Eigenvalue and transfer function (6) | Chandler@Berlin

Chandler@Berlin

ベルリン在住

Eigenvalue and Eigenvector

Function case

面白いことに,関数でも同じ話が繰替えされる.(いや,面白いというのは個人的な感想であるので,別に面白くないかもしれないが,同じことが色々なレベルで繰替えされるというのが私にとって数学で面白い所の一つである.) これまで,スカラやベクトルに何かの「操作」をほどこしてきた,そこで,関数に何かを作用させる「操作」をほどこしたいが,個々の例に対する操作の結果よりも,その「操作」そのものの正体が知りたいのだ.これを一気に知ることはやはりできないが,操作に対する関数の反応の性質を知りたい.

通常,関数自体がスカラやベクトルへの操作なので,その操作に対して操作するというのは混乱するかもしれない.たとえば関数 f があったとすると,これがスカラやベクトル x に対する操作が,y = f(x) である.ではこの関数に対しての他の関数 gを考えてみると,y' = g(f(x)) のようなことができる.これが操作が操作に適用される(関数が関数を引数に取る)ということである.ここで興味があるのは操作の操作の意味であって,個々の操作の結果ではない.ころで,g が f に対してどんなことをするのかというのは,f と g の関係だけで,特定の入力 x はそんなに興味がない.「興味ある」というのは主観的な話になってしまうが,たとえば,ノイズを除去するような関数 f に他のフィルタ g を適用したら,どんなフィルタg ・ fになるのかということが知りたいことが多く,どんな特定の信号を変化させるかというのはフィルタの設計ではそんなに興味があることではない.なぜなら,通常はそのフィルタそのものが常にどういうふうに働くかが興味の対象であって,特定の信号に対してどう働くかは特殊な場合でしかないからである.

これをたとえば以下のように書くことができるだろう.

operator g ・ f = y

これがベクトルの時のように,

operator g ・ f' = λ f'

と書けたら,この「操作(operator) g」の性質の一面が見えるわけである.こういう f' を,eigenfunction と言う.λ はあいかわらず eigenvalue である.