた作品ながら、ライブでの公演機会に恵まれてこなかった作品である。
今回、レイラに日本を代表する若手リリックソプラノの一人である鷲尾麻衣、ナディールには甘美な美声と持ち前のリリックな声が適役のジョン・健・ヌッツォ、ズルガにはウィーン国立歌劇場で活躍後日本に帰国し、その張りのある声で圧倒的なパフォーマンスを披露している甲斐栄次郎、ヌーラバットには、当劇場オペラシリーズの常連で、日本人離れした圧倒的かつ安定感ある声と演技力の大御所、妻屋秀和をキャスティング!
指揮は当シリーズで『ドン・カルロス』(パリ初演版日本初演)、『サムソンとデリラ』において上演機会の少ない名作品を公演、圧倒的なパフォーマンスで日本のオペラ上演史に大きな足跡を残した佐藤正浩がザ・オペラ・バンドと共に再登場、フランスオペラのスペシャリストとして、その才能と経験を再び披露する。
本物の『真珠とり』がいよいよ、13年ぶりに東京へ帰ってくる!≫
と、ありました。ビゼーといえばハイドンと並んで私の大好きな作曲家。異国情緒にあふれたこの作品は有名な割には 実演の機会は稀。配役はデビュー当時からファンの鷲尾さんはじめ、男声陣も文句なしの実力者を揃えての、今年度 最も期待(浜松楽器博物館友の会コンサート(中野振一郎+川田知子)を諦めちゃうくらい)の公演ですから!

舞台にはオケがコンサートの同じ。オケの配置はチェロとコントラバスを下手に置いたヴァイオリンの両翼配置。その前方に(指揮者の左右に2つずつ)譜面台を置いての歌唱。合唱はオケ後方にソプラノ~バス~テノール~アルトという弦楽器の音の配置と同じ。ただ、第2幕では前方に女声、後方に男声という配置で、舞台上でミックスされた合唱の響きで届きました。
字幕は舞台後方、パイプオルガンの下側、に投影されたので、前方席でも違和感なく観れました。

今日は1階4列の中央やや下手側(お友達は2階の後ろ寄り)で観ました。

この『真珠とり』も19世紀後半の悪しき伝統というべき、改竄された版が20世紀の公演で使われてきた作品。今回どのような版を使うのかと心配しながら行きました。
私がわかった範囲では、第1幕のズルガとナディールの二重唱で 叙情的な美しい前半だけが歌われ 友情を歌う後半がカットされました。これは改竄版でめちゃ残念。ただ私が一番危惧した最終幕の幕切れは ハッピーエンドの初演版。
つまり、初演版に一部 改竄版を組み込んだ演奏でした。

音楽は、前作のドン・プロコピオからのセレナードや合唱、交響曲の第2楽章のオーボエのソロ、さらには後の作品、カルメンのミカエラのアリアなどの作品の断片らしきフレーズが聴こえてきたりと、ビゼーの魅力がいっぱい。

4人の歌手は、みな好調。どのアリアも不満なく、存分に声の芸術を堪能できました。
第1幕では、後半をカットされた甲斐さんとヌッツォさんの二重唱のロマンティックな歌唱。
そしてヌッツォさんの『耳に残るは君の歌声』は、ゆっくり目のテンポで歌われた甘い声と最後の滑らかなファルセットが素敵すぎ。ただそれぞれの音をちょっぴり短めに処理したように感じたのは、私だけ?
第2幕では、冒頭の鷲尾さんのカヴァティーヌの懐古する心情を見事にあらわした歌唱に続いて、ヌッツォさんとの心情が刻々と変化していく二重唱。ともに圧巻!
第3幕は、優しさが垣間見れる冒頭の甲斐さんのアリアが素晴らしかったです。
その中で鷲尾さんだけは、衣装を第3幕で替えたり、小さな演技をしっかりと入れたりと『見る』舞台をも しっかり作ってくれました。第1幕から大きな真珠の首飾りをつけていましたが、これは第3幕第1場の大詰めの、母親に渡して欲しいと渡すもの、命を助けた男性からの贈り物、として外す演技もしっかり。

そしてさらに特筆すべきは、国立音大の合唱の安定感。fの箇所での男声合唱のテノールで 一部喉声が荒く聴こえてはきたものの、女声と混声ではしっかりとしたコントロールが効いていました。また、各幕で唱われた、舞台裏からの合唱も情緒豊かでした。

最後に 舞台では照明を装置として用いる旨が書かれていましたが、前奏曲の場面で 青い照明を揺らめかしたのは、水の中にいるような感じで 期待を大きくしたのですが、その後はさほどのインパクトもなく、最後の火事の場面も 赤いライトを使ったものの、ちょっぴり火の怖さまであらわされるとはいかなかった感じでした。

演奏会形式と打たれた公演なので 鷲尾さん以外は譜面台の前での歌唱に終始したのはちょっぴり残念。でも、この歌手たちの歌をS席6000円で聴けたわけですから文句なし、どころか大満足でした。


最後に…
お友達がひとこと
「このソリストの役って、みんな『あまちゃん』じゃねぇ?」
って。
残念、妻屋さんは『尼』ではなく『僧』
それに甲斐さんとヌッツォさんも『あま』って漢字で書くと『海女』じゃねぇ?


17時には池袋の駅に着けたので、予定では当日券での演奏会のハシゴでしたが、昨夜、オリンピック、カーリング女子、LS北見の3位決定戦が今夜 20時~なので そちらはパス。

🎌🎌🎌頑張れ日本🎌🎌🎌

に しました。