はいどん楽遊会 その二十三:雑司谷拝鈍亭 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
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気持ちの良い青空の大阪。
今日は近郊の山に行けば気持ち良いハイキングができるのに…と思いながら、天王寺から関西空港へ。


LCCで成田空港へ。梅雨に近いからと座席指定をしなかったのですが 左側の窓側になったのでラッキー✈

今日のフライトは、和歌山から高野山方面を東に向かうのではなく、仁徳天皇陵を真下に大和川に沿って柏原市から王寺駅の方向へ。


その後は名張から伊勢湾へ抜ける伊丹空港への着陸コースの上を飛ぶコース。陸地には雲が浮かんではいたものの、海に近いところは晴れていて、楽しい空の旅ができました。

↑御前崎上空からの牧の原台地

成田空港は てっきり第3ターミナルかと思いきや、雰囲気が違うし鉄道の駅までやたら近いじゃん、と 思っていたら、第1ターミナルでビックリ。フードコートで昼食の予定が…😱

京成本線で都内へ。成田空港~空港第2ビル間は四半世紀ぶりの乗車でした。
 
日暮里で遅い昼食をとり、池袋。少し時間に余裕があったので、散歩を兼ねて歩いて護国寺方面へ。


はいどん楽遊会 その二十三

17時~
雑司谷拝鈍亭

楽遊会弦楽四重奏団
若松夏美、竹嶋祐子:ヴァイオリン
成田 寛:ヴィオラ
鈴木秀美:チェロ
 


恒例の音楽会。

今日はとっても地味な作品が3曲並びました。最初の曲は
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調 作品20-2
ハイドンが気合いを入れて書いたことが手に取るようにわかる作品。
第1楽章の明るいモデラートの主題は どこかで耳にしたような民謡風でもある。その主題はチェロのあとに第1ヴァイオリンへと繋がり、次は第2ヴァイオリンと、3つの楽器の絡みがじっくりと聴ける楽章。
第2楽章は4つの楽器のユニゾンで開始。それに続くのはレチタティーヴォ!5小節目からチェロが語り始めるも、それを打ち消すかのように…と続くユニークな楽章。そしてppで終わるのか…と見せたあとに、第1ヴァイオリンが長く穏やかな歌を奏でてホッとするも、また中断させられ…と、オペラの場面を彷彿とさせる実験的な楽章。鈴木さんの大きな表現は まさにこの楽章にはピッタリ。
そしてなんか煮えきらないまま、第3楽章のメヌエットに逃げた様に休みなく繋がりました。メヌエットでは若松さんのの重音がオリエントの風を吹かせました。
第4楽章は4部のフーガと題された対位法を聴かせる楽章。なんと冒頭から129小節までのフーガの部分は すべてpという指示。しかし 鈴木さんのチェロは その中で様々に仕掛けてきて、耳はもちろん、目でも楽しませてもらいました。

ハイドンの創意工夫がこれでもか!と惜しげもなく詰め込まれた、当時にしては革命的であろう、濃すぎる作品が楽しめました。

鈴木さんのお話に続いて
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品50-5
作品20の張り詰めた作品のあとに、なんと可愛い曲なんでしょう。展開部冒頭では鳥の囀りのような装飾音が聴けたりと、ホッとする作品。
第2楽章は『夢』とあだ名されることもある穏やかな曲。平坦な第1主題と3連符の第2主題。その動きも音が順に並んでいるので 耳には穏やか。ソナタ形式ですが通作形式なので、あっという間。若松さんの艶消しされたようなヴァイオリンの音がピッタリでした。
第3楽章のメヌエットも穏やかで温かい曲。メヌエットの主題をパクって入る短調のトリオは 響きは変わるものの、旋律のコントラストは薄め。ここは落ち着いた演奏でまとめた感じ。
第4楽章では第1ヴァイオリンの3小節目と7小節目に
『1つの弦を使うこと』
という註がある。これって
『ド~ファ、ファ~ラ、ラ~ド、ド』
の『~』⬅(スラー)をどうするか、なんですね。弦だけでなく指まで1つにしてポルタメントを強調するか、趣味が宜しくないとして『指まで1つ』を避けるか…  実はこの楽章、前回の拝鈍亭のアンコールでやったのですが、その時は 若松さんが『超ポルタメント』で粘ったので 今日も期待したどころ、弦はそのままでも指を変えて、衝撃を和らげてしまって、残念。やっぱりポルタメントはハイドンの様式には合わない? 私は有りだと思うのですが…
作品50の中では こじんまりとした目立たない作品ですが、しっかり、キッチリとまとめた真面目な演奏が聴けました。

休憩のあと、鈴木さんの 第2楽章の『ロ長調』は#が多すぎて大変なんだ💦というお話を受けて
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品76-5
反復記号のない 変奏曲かと思わせるアレグレットの第1楽章。この楽章は3部形式かと思わせておいて、なんとそのあとにテンポを上げてアレグロが来る。交響曲第79番の第2楽章を思い出すユニークな形式。温かな主題が印象的。4つの楽器のバランスの良い響きが聴けました。
『ラルゴ』というこの楽章の速度表示がこの作品にタイトル付けされることもある、とても魅力的な第2楽章。反復の無い通作形式。ロ長調という遠隔調の穏やかな旋律が素敵な楽章。中間部で突如短調に転調する場面、古楽器だと まるで太陽が雲に隠されたかのような色の変化が明瞭になります。今日の白眉は へそ曲がりの私でも やはりこの楽章となりました。
チェロの深い音色が素敵なメヌエット。トリオの前半もチェロがオーケストラ作品のソロのように動くのが印象的。もちろん鈴木さんの独壇場。
プレストの終楽章も通作形式。伴奏の同音反復が耳に残る音楽。伴奏の単純さは 若々しさを感じさせる。ここでは4人の溌剌とした演奏が最高でした。

今日はとても地味な作品ばかりでしたが、とても愉しく聴くことができました。

反省会は新幹線の都合で欠席したものの、仙台からのお友だちも 昨日のワーグナーのコンサートで東京に来たのでこちらにも参加。ちょっぴり賑わった拝鈍亭になりました。