過去の活動で、被災した家にブルーシートをかける作業をしたことがあります。
具体的には、すでにシートのかかったお宅の、シート固定するための土嚢の調整が主な作業です。
少し高い位置にあった土嚢調節のため、脚立を使って作業することにしたところ、地面は赤土で、そのまま脚立を使うと足がメリ込んで倒れてしまう危険性がありました。
そこで、ちょうどいい場所にあった、地面に設置された石の板を利用することにしました(恐らくドブ板と呼ばれる、道路脇にある側溝にフタをするあれのようです。※下の画像中・石板で表記)。
その板の4つ角に脚立の足をかけ、作業を開始して間もなく、突然、石できているはずの板が割れ、高さ1メートルほどの脚立の上から地面へ投げ出されてしまいました。
投げ出されて着地した場所というのが、大きな側溝です。
イメージとしては、ドブなどの側溝をもっと巨大化した物を思い浮かべていただければ、差し障りないかと思います。
175cm ある筆者が横に2人並べるだけの幅があり、深さは1.5メートルくらいありました。
その底へ投げ出されてしまったので、実質、2メートルほどの高さから落下したことになり、側溝のヘリに胸を打ち付けてしまったことで、圧迫でアバラが4本ほど折れました(その瞬間はこんなに重症とは思いませんでしたが)。
気になったのは、その上を車が走っても壊れないほどの側溝のフタのような板がなぜ簡単に割れたのか、でした。
よく観察してみると、側溝はそのお宅の前でカーブしており(下画像)、側溝同士はななめに配置され、その隙間はモルタルか何かでつながっているようですが、一か所が完全に抜け落ちており、つまるところ、そこの切れ目から見える地面と側溝の水路が接している構造になってしまっていました。

そのためか、側溝に水が流れるたび、穴のあいたところから水が浸食し、その流れる量に応じて赤土を削っていき、地面に空洞を作ったようです。割れて板が欠損した側の地面を見ると、穴のような空洞があります(ちょうど、板と周りの赤土でフタをした、落とし穴のような構造です)。
そのため、割れた板の片側は地面にかかっていても、もう片側は完全に宙に浮いており、そこへ4つ角に力をかけたため、地面と宙の境目で真っ二つに割れてしまったようです。


前置きが長くなりましたが、側溝同士のモルタルが剥がれずに空洞を作らなければ、こうしたことは避けられ、そして個人宅外のインフラは自治体の、住宅周辺の管理は家のオーナーの責任であるわけですが、(今は責任は横に置いておき)、一番、申し上げたいのは、こうした現場の日常の不備も襲いかかってくる、ということです。
これや雪の車内泊に対処する自信がなかったため、今回は見送ることにした次第です。
いま必死になっている方々に、これ以上「がんばってください」とも、これから個人で現場支援しようとしている人達に「行くな」とも言えません。
ただ、上のようなことも起こりうるため、筆者の経験を反面教師にした上で検討していただければ幸いです。
こうした取りやめた理由を、当事者でない筆者が口にすれば、何を言っても言い訳にしかならず、心底、自分達の無力さに歯がゆい思いです。ですが、過去の経験から、自分達が「ミイラ取りがミイラになる」可能性が高く、かえってご迷惑をかけることになることになりかねません。
本当に不甲斐なく、申し訳ないと思います。
願わくは、現地で活動されている方々の作業が円滑に進み、被災者の方々をはじめとする現地の人達の安全と安寧が、少しでも早く戻ることをお祈りするばかりです。
本当に他力本願で無責任な文面で申し訳ありません。
今後の支援活動につきましては、当店のお知らせページと、このブログにてご報告する予定でおります。