新日本フィルハーモニー交響楽団RUBY#5 ルビー<アフタヌーン・コンサート・シリーズ> | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

今朝は天王寺の旅館からスタート。本当なら この土日を近畿圏でのんびりしたいのですが、残念ながら 今日もハイドンプログラムの演奏会があり、そちらへ。

まずは早めの朝食のあと、JRで関西空港へ。
今日はLCCのバニラエア(Vanilla air)。座席指定を入れて5000円程度でのフライト。座席間隔の狭さはPeachと同じですが、1時間足らずの移動ですから 問題なし!久しぶりのairbus A320。



関空からのルートは和歌山市上空↓から



紀伊半島を南東に太平洋に出て、太平洋上空を通って羽田に飛びました。

成田空港からは電車で錦糸町へ。
今日もハイドン!

ハイドンといえば…
先日、私が良く利用するドイツのCD通販を見ていたら、指揮者の怪我とかでハイドンの交響曲全集が頓挫しかかっている企画のCDが10枚セットで€16.79で出たので、全集を目的に録音されている場合 バラバラで集めると場所も取るし高いし… ということもあり、セット発売を待つ私ですが、時にセットが出ないで買いそびれたり…(ハイドンのザロモンクァルテットの全集~まだ待っている💦)もあるので、発注しました。
スコア1冊と他のCD、DVD3枚とともに先週 届いた荷物が、やたらでかい!開けてみてビックリ。なんと、10枚セットのCDって、今まで販売されたCDそのものが10枚入ってるじゃないですか!てっきりコンパクトなケースに入った、解説無しのセットかと思っていたのに…
で、それを聴いてビックリ。反復する度にいろいろ仕掛けてくる才気煥発振りが半端ない。これだけを聴いていたら疲れそうだけど、面白すぎ! 買い損なっている残りをどうするか、を考え中。

閑話休題。

さて、今日のハイドンは…

新日本フィルハーモニー交響楽団
RUBY#5 ルビー<アフタヌーン・コンサート・シリーズ>~2日目

すみだトリフォニーホール
14時~

指揮:クレメンス・シュルト
ヴァイオリン:パク・へユン

この地味すぎるプログラム!「誰が聴きに来るの?」とめちゃ心配。なにしろメインがタイトル無しのハイドンの交響曲で、ザロモンセットでも 一般的に最も低い位置におかれている93番なんですから!  新日本フィルの勇気あるプログラミングに拍手です。

HPには
『ドイツ期待の若手指揮者シュルト 国際的評価の高いヘユンの共演!
とてもフレッシュな顔合わせ。しかも、それぞれの実力はすでに国際コンクールなどで証明されている。特にヴァイオリンのパ ク・ヘユンは難関として知られるミュンヘン国際音楽コンクールで、2009年、17歳の時に優勝している。指揮者のシュルトもロンドン交響楽団で世界的な巨匠のアシスタントをしつつ、ドイツ国内の歌劇場で指揮をし、2016年からは名門ミュンヘン室内管弦楽団の首席指揮者として活躍を始めた。
 ふたつのハイドンの交響曲、そしてJ. S. バッハのヴァイオリン協奏曲ホ長調(第2番)というプログラムは、春の兆しの感じられる午後に聴くにはぴったりだ。ハイドンの交響曲第83番「めんどり」はハイドンがパリを訪問した時に書いた6曲の交響曲の中の第2番目の作品。そして第93番はロンドンで発表した最初の交響曲で、ちょうど60歳頃の作品。作曲家として自由な活動を始めたハイドンの意欲が伝わって 来る。 』
と、ありました。

オケは12型の両翼配置。私は前から6列目の中央という、この大きさのオケを聴くにはベストの位置。

聴衆の入りは1、2階で4割程度。ひとつ安い価格帯の3階は私の位置からは見えなかったけど、どれくらい入っていたのか…

今日のコンマスは仙台フィル就任時から聴いている西江さん。

前半最初は
🎵ハイドン:交響曲第83番ト短調 Hob.I:83『めんどり』
第1楽章は速めのテンポで 流れるように進める。音を縦に揃えるよりも旋律の流れを重視するタイプの様。提示部の1回目までは第1ヴァイオリンがメインとばかり聴こえていましたが、反復したあとからは、内声部もはっきりと聴こえるようになってきました。
第2楽章はpとfの対比を際立たせる指揮者も多いのですが、シュルトさんはそれよりも、第1楽章と同じく 横の流れを滑らかに繋げるような構成にしていました。そのためビックリ効果は半減しましたが、旋律の様々な色合いや効果を描き出すことができていました。
3、4楽章も流れるような音楽。特に第4楽章は長いフレーズがきれいに再現されていました。

次にヘユンさんのソロで
🎵J.S. バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV1042
ヴァイオリンを各6(昨日と同じ)に刈り込んでの演奏。
冒頭から 感情豊かにオケを煽るようなスタイルのヘユンさん。しなやかさと芯のあるバッハは 現代オケでバッハを聴くにはひとつの模範。
しとやかな第2楽章も大きな表情が冴え、なかなか。
第3楽章も 現代流行りの弾力感あふれる音楽を聴かせてくれました。
昨年の仙台国際音楽コンクールもですが、韓国の音楽家のアグレッシブな表現は魅力的ですね。日本の優等生的な 作曲家の求めた音楽を研究し追求することも大切ですが、中国や韓国の若手から聴ける、臆せずに楽譜と対峙して自分の感性で楽譜から音を生み出す新鮮さに、私は魅力を感じてしまいます。

休憩のあとは
🎵ハイドン:交響曲第93番ニ長調 Hob.I:93
ハイドンが2回のロンドン訪問の折に書いた、6曲ずつの2セットの交響曲の中でも、それほどの完成度の高さを受けてない、93,95,96番の中で、タイトル無しで短調でない この交響曲は、人気の無さ ナンバーワン!しかしそんな作品ですが、ハイドンらしい歌と ユーモアにあふれた 珠玉の作品。私は12曲のザロモンセットで 最も愛着のある作品。それは中学生の時に初めて購入したスコアがこの作品でしたから!←ハイドンではなくすべてのスコアの中でです。
序奏つきのアレグロの第1楽章。
序奏のヴァイオリンのビブラートを抑えた音色から惹きこまれました。
アレグロの主部はそれほど速いテンポを取らず、じっくりと弦を前面に出した、それでいて立体的な音楽づくり。1970~80年代の大きなオーケストラを使った原典志向の音楽づくりを思い出させる響きでした。これは この曲をドラティやヨッフムで刷り込まれた私には ど真ん中でした。
ハイドンらしいユーモアあふれる第2楽章。冒頭の弦楽四重奏の響きもビブラートを抑えた真っ直ぐな音が気持ち良かったです。アンサンブルが緻密にまとまる好演。また ヴァイオリンとユニゾンで吹くオーボエソロが ちょっぴり貧弱に聴こえたのが残念。そしてコーダの前の緊張した場面でフルートのppが乱れたのが残念。そのあとのふざけたファゴットのffは、ビックリ交響曲ではなく、音楽的な波に乗ったffとして吹かせました。おふざけ大好きな私には、ちょっぴり残念な解釈でした。が、音楽的には とても巧妙な組み立てで 勉強になりました。
第3楽章は現代流行りのスピーディーなメヌエットではなく、地盤をしっかり固めたような音づくりが良かったです。
トリオもインテンポですすみ、トランペットのファンファーレもティンパニとのバランスの取れた響きが見事でした。
お茶目な第4楽章。ここではいろいろな仕掛けを繰り広げることも可能な音楽となっていますが、とても潔癖な音楽を聴かせてくれました。
後半、この楽章の一番のハイライト!チェロのソロと指示される 演奏者が間違って出てしまう場面を揶揄した箇所は、ffからppに流れるようなソロの旋律として違和感なく上手く処理していました。
93番の交響曲ではシュルトさんの真面目な音楽作りが、ハイドンのふざけた箇所を 見事に音楽的に修正して再構築させたことに驚きです!

83番ではそれほどの感銘は受けませんでしたが、93番では 大きなホールでのハイドンの音楽作りの基本そのもののような演奏が聴けました。

少ない聴衆の弱い拍手に応えて…
アンコールは
♪ハイドン:交響曲第68番~第4楽章
音楽が鳴った瞬間、ブッ飛びました!私の大好きな作品なんですから…
軽快で、リズム遊びをしているかのようなこの曲、管楽器のソロがいっぱい入っているのですが、アンコールらしく肩の力を抜いた演奏は 最高でした。
それぞれの反復をすべて行い、ファゴットのソロでは反復時にしっかりとした装飾で遊んだり、最後のソロ楽器のエコーは 間を大きくとって、ハイドンのお茶目さを存分に発揮させた完璧な表現。
それにしても よくこの楽章を持ってきたなぁ~と。
シュルトさんの別の一面が見れました。私は断然こちらが好きです!

オケでは吉村さん率いる第2ヴァイオリンが見事な存在感。素晴らしかったです。
なんだかんだ書きましたが、交響曲第93番は、ボッセ先生の演奏を思い出させる好演で、この作品の実演(少なくとも4回目)のナンバーワン!(うち2公演は新日本フィル。今回3回目)
大阪から飛んで戻って正解でした!