Eigenvalue and transfer function (7) | Chandler@Berlin

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ベルリン在住

Eigenvalue and transfer function

Hamming の本では信号処理の basis に三角関数が利用されることのメリットが繰り返し述べられる.この blog の主題からそれてしまうので,他の basis に対してどんなメリットがあるのかを述べることはせず,これは良い basis だと仮定して話を続けよう.Hamming の本の最初の例にそって三角関数の eigenvalue やeigenvector に関して例を見てどんなものか示そう.例とは

A sin x + B cos x

である.これに transform の操作を加え,その操作に関してどんな eigenvalueと eigenvector があるのかを見てみよう.

Transform T は T: x → x' + h のように,座標軸を shift するような操作とする.座標軸を shift する理由は,たとえば,信号処理ではどこから信号を測り始めたのかはそんなに重要ではないので,最初に測り始めた場所を変更するということがよくあるからだ.絶対的にどこが基準ということがあることは少ないので,こういう操作ができるようになっていると便利である.あるいは測り直したい場合に時間軸をリセットできればやはり便利である.問題は,こういう操作でも変化しない本質はどういうものか,である.三角関数の性質から,この変換を上式にほどこしてみる.

(図が切れてしまっているのでクリックして全体を御覧下さい.)

Chandler@Berlin-trans_tri0


ここで,
Chandler@Berlin-trans_tri1


である.A', B' は x に依存しない定数である.ここで大事なのは,この操作 T をほどこした結果,sin x と cos xの線形結合の形に関数が戻ってしまったことである.
Chandler@Berlin-trans_tri2

つまり,この操作は
$Chandler@Berlin-trans_tri3

と似た形になっている.A', B'を eigenvalue の役割として,sin, cosがeigenvector の役割をしているのがわかる.このような視点はなかなかすごいと思うのだが,いかがだろうか.

以前私は友達が eigenfunction なんとかというのがわからなくて困っていたが,読者ももう大丈夫だろう.