東北学院大学:時代の音 レクチャーコンサートシリーズ 第3回公演『未来から来た響き』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は久し振りに仙台へ。
寒波予報もあり、寒さ覚悟で駅に着けば そんなに寒くなく 拍子抜け!

お友だちと長町一丁目駅で待ち合わせ。
長町といえば、じゃじゃ麺。ニンニクいっぱいのお昼。


お腹を満足させ、五橋へ移動。


東北学院大学 音楽への招待 時代の音 レクチャーコンサートシリーズ 第3回公演
『未来から来た響き』

14時30分~
ラーハウザー記念東北学院礼拝堂(東北学院大学 土樋キャンパス)


<この礼拝堂は隣の本館とともに重要文化財。ちょうど今は 礼拝堂のステンドグラスが改修中で見れなかったのが残念でした>



古典四重奏団
〈第1ヴァイオリン〉 川原 千真
〈第2ヴァイオリン〉 花崎 淳生
〈ヴィオラ〉 三輪 真樹
〈チェロ〉 田崎 瑞博
レクチャーの構成・お話 田崎 瑞博

東北学院大学の『時代の音』シリーズ。古楽系が多いなか、今年度は古典派から現代までの作品が対象。松明堂でハイドンを楽しんだ古典四重奏団の出演なので 行きたいと思っていて、日程的になかなか合わずに 最終回にやっと行くことができました。

 今回の主題は
『ドビュッシーは、印象派や象徴主義の造形芸術とも影響しあいながら、斬新なハーモニーの扉を開きました。その美しさの秘密に迫ります。
バルトークは、民族主義を近代の響きで捉えた、独自の芸術を創り上げました。それは、自然や宇宙を感じさせる壮大な世界観を持っています。
20世紀を代表する傑作を、丁寧にご紹介いたします。』
とある。私にすればハードル高めの時代の作品たちなので、レクチャー大歓迎。

今日は礼拝堂の前よりで聴きました。ここは椅子が固定されているのがいい。今回も課題曲に対するレクチャーと演奏。

前半の課題曲は
🎵ドビュッシー 弦楽四重奏曲 ト短調
レクチャーのタイトルは
・「牧神後」とは?

まず、弦楽四重奏で
♪ドビュッシー『亜麻色の髪の乙女』
が 演奏。
ドビュッシーこそが、バロックから古典、ロマン派と安定した音楽の構造を破壊した、第一人者である。

次に
♪ヴァーグナー『トリスタンとイゾルデ』
ヴァーグナーはそれまでのハーモニーでは自分の音楽が表現しきれないので、新たなハーモニーを作り、ハーモニーの領域を広げた。

♪ドビュッシー『弦楽四重奏曲』第3楽章の冒頭
第1ヴァイオリンの旋律に、旧態のハーモニーをつけると(チャイコフスキー風ハーモニー)。
そしてドビュッシーの記譜通り。
聴き比べ。
ドビュッシーの不安定さが如実に!

次にハーモニーの多彩さ。
♪ドビュッシー『弦楽四重奏曲』第4楽章中間部
ドビュッシーは6つ、7つのハーモニーを重ねていく。
微妙な色合いで描くことが化膿になる。

そして
♪ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』冒頭
新しい響きの形成。

そして、ドビュッシーの弦楽四重奏曲全曲の演奏。

レクチャーのあとに聴くことで、響きの多彩さと、その微妙な変化が楽しめました。その微妙さは、比較演奏を聴いたこともあり、弱音器をつけた第3楽章で際立ちました。
色彩の移ろいもですが、古典四重奏団のしっかりとした構築感のある演奏がとても良かったです。

休憩のあとの後半の課題曲は
🎵バルトーク 弦楽四重奏曲第4番 Sz91
レクチャーのタイトルは
・未来から来た響き

変革には何かの要因がある。ドビュッシーは1890年の『パリ万博』。ストラヴィンスキーは1914年の『第一次世界大戦』。その前年に書かれたのが
♪ストラヴィンスキー『春の祭典』
原始主義と言われる。しかしこの作品、拍も音階もある!
これまで破壊したのが
♪ヴェーベルン『6つのバガテル』第1楽章
12音音階。ドの優位性を無くす(音の長さも平等に)。

・聴覚は視覚に比べて『初めて』に対して受け入れるのが困難。新しい色彩、デザインはすぐに受け入れられても、新しい響きやリズムは拒絶傾向が強い。

ここで
♪バルトーク『弦楽四重奏曲第4番』の部分演奏とその目的。
第4楽章:拍子の破壊。日本人はここには対応能力がある。例:相撲の打ち出し太鼓のリズム。民族音楽には複雑なリズムは多々ある。
第1楽章:民謡からの採られたもの。半音階の重なり。それらの融合。
第3楽章:全音階を重ねていく、独特な響き。バルトーク 独特のハーモニー
第5楽章:バルトークの対位法。2音遅れでついていく。
そのような音楽を作る中で
・特殊奏法による効果
グリッサンド、スル ポンティチェロ、ピチカート・アルペジオ、バルトーク・ピチカート

このような複雑で難解な音楽、もっとも素直に反応するのが
『日本の子どもたち』
それはバルトークの音楽こそ、自然に近い音楽なのかもしれない。
モーツァルトの音楽は『精巧な人造物』。人造物と感じられないくらいの『人造物』。それは整数の倍数的な音楽。
それに対して バルトークの音楽は、素数の音楽。

そして、バルトークの弦楽四重奏曲第4番全曲の演奏。
5つの楽章からなるとっても難解な作品と思っていたのに、とっても愉しく、あっという間の5つの楽章でした。楽章ごとの性格がはっきりしていて明快だったこともありますが、生き生きとした古典四重奏団の演奏も良かったです。

とても充実した2時間でした。第1回目、第2回目を欠席したのを後悔するくらい。
今回は課題曲が めちゃ難解な作品だったこともあり、参加者が少なかったことが残念でした。

演奏会のあとは 地下鉄で仙台へ。お友だちとわかれてJRのコンコースに行くと ちょうどお土産屋さんのところに、宮城県では さとう宗幸と並んで有名なむすび丸くんと、南三陸町のオクトパスくんが。


オクトパスくんは『パス』に掛けて、受験のお守り的に人気だとか… 受験シーズンもあり、お買い物帰りのお母さま方がいっぱいでした。その人だかりに紛れて私も1枚📷

待たずに乗れた新幹線「やまびこ」の自由席は、付属編成の「こまち」車両に乗ったのでゆっくり。

↑軽い夕食は仙台名産のおにぎりで!

岩手在住時を思い出す 仙台日帰りの音楽会でした。