新国立劇場 オペラ研修所公演 ロッシーニ「結婚手形」/「なりゆき泥棒」 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日はお昼過ぎから都内へ出て、不要なCDを売り、金額的に同じだけ購入。その後、遅い昼食のあと いくつかの山屋を見に行ったあと、新宿、初台へ。

新国立劇場 オペラ研修所公演
ジョアキーノ・ロッシーニ「結婚手形」/「なりゆき泥棒」
Gioachino Rossini : "La Cambiale di Matrimonio" "L'occasione fa il ladro"
【各全1幕/イタリア語上演/字幕付】
 
指揮:河原忠之(オペラ研修所音楽主任講師)

演出:久恒秀典(オペラ研修所講師)

装置:長田佳代子
照明:稲葉直人
衣裳コーディネーター:加藤寿子
舞台監督:高橋尚史
管弦楽:東京シティフィル
を 新国立劇場 中劇場で
18時30分~
観てきました。


買うのが遅かったため、1階10列の右ブロックの内側寄りになりましたが、前が通路で視界を遮るものはなく、字幕も斜めに舞台を見るために自然と視界内に入り、絶好の席でした。

最初は
🎵ロッシーニ「結婚手形」
配役
【トビア・ミル】西村 圭市
【ファニー】飯塚 茉莉子
【エドアルド・ミルフォート】水野 秀樹
【スルック】大野 浩司
【ノートン】後藤 春馬
【クラリーナ】高橋 紫乃
父親に無理矢理結婚させられそうになる娘が、相思相愛の男性と結ばれるように、友人たちと策を練りながら、ハッピーエンドを迎えるという、90分のドタバタ喜劇。
舞台装置は円形の台の中に額縁を前後に遠近感をつけた形で置いた部屋。
歌手の力量はこのテンポと劇場の大きさでは十二分。演技はストーリーが単純な分、難しさはなく、安心して観れました。
音楽づくりは安全第1主義って感じが ちょっぴり残念。ロッシーニのクレシェンドがたくさんあったのですが、ppからの爆発もなく、煽るようなテンポアップのスリリングさも無い、堅実な演奏でした。まぁ、研修所の公演ですから、そこまで言うなら別の所で観なさい!とお叱りを受けますね。
配役の中では、ファニーの飯塚さんの綺麗なアジリタが光りましたが、私的には 最後に向かってテンポをぐぐっと上げていきながらの音楽作りを聴きたかった部分もありました。
研修所の公演としては アンサンブルも多く、適切な作品と感じました。
初めて観ても 十分に楽しめる作品でした。

30分の休憩のあとは
🎵ロッシーニ「なりゆき泥棒」
 配役
【ドン・エウゼービオ】伊藤 達人
【ベレニーチェ】種谷 典子
【アルベルト伯爵】岸浪 愛学
【ドン・パルメニオーネ】大野 浩司
【エルネスティーナ】高橋 紫乃
【マルティーノ】後藤 春馬
こちらも同様な単純なストーリー。
結婚にナポリに向かう伯爵が、旅籠で鞄を間違えてしまい、伯爵の鞄を開いたもう一人のドン パルメニオーネが その中にあった書類を楯に、ナポリへ伯爵の婚約者をもらいに行くって筋。そこで ナポリの女性側も 伯爵の真心を調べるために 令嬢が同居の女性と入れ替わり…
もちろん最後は2組のカップル成立で大団円というストーリー。
前半の「婚約手形」に比べてストーリーが入りくむ関係で それぞれの役の表情の変化が大きく、演技の重要性が大きくなっていました。
舞台は前半と同じ円形の台のバックに円形の雲の絵が配置された単純なもの。こちらは照明を全体的に絞った 暗めの舞台でした。
演技は皆 若々しく、溌剌とした動きが良かったです。
歌は、婚約手形に比べると ロッシーニクレシェンドも少なく、勢いで聴かせるのではなく、しっかり演じて見せる作品って印象でした。序曲のあと幕が開くと 嵐の場面、そのため序曲の後半が セヴィリアの理髪師の嵐の音楽とそっくりだったので 思わず笑ってしまいました。
歌唱ではベレニーチェの種谷さんの安定した高音を操る安定した技術が聴きどころになりました。特に後半の男性2人に身分を明かすように迫る歌は見事でした!
アンサンブルではパルメニオーネとエルネスティーナとの重唱が綺麗に調和した響きを舞台上で完成させていたのが美しかったです。
ただ、ロッシーニのテノール、ここではアルベルト伯爵ですが、どうしてあそこまで声を張り上げるのだろう?と。ベレニーチェとの重唱でも 響かせるのではなく、絡んでくる!みたいで、高い音の入りも踏み切りが耳について、私には抵抗が強かったです。
オケでは嵐の場面のヴァイオリンのポンティチェロ奏法が素晴らしく決まっていて ゾクゾクしちゃいました。

そして、婚約手形では レチタティーヴォの伴奏がチェンバロだったのに、なりゆき泥棒ではフォルテピアノに替わったのにも拘りが感じられました。

全体的に高いレベルの充実した公演を2本、90分と100分! これで4200円はお得すぎます。
ただ 古典派人間の私は、ピンピノーネや村の占い師みたいに60分程度の作品と思って、21時に終わると勝手に判断して 夕食を摂らずに入って 後悔。22:20に劇場から出れば、もう食べる場所は無し!お腹を空かして横浜に向かっています。