今日は、リプロダクションクリニック東京の卵巣刺激についてご紹介いたします。

 

リプロは刺激周期、とお思いの方も多いと思いますが、意外かもしれませんが、低AMH・高FSHの方に対する採卵、低刺激採卵、いわゆる刺激周期(低刺激に対して高刺激ともいう)は、同等の三本柱です。何でもやっている百貨店状態だと逆に専門店的な的な感じを感じられないとお思いと思いますが、低AMHでもふと調子が良い周期も存在し、そういう時は途中からでも刺激周期に切り替えて勝負をかけると良い卵子がたくさん取れることもあります。あるいは、刺激周期で始めたが反応がもう一歩の場合、途中から低刺激な形に切り替えることでうまくいくこともあります。自然が良い悪い、高刺激が良い悪いなどの不毛な二項対立からは何も生まれません。あらゆる状況を知り尽くし、どんな状況にも対応できる総合力がリプロの魅力です。

 

当院の基本の刺激は、通常反応の場合、(クロミッド1錠/日+HMG 300単位/日)×8日間+hCG 10000単位です。クロミッドは小卵胞を育てる力があり、HMGはある程度育った卵胞を育てる傾向にあります。いろいろな考えがありますが、クロミッドをトリガー前日まで内服継続した方が卵子が多く得られる傾向にあります。採取できた卵子の数が多ければ多いほど、累積出産率は上昇しますので、重症OHSSを回避できる限り卵子は取れれば取れるほどよく、そのためにはクロミッドは有用です。またクロミッドは排卵抑制作用もありますので、セトロタイド使用量を最小限にできる可能性があります。セトロタイドは費用面でも成績面でも使いすぎない方がよいため、そういう意味でも有用です。

 

排卵抑制では、アンタゴニスト法(セトロタイド)と、PPOS(黄体フィードバック法:これは当院独自の呼称)が刺激周期の両輪です。レルミナは内服薬であることから経済的身体的負担が少ないのはよいのですが、セトロタイドやガニレストに比べると強く効きすぎたり卵胞発育が抑制的になることがあり、セトロタイドと同等の扱いはできません。セトロタイドが効かないあるいはアレルギーがある等の場合のセカンドラインとしては使用可能です。もちろん、そういった場合は素直にPPOSにしてルトラールやプロベラ等の内服で治療することもできます。

 

セトロタイドは使用開始日、頻度、回数などのコツが多少必要ですが、PPOSは最初からルトラールを飲み始め、採卵前々日までひたすら飲んでいればよいので、使いやすいです。しかし、効きすぎたり効果が物足りない場合もあり、ルトラールの量を1日1錠~1日6錠まで使い分けをします。LHが上がってきてしまったらルトラールを増量すればたいていはコントロールできます。LHが低すぎる場合は一度ルトラールを減らすかやめます。ルトラールを使用していてLHが急上昇した場合、セトロタイドを1本打って抑え込むこともでき、これでも十分よい胚が得られます(もはや何法か分かりませんが)。

 

高AMHの場合はレトロゾール数日間+pure uFSH or HMG 150単位×8日間+hCG 3000~5000単位and/orブセレリン点鼻です。あまりにもAMHが高い場合は注射を減量したりレトロゾールの日数を増やしたり、途中でコースティング(刺激を数日やめてE2を下げる、卵の質は変わらないと報告されている)する選択枝もあります。

 

FSHが高ければE2補充あるいは長期の点鼻薬でFSHを調節したり、LHが急に上がってきてしまったら自然周期的な考え方で急遽採卵するか、あるいはセトロで押さえつけるか、もしくはボルタレンで排卵抑制するか(ボルタレンなどの痛み止めは卵子の質を下げず卵の成熟を邪魔しないで排卵を抑制する非常に有用な方法です)、様々な方法で採卵までこぎつけます。

 

 

というわけで、今日は当院の採卵方法について簡単にご紹介しました。バリエーション豊かな治療にチャレンジしてみたいと思う方は、ぜひ当院での採卵をご検討ください。