「生理が遅れた」「生理が来ない」というお問い合わせは、電話でも外来での相談でも非常によくある相談の1つです。今日は、生理が遅れたり来ない原因、あるいは対処についてご説明します。

 

大前提として、生理が乱れる(遅れる・早まる・しばらく来ない)ということは、産婦人科医にとっては極めて日常的なよくある相談です。そして、何人かに1人は、「今までは〇日周期できちんと来ていたのでこんなことはなかった」とおっしゃるのですが、そういう方であったとしても、生理が乱れることは、ことさら珍しいことではありません。

 

生理が遅れた(あるいは無月経の)場合、何らかの事情で卵胞発育や排卵日が遅れ、基礎体温で言えば低温期が長い状態であることが大半です。納得感があるのでホルモンバランスの乱れですね、と十把一絡げに説明してしまいますが、その原因は多岐にわたり、ストレス、転居、転勤、職場での昇進や異動、様々な環境因子、体重が急激に減った(増えた)などが考えられます。ただし、原因がはっきりしないことが半分以上です。専門的な言葉で言えば、下垂体性無月経がこれにあたります。

 

次いで、卵巣性無月経(卵巣機能の低下、もしくはPCOS)、薬剤(ドグマチールなどの高プロラクチン血症を引き起こすもの、もしくは不用意なホルモン剤投与)や食べ物(イソフラボンの過剰摂取)などがあります。分類上は子宮性無月経というものもありますが、急に生理が遅れるほどの子宮内癒着ができることはありませんので、一時的な無月経の要因としては考えにくいです。

 

ではどのくらい早まったり遅れたりしたら心配でしょうか。単発であってそれが何か月も連続するのでなければ、2週間程度早まったり遅れたりしてもあまり心配しなくてよいのですが、特に生理が遅れた場合は妊娠の可能性があるので生理が1週間遅れた時点で妊娠検査薬を一応使ってみてもよいのと、あまり遅いと治療計画にも影響して単純に不便ですので、2週間以上遅れたら病院(クリニック)を受診して状態を相談するとよいと思います。

 

当院にいらした場合は、状況にもよりますが、エコーとホルモン検査で状態を把握します。生理1週間おくれ程度で来院されると、排卵が遅れていただけで、来院時は排卵後であと1週間で生理が来る予定なので何もしなくてよいです、ということが分かったり、あるいは全然排卵しそうな気配がないのでホルモン剤を内服して生理を起こすことにしましょうということになったり、対処は様々です。

 

ということで今日は、少し基本的なことではありますが、「生理が遅れた」「生理が来ない」をテーマにお話ししてみました。次回もお楽しみに!