Eigenvalue and Eigenvector
Function case
面白いことに,関数でも同じ話が繰替えされる.(いや,面白いというのは個人的な感想であるので,別に面白くないかもしれないが,同じことが色々なレベルで繰替えされるというのが私にとって数学で面白い所の一つである.) これまで,スカラやベクトルに何かの「操作」をほどこしてきた,そこで,関数に何かを作用させる「操作」をほどこしたいが,個々の例に対する操作の結果よりも,その「操作」そのものの正体が知りたいのだ.これを一気に知ることはやはりできないが,操作に対する関数の反応の性質を知りたい.
通常,関数自体がスカラやベクトルへの操作なので,その操作に対して操作するというのは混乱するかもしれない.たとえば関数 f があったとすると,これがスカラやベクトル x に対する操作が,y = f(x) である.ではこの関数に対しての他の関数 gを考えてみると,y' = g(f(x)) のようなことができる.これが操作が操作に適用される(関数が関数を引数に取る)ということである.ここで興味があるのは操作の操作の意味であって,個々の操作の結果ではない.ころで,g が f に対してどんなことをするのかというのは,f と g の関係だけで,特定の入力 x はそんなに興味がない.「興味ある」というのは主観的な話になってしまうが,たとえば,ノイズを除去するような関数 f に他のフィルタ g を適用したら,どんなフィルタg ・ fになるのかということが知りたいことが多く,どんな特定の信号を変化させるかというのはフィルタの設計ではそんなに興味があることではない.なぜなら,通常はそのフィルタそのものが常にどういうふうに働くかが興味の対象であって,特定の信号に対してどう働くかは特殊な場合でしかないからである.
これをたとえば以下のように書くことができるだろう.
operator g ・ f = y
これがベクトルの時のように,
operator g ・ f' = λ f'
と書けたら,この「操作(operator) g」の性質の一面が見えるわけである.こういう f' を,eigenfunction と言う.λ はあいかわらず eigenvalue である.
Eigenvalue and Eigenvector
Vector case
次にベクトルに関して考えてみよう.読者は行列の計算に関して多少知っていると仮定する.行列はベクトルに作用して新しいベクトルを生み出す.たとえば,回転したり,拡大縮小したりする.この時ベクトル x に行列 Aを作用させるなどと言う.たとえば行列 A は回転という作用だったりする,すると新しく b が出てくるというわけである.
A x = b
これだけ見ると,スカラと同じような形なのだが,Aは通常とても複雑で,何なのかわかりにくい.しかし,もし,
Ax'= λ x'
のようなスカラλ とx' があったらどうだろう? もしあったら,
複雑な A は実は一つのスカラ λ と同じことをすることがあるということがわかる.
実は私はこの文が Eigenvalue について全てを語っていると思っている.この一文を理解するためにこの blog を書いているようなものだ.どんな x に対しても,というのは無理だが,ある特定の x' に対してならλ があるという場合だ.
これはすごい.100x100の行列の性質の「一面」を,一つのスカラで示すことができるからだ.100x100の適当な行列があった時,それが何をするのかなんてのは普通はわからない.
ここで,A はベクトルに対して「何か」をする「操作」だった.(例えば拡大,縮小,回転など) そういう操作の正体がこの λ で示されることがある.こういうλ とそれに対するx'を,行列 A の正体,ではなく,固有の値と固有のベクトルということで,固有値(eingenvalue),固有ベクトル(eigenvector)と言う.
なんで固有値(eigenvalue)とか固有ベクトル(eigenvector)というのを考えるのかわかっただろうか.行列 A そのものをそのまま理解することは難しいので,その一面で特にわかりやすものを取り出して行列 A を探ろうというのが,固有値を使う解析なのである.
ところで,一つの nxn の行列 A (n>1) に対して普通,固有値は一個ではない.一個で全部示すことができるならばいいんだが,世の中そんなに甘くはない.普通は複数あることに注意すること.だから行列の「一面」という言葉を使ったのだ.
Vector case
次にベクトルに関して考えてみよう.読者は行列の計算に関して多少知っていると仮定する.行列はベクトルに作用して新しいベクトルを生み出す.たとえば,回転したり,拡大縮小したりする.この時ベクトル x に行列 Aを作用させるなどと言う.たとえば行列 A は回転という作用だったりする,すると新しく b が出てくるというわけである.
A x = b
これだけ見ると,スカラと同じような形なのだが,Aは通常とても複雑で,何なのかわかりにくい.しかし,もし,
Ax'= λ x'
のようなスカラλ とx' があったらどうだろう? もしあったら,
複雑な A は実は一つのスカラ λ と同じことをすることがあるということがわかる.
実は私はこの文が Eigenvalue について全てを語っていると思っている.この一文を理解するためにこの blog を書いているようなものだ.どんな x に対しても,というのは無理だが,ある特定の x' に対してならλ があるという場合だ.
これはすごい.100x100の行列の性質の「一面」を,一つのスカラで示すことができるからだ.100x100の適当な行列があった時,それが何をするのかなんてのは普通はわからない.
ここで,A はベクトルに対して「何か」をする「操作」だった.(例えば拡大,縮小,回転など) そういう操作の正体がこの λ で示されることがある.こういうλ とそれに対するx'を,行列 A の正体,ではなく,固有の値と固有のベクトルということで,固有値(eingenvalue),固有ベクトル(eigenvector)と言う.
なんで固有値(eigenvalue)とか固有ベクトル(eigenvector)というのを考えるのかわかっただろうか.行列 A そのものをそのまま理解することは難しいので,その一面で特にわかりやすものを取り出して行列 A を探ろうというのが,固有値を使う解析なのである.
ところで,一つの nxn の行列 A (n>1) に対して普通,固有値は一個ではない.一個で全部示すことができるならばいいんだが,世の中そんなに甘くはない.普通は複数あることに注意すること.だから行列の「一面」という言葉を使ったのだ.
Eigenvalue and Eigenvector
Scalar case
まずはスカラのかけ算を考えてみよう.
3 × 4 = 12
変数 a,x,b を使うと,
ax = b
である.最初の例では x=4 に a=3 倍するという操作をすると b =12になるという意味である.ちょっと気をつけたいのは,xというスカラに aという定数をかけるという操作をしたという言い方だ.aというスカラに xというスカラを掛けた,というのでもスカラの場合にはかまわない.それは以下の交換法則が成立するからだ.
ax = xa
しかし,これは常に成立するわけではないことに注意して欲しい.たとえスカラでも意味を考えると逆が成立しないことがわかる.たとえば,1つ5ユーロのチョコレートを2つ買うことはできる.その場合 5 ユーロの 2 倍で 10 ユーロなのであり,2つの5ユーロ倍だからではない.だいたい 5 ユーロ倍ってなんだろう? そんなものは普通はないだろう.ベクトルとかになるとこういう例はいくつもでてくるので注意しておく.
Scalar case
まずはスカラのかけ算を考えてみよう.
3 × 4 = 12
変数 a,x,b を使うと,
ax = b
である.最初の例では x=4 に a=3 倍するという操作をすると b =12になるという意味である.ちょっと気をつけたいのは,xというスカラに aという定数をかけるという操作をしたという言い方だ.aというスカラに xというスカラを掛けた,というのでもスカラの場合にはかまわない.それは以下の交換法則が成立するからだ.
ax = xa
しかし,これは常に成立するわけではないことに注意して欲しい.たとえスカラでも意味を考えると逆が成立しないことがわかる.たとえば,1つ5ユーロのチョコレートを2つ買うことはできる.その場合 5 ユーロの 2 倍で 10 ユーロなのであり,2つの5ユーロ倍だからではない.だいたい 5 ユーロ倍ってなんだろう? そんなものは普通はないだろう.ベクトルとかになるとこういう例はいくつもでてくるので注意しておく.