みなさまこんにちは(^○^)
秋アニメはたいへん盛況のうちに幕を閉じました。
選者が楽しんで視聴した作品について簡単に述べる記事第二弾です。
本記事でもっともおすすめは「葬送のフリーレン」となります。
ご存知のとおり2クール目が放送中です。
ここまでの振り返りや、新規にご覧になる人の参考になると思います。
特筆すべきは、金曜夜に”フリーレン”、土曜夜に”薬屋”という有力な2クール作品を配置した日テレの”本気”
アニメ界をリードしようという強い意志を感じます。
その他の作品の見どころやおすすめ度についても述べました。
お気に入り作品を発見してもらえたら幸いです。
では、いってみましょう!
もくじ
葬送のフリーレン
本作の印象は刺激の少ないファンタジー世界のエピソード集かと思いきや、いい意味で予想を裏切ってくれる作品(16話まで視聴)。
選者も、”そう来たか!”、”これは一本取られたな”とあっけにとられたものの、不思議といい気分で視聴を続けています。
視聴メモ「”葬送のフリーレン”の本当の意味に驚愕」
ちなみに、葬送とは” 遺体を葬るため墓所まで送ること。野辺送り(のべおくり)”
エルフゆえに長命の彼女が、先に亡くなってしまった勇者パーティーのメンバーを懐かしむストーリーかと思ってしまうでしょうが、さにあらず。
8話でその意味が明かされますので、衝撃を受けてみてください!
本作のおすすめ度は、10話まで視聴してもらえるなら、高いです。
本作には難解だとか冗長だという批判もありますが、10話まで観てもらえればそれらの意味が分かると思います。
(かくいう選者も7話あたりからようやく”本作の仕掛け”に気付き始めたぐらいですので)
本作のストーリーは、かつて魔王を倒した勇者パーティーの一員だった魔法使いフリーレンが主人公。
同じくメンバーだった僧侶ハイター(勇者パーティーの同僚)から弟子を育ててほしいと預けられたのがフェルン。
二人はオレオール(魂の眠る場所)を目指して旅立ちます。
その道すがら、戦士アイゼン(勇者パーティーの同僚)の弟子シュタルクが合流。
さらに僧侶ザインを旅の仲間に加え、旅を続けることに。
道中ではいくつか小エピソードが描かれますが、魔族に襲われた王国を救う大きなバトルイベントもあります。
視聴メモ「魔族って本当は人類にとって害悪のはず。最近、魔族と仲良くする作品が多すぎ。なので本作が逆に新鮮に映る」
そして1月から、第2クールに入り現在放送中。
本作のシナリオは、文学性のあるしみじみとした趣のあるシーンを見事に描いていてすばらしいものです。
たとえ短いセリフでも味わいがあり、演技力の良さもあって心に染み入るようです。
視聴メモ「フリーレンたちエルフが生きる時間の長さと人間の一生の短さを、アニメーションと少ないセリフで表現したのはすごい。本作は、芸術の域に達した作品だと確信。ドワーフのお爺さんと頑固なおばあさんがいい味を出した。
こういう作品はいいね」(16話)
その上魔法戦、戦士の打撃戦にも迫力と緊迫感があり、多彩な表現力を発揮しています。
本作のキャラデザと設定は、キャラクターの個性重視。
長い期間を生き、魔法の研究を続けてきたエルフであるフリーレンのキャラデザは、知性にあふれながらも、悟りに近い心境なのかいつも遠くを見ているような不思議な表情です。
しかし時には、茶目っ気も出しますし、眠気に勝てない様子には愛嬌も感じられますね。
視聴メモ「”服だけ溶かす薬”をかけられたフリーレンがおもしろい。
子どもっぽい動きと表情をしている」(12話)
また、もう一人のヒロイン・フェルンは丸顔でだぼっとした服装をしている(中に防具を着込んでいるらしい)のでおとなしそうな印象ですが、しっかり者でパーティーの資金を管理したり、フリーレンのおとぼけに突っ込みを入れたりして、ものおじせずハキハキと話すキャラクターです。
視聴メモ「そんなフェルンだがドレスになると印象がだいぶ変わる。ダンスのシーンの作画とアニメーションもよかった」(15話)
本作の作画は、単に美麗で速いというだけでなく、ストーリーの細部とキャラクターの個性や思いを丹念に描くという手法をとっており、素晴らしいといえます。
セリフがないか、とても少ないセリフでも作画とアニメーションで語りかけてくるようです。
時間をかけて、じっくり鑑賞してみてください。
本作のアニメーションは、動かすところは過不足なく動かしけれんみがありません。
光らせたりデフォルメしたりということは少ないので、物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、あえてそういうことはしないのが本作のアニメーション。
視聴メモ「ヒンメルのパーティーも現在の新パーティーもたいてい徒歩で移動している。
とてもゆったりと時間が流れる気がしますね。
彼らの近くで一緒に歩いているような感覚。
日常の狩りや食事をアニメーションで表現。
ヒンメルとの指輪の思い出もアニメーションで語っていてなかなかよいものですね。
ですが、睡眠不足で疲れている人はすぐに眠ってしまうだろうな、このテンポでは」(14話)
視聴メモ「シュタルクの身代わりエピソード。貴族の生活やダンスのシーンなど作画力が発揮された」(15話)
本作のOP/EDともに秀逸なもの。
どちらも何度も観てしまいますね。
楽曲もアニメーションもグッド。
本作の演技は主人公のフリーレン役に天才・種崎あっちゃんを配し、まったくスキがありません。
視聴メモ「制限すること、がこの物語の一つのテーマかもしれない」
なので、あっちゃんも演技力を”制限”しておもしろみを出さないようにしているように感じます。
フリーレンはたいていおっとりしているので、ツッコミ役のフェルンを演じる市ノ瀬さんの歯切れのよい演技も光っています。
”シュタルク様”って言いづらいと思いますがすばらしい滑舌です。
”シュタルク様”の一言で笑わせるシーンもあって、市ノ瀬さんの演技力を感じます。
視聴メモ「市ノ瀬さんの歯切れのよいツッコミがおもしろい」
かつての勇者パーティーのメンバーも良い演技をしていますね。
さらに新フリーレンパーティーに加入する僧侶ザイン役の中村さんの演技がとてもいいです。
視聴メモ「ザインの親友探しがオレオールとはだいぶ離れた方向だと判明。悩ましい状況の中村さんの演技がいいな」(16話)
最近の代表作に「山田くんとLv999の恋をする」「ハコヅメ」「オバロⅣ」など。
少しさかのぼると「よりもい」「ノゲラ」「さすおに」など。
すごい作品ばかりですね。
本作の良い点は、なにしろ作品の完成度が芸術の域に達していること。
ふだんはおっとり、ふんわりしている主人公が最強なところ。
おまけに弟子二人に加えて僧侶ザインもかなり強いところ。
視聴メモ「”アウラ、自害しろ”、久々にほんとうに強いキャラを見た気がする」(10話)
「ザインの実力を示す解呪のエピソード。難敵を寝起きでも一撃で倒すフリーレンの強さよ」(15話)
本作の良くない点は特にありませんが、最初の5話ぐらいがまったりしすぎて本作の魅力がわかりづらかったことぐらいでしょうか。
なので、1~4話を一気にまとめて放送してしまったのでしょうかね。
本作の評価は、かなり高いといわなければなりません。
なので、2クール目も視聴しますし、5話あたりで切ってしまった人にも見直しをおすすめしたいと思います。
SPY×FAMILY 第2期
本作の印象はアニメ作品として、ほどよくまとまっていて、視聴者の大半に好意を持ってもらえる仕上がりです。
アニメを評価する各項目をよく理解し、ほど良く平均点を上げていったような作品ではないでしょうか。
と、皮肉めいたことをいいましたが、実際ほんとうに良くできているんですよ、この作品。
でも、ふと思ってしまうんですよね、”これはおもしろいのか?”
アーニャが名門小学校に入ったあたりまではたしかにおもしろいと思っていたのですけどね。
いろいろ考えてみましたが、本作の問題点は”オペレーションストリクスを真面目に遂行する気が無いのではないか”と思える点に集約されると思います。
たとえば、もっと優秀な子ども、しかも男の子を抜擢し、因果を含ませ接近させるとか思いつかなかったのでしょうか。
ターゲットのダミアンは寮に住んでいるようですので、そこにこそ潜入させるべきだったのでは?
アーニャは”人の心が読める”という特殊能力こそずば抜けていますが、学力は今一つですし、どうもこの任務の最適解ではないように思えるのです。
次にヨルですが、殺し屋”いばら姫”であることには触れません。
また、あちこちで議論されていることでしょうが、ヨルよりも”夜帷”ことフィオナのほうがオペレーションストリクス要員には適任だと言わざるを得ない、と思いますがいかがでしょうか。
なぜなら、妻も母も、格闘戦や殺人術の達人である必要は全くないからです。
さらに、身内に秘密警察の職員(ユーリ)がいるとか危険すぎるでしょう。
むしろ、諜報技術に優れた人材の方が何かと便利なのではないでしょうか。
簡単にいうと、スパイが主人公なんだから、作戦を成功させるところをみたい、ということです。
ところで、ヨルの裏稼業について、ロイドもユーリもまったく気づかないというのはいったいどういうことなんでしょうかね。
さて、第2期では、”アーニャ一本足打法(アーニャを中心としたエピソード以外あまり面白くないため)”からようやく脱却をはかっています。
ロイドとヨルが家族の絆的なものに気づいていくというテーマがありましたね。
豪華客船でのヨルの死闘は長編でしたが、なかなかおもしろく感じました。
本作のおすすめ度は、高いともいえますが、選者の方針として”これはおもしろい!”と思った作品以外はおすすめしていません。
だからといって、本作を低評価しているわけでもないので、ご覧になりたい人を押しとどめる気もないのです。
本作のストーリーは、30話から35話(第2期5話から10話)の「豪華客船の死闘」がメインイベント。
この戦いのさなか、ヨルとロイドの”家族”にたいする心境に変化が生まれるのでした。
一方、アーニャのステラ獲得と(ロイドの)ターゲットであるダミアン(の父)への接近については大した進捗はなかったようです。
本作のシナリオは、上手いですしそつがないと思います。
おもしろいかおもしろくないかはエピソード次第です。
絵の巧さだけでなくアニメ作画というジャンルを超えた奥深さが感じられる仕上がりです。
本作のアニメーションも巧いです。
時にデフォルメを利かせつつ、時に過剰とも思えるぐらいよい動きを見せてくれます。
本作の演技も実力派を揃えており、まったくスキはありません。
本作の制作は「WIT STUDIO」と「CloverWorks」の共同制作となっており、夢のタッグといってもいい豪華な組み合わせ。
期待を裏切らない作品を仕上げてくれました。
本作の良い点は、素晴らしい作画とアニメーション・演技やおしゃれな音楽などなど。
おもしろいエピソードも混じっていますので、ストーリーも全くダメなわけではありません。
本作の評価は、ウォッチャーなら必見ですが、一般の人は楽しめる範囲でどうぞ、ということになります。
選者の評価は辛めですが個人の意見に過ぎず、客観的に判断すると本作は一見の価値はあるものといえるでしょう。
星屑テレパス
本作の印象は、とても良い作画と、純粋な心のぶつかり合いをはらはらどきどきしながらながめる作品に仕上がっています。
原作は「まんがタイムきらら」で連載中。
本作のおすすめ度は、きらら作品が好きな人はもちろん、濃いめのガールズ作品が好きな人にもどうぞといえるでしょう。
女子どうしのドロドロではなく、思いがけないほど直線的なぶつかり合いが熱く描かれます。
本作のストーリーは、引っ込みじあんで友達のいないヒロイン海果(うみか)が自称宇宙人の明内と出会い、”おでこぱしー”(自身と相手のおでこを合わせることで相手の思考を読み取ることができる)を通じて気持ちを分かち合えたことから、明内を宇宙に帰してあげたいと強く願うことから始まるのでした。
視聴メモ「新メンバー雷門(らいもん)とペットボトルロケット対決をすることに。主人公のたどたどしい人との距離感を、うっとおしく思うか愛おしく思うかで本作への見方が決まりそう」(3話)
手始めとして、モデルロケット(火薬エンジンを使用して飛ぶ模型ロケット)を製作する同好会を結成。
大会に出場するなどして宇宙を目指すということになります。
宇宙人や”おでこぱしー”といったファンタジー要素をスパイスとして一つの目標を目指す部活動の様子が描かれます。
本作のシナリオは練り込まれており、好感が持てるものに仕上がっています。
登場人物たちのセリフがとても多く感じるシナリオで、しっかりと気持ちや願いを表明。
笑いの要素や、キャラクターたちが楽しく過ごす様子も描かれはするのですが、そういった部分よりもぶつかり合うシーンのほうが記憶に残ります。
そのことを重たく感じる人もいるかもしれません。
本作のキャラデザはかなり良い方だと思います。
視聴メモ「キャラデザけっこう可愛い。
作画はみっちり描き込んでいるし表情や動作もよく動かしている。
色づかいも可愛いし楽しい気持ちになれる」(1話)
本作のキャラ設定でもう少し掘り下げがほしかったのは自称宇宙人の明内です。
SF要素と言わないまでも、どういう存在なのかまるで謎なのはよくなかったのではないでしょうか。
それを記憶喪失で片付けてしまったのは残念です。
そもそもロケットで行けないところから来たとすれば、ロケットを作ることに現実味がなくなり、真剣に作る気がしなくなると思うからです。
視聴メモ「少し足りないのは本作のファンタジー成分である宇宙人要素かな」(8話)
キャラの髪や表情や服装のアウトラインなどひじょうに巧い人たちが描いていると思われます。
本作のアニメーションは作品の性質上激しさやスピード感はいらないのですが、丁寧な動きが多く気分よく視聴できています。
視聴メモ「絵がとても可愛いし、うまい。」(2話)
OPの歌唱は伊藤美来さんで甘さと切なさが印象的ですね。
EDのキャラソンも可愛らしい歌唱。
特に、遥乃(はるの)を演じた永牟田萌(ながむたもえ)さんの演技が良かったと思いました。
やさしさや共感、癒しというイメージの声質で、今後の活躍を期待したいですね。
本作の制作はスタジオ五組。
代表的な制作作品に「ゆゆゆ」シリーズ。
古くは「咲-Saki-」シリーズなど。
ガールズアニメに伝統を感じる制作会社ですね。
本作の良い点は、丁寧に作られた作品で、制作陣、CVさんたちの熱意が感じられること。
アニメ作品としての仕上がりがとても良いことをあげておきましょう。
きらら作品やライトな百合要素がお好み人のはぜひご覧ください。
本作の良くない点は、ストーリーにムリがあるのではないかという点。
視聴メモ「宇宙へ行くという現実味の無さに問題があると思います。
明内の宇宙人要素はほとんど発揮されず、物語の拡がりにかけるきらいはある」(12話)
もう一つは、明るさや笑いなど、軽みがもっとほしかったということ。
特に前半部の軽く笑わせるシーンは重要だったと思います。
本作は、一見の価値はある作品だと思います。
視聴メモ「きれいな作画は健在のまま、宇宙へのほんの小さな一歩を記して終わった」(12話)
登場するキャラクターにお気に入りができればしめたものです。
主人公たちをおおらかな気持ちで見守る兄や姉や先生の気持ちになって観てもらいたいと思います。