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カメルーンから進路を南へ取り、原生林の狭間をガボンへと走った。

深い森はその緑の深さもさる事ながら、
どこまでも延々と緑が連なりその奥が見えない。

この場所に来たならば、誰しもが森林伐採や自然破壊などは、
メディアが作り上げた単なる戯言だと思えるだろう。

もし2,3年も何もせず放置したならば、町や道路は森に飲み込まれ、
人間達は生きる住処を追われる事になるかもしれない。

生命力が爆発した姿のような自然の姿に、
美しいながらも恐ろしさすら感じてしまう。

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実はここに来る前に、カメルーンの首都ヤウンデにて
体調を崩し、マラリア検査を受ける程に高熱が出た。
扁桃炎が悪化した事が原因だったようで、
手術をするか選択を迫られたのだが、
切るのは嫌だと言う事で、抗生物質と薬で治し、
一週間程安静にしながら体調の回復を待った。

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処方箋と薬達。この他にプラセタモールとパブロンを飲んでました。
診察と薬代で日本円にして約4,000円。もっとすると思ってました。

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ガボン国境を抜けた直後。

体調が戻ってから一気に走り出し、ガボン国境を抜けて
ランバレネと言う、ガボン中部の町に滞在している。

人口3万人程の小さな町だがコンパクトにまとまり、
大きな河が流れ、情景が素晴らしく最高に気持ちがよい。

ビフムと言う小さな村でジャイカの隊員さんと偶然出会い、
彼と同じホテルに宿泊した後、紹介されたランバレネに住む
別の隊員さんのお宅で2泊お世話になった。

いままでも何度か隊員さん達とは知り合いになったのだが、
こんな僻地で奮闘する彼らは本当に素晴らしいと思える。

人口700人程の小さな村で1年以上1人で農業をしている隊員は、
24歳と若く、荒れ果てた農地を開拓し、自力で小さな畑や田んぼを作り、
作物を育て、実演で現地の人達に日本の農業を教えているのだが、
普通の感覚では到底あそこで1人でそんな偉業を成す事は不可能だ。

「凄い!」と言うのは簡単だが、本当に感心させられる。

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シュバイツァー病院。1952年にノーベル平和賞を受賞したフランス人
アルベルト・シュバイツァー博士の記念病院。
日本で言う所の野口英世博士のような存在です。

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ランバレネを流れる河はかなり大きいです。
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そんな偶然の出会いもありながら、ガボンの旅を進めているのだが、
ガボンに来て真っ先に思うのは「物価が異常に高い!」

特に宿代が高くカメルーンや他の地域の倍はする感覚だ。

かと言ってクオリティーが高いわけでもなく満足度は低い。

モノの値段も高くなり、周辺国の20%は高いだろう。

産油国で人口も少ない事もあって、国民一人当たりのGDPは
14,000ドル前後と、数字だけでは中進国レベルと言う事もあり、
その影響化とも思えるのだが、地方の暮らしは依然貧しいままで、
インフラも整っておらず、特にネット環境はまだまだ無いに等しい。

アフリカ特有の金持ちや政治家が金や権利を独占、搾取する図式が
以前と残っているせいだろうが、お金の回りは他の国よりは良いらしく、
周辺国からの外国人の流入も激しく、地元民との摩擦も生じている。

ガイドブックのロンリープラネットには、大体の旅予算が載っていて、
この周辺国の平均は大体1日30ドル程度の予算が組まれているモノの、
ガボンでは首都で100ドル、地方では50~200ドルとされている。

200ドルかかる事はエコツアーなどを組んだ場合の予算だろうが、
本当に安く済まそうとしても1日平均50ドルは軽く越えてしまう。

西ヨーロッパとほぼ変わらない予算設定でアフリカンクオリティー。

長居する理由もないので、一気にコンゴ共和国の首都、
『ブラザヴィル』まで一気に走り抜けようと思う。

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軍人からの賄賂請求にも慣れたモノで、幾度となく繰り返される検問で、
法外な値段の賄賂を要求される事があっても、なんとか適当に切り抜ける。

実際にガボン人達も適当に脅され1,000CFA(約150円)程度を
こっそり渡しているが、本当は一円たりとも払う必要など無い。

その都度「大使館に電話して確認するからお前の名前と階級を教えろ。
お前の言っている事が嘘ならば、それなりの処罰をしてもらう様に
領事に要請するし覚悟しておけよ!」と、強く脅し返す。

大抵はこれで問題なく通れるが、1度だけ逆切れして来た年配軍人に
その場でパスポートとイエローカードを地面に投げつけられた時は、
「拾えクソアーミーが!」とブチギレた。

国民は明るく良い人ばかりで気持ちがよいのに、
軍人と警察はギャング以上に達が悪いと言うのは、
アフリカの特徴なのかもしれない。本当に飽きれる。

まあ、悪政は昔よりはマシになったようだが、依然として残るのは
仕方なく、政治が悪いのだからどうしようもない。

仕方なく払わざる得ない状況で払った賄賂に関しては、
帰国後大使館へと乗り込み、単なる為替レートではなく、
日本での価値に換算して交通費込みで徴収するつもりだ。

そんな帰国後の楽しみも増えつつ、アフリカの旅は続く。

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アフリカは手書きの看板が多く、面白いモノを良く目にしますが、
この看板はかっこいいデザインだと思いました。



カメルーンからガボンに進むにつれて深くなるジャングルは、
ここを通った者に強烈なインスピレーションを与えてくれる。

それは単なる感動と言った類いの出会いではなく、
もっと内蔵をえぐる様な強烈なインパクトであり、
見て来たモノや聞いて来たモノの概念を覆すだろう。

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ランバレネ滞在中に偶然大きな自転車レースが開催されました。
走っている途中で何組か練習中の選手とすれ違いましたが、
アフリカ中の国々からレーサーが集まる大きな大会のようです。
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カメルーンのジャングルに吹き付けるスコールは、
もはや大雨の次元を越えて暴風雨のハリケーンと化す。

雨期の現在において、どんなに天気が良くても油断は出来ず、
1日に1回は暗雲が立ちこめ、とんでもない嵐が数時間続く。

真っ黒な雲が急速に発達し、雷が雲の中で光り出した直後には、
気温が急激に下がり、突風が砂埃やゴミをまき散らす。

天気が崩れ出しそうな予感を感じたら急いで避難先を見つけ、
嵐が立ち去るまでその場でじっと耐えるしかない。

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上の写真の1分後

今までに何度も雨期の東南アジアを旅した事はあり、
その度にスコールの激しさに驚かせてはいたが、
アフリカのジャングルで味わうソレはまさに脅威で、
走行中に路上で遭遇したら命の危険を伴う。

今までなんとか運良く建物の中に避難出来たのだが、
「何もないジャングルの真ん中だったら。」と考えると、
この先の旅路に恐ろしさを感じる。


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ドゥアラから首都ヤウンデまでの約300kmを3日で走った。

3ヶ月ぶりの自転車旅は流石に体に堪えるモノで、
暑さと湿気のせいで汗が止まらず非常に疲れる。

『ヤウンデ』は標高700mの高地に位置しており、
上り下りを繰り返しながらのんびりと走った。

熱帯雨林気候だけに周囲は緑が鬱蒼と茂るジャングルで、
その中に道路が一本通り、小さな集落が所々に点在する。

美しさと言うよりも力強さを感じる自然の景色は感動的で、
アフリカの持つパワーに飲み込まれそうな錯覚を覚えた。

幹線道路はしっかりと舗装され、走るのには何の支障もなく、
ただ暑さに負けそうな体に鞭打ちながら走るのみだった。

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初日はエデアのホテルで一泊し、翌日は集落の空き地で野宿、
ようやく辿り着いた首都ヤウンデは高地だけに涼しく感じる。

山に囲まれた首都は、いくつもの丘に街が築かれている為、
坂が多く荷物を搭載したサイクリストには非常に厳しい。

宿探しでは安宿と言ってもアジアやエジプトの安宿よりも高く、
クオリティの低すぎるモノしかなく宿探しにも一苦労する。

結局ロンリープラネットに掲載されている1泊8000CFA
(約1,400円)のIdeal Hotelと言う安宿にチェックインし、
ビザ取得の為の拠点とする事にした。
宿の価格は安宿と言っても1,000円以下のモノは珍しく、
衛生的なホテルを選ぶのならば最低でも3000円以上はする。

1~2cm程の小さなゴキブリがバスルームやベッドに出るので、
殺虫剤で弱らせティッシュで捕まえ、かれこれ30匹は始末した。

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蚊帳は必須です。


「シャルムで泊っていたリゾートホテルは夢だった。」
と、自分に何度も言い聞かせた。

ヤウンデではこれから行く先のビザ取得を試み、着いた翌日には
ガボンビザを申請し、次の日に受理、その足でコンゴ共和国ビザ
を申請、とりあえず2カ国のビザ申請を済ませる事が出来た。

ガボンビザ
70,000CFA(約150ドル)申請用紙無し。
パスポートと写真一枚のみ。パスポートコピーも不要。
申請翌日午後に受理。9時半~3時頃まで。

コンゴ共和国ビザ
70,000CFA(約150ドル)申請用紙に記入(英語可)。
パスポートと写真一枚のみ。パスポートコピー不要。
申請後翌々日午後に受理。9時半~2時頃まで。

コンゴザイール(コンゴ共和国とは別の国)の大使館は、
ロンリープラネットに記載されている地図から移転したようで、
色々な人に聞きまくり、ようやく探し当てたが、カメルーン
在住者のみにしかビザ発給しないらしく門前払いを喰らった。

コンゴザイールは後にも書くと思うが、ナイジェリアを凌ぐ程、
世界最悪の悪政がはびこり、旅行者の受け入れにも慎重である。
知人はビザを持っているのにも関わらず国境で数日拘束され、
賄賂を払わなくては牢屋から出られない状況に陥ったらしく、
帰国後に慰謝料を求めてコンゴザイール大使館に乗り込むそうだ。

何があるか分からない現状が旅の醍醐味ではあるものの、
役人の賄賂目的で無駄に拘束されるのだけは勘弁願いたい。

しかし久々にアフリカを走り、あっという間にこの空気にも慣れ、
混沌とした状況を肌で感じると、旅の面白さが徐々に滲んでくる。

不安や恐れも体験したくなってしまう妙な好奇心は、
これから進むであろう地域に更なる刺激を求める。

ヤウンデにてビザ取りを終えた後は一路ガボン、コンゴの首都、
ブラザヴィルへと一気に走る抜けようと思う。

ヤウンデは赤道直下とは思えぬ程に朝晩は涼しく、
治安も安定しており、思いのほか過ごしやすい。

これから始まる本格的な中部アフリカの旅に期待しながらも、
今日もまた夕暮れ時からとんでもない嵐が吹き荒れ外出できず、
近所のパン屋で買ったパンとコーラを夕食とするのだった。

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気持ちは明鏡止水とは言えないまでも、濁っていた水は
3ヶ月かけて泥が沈殿し、その透明度に新たな喜びが映る。

リフレッシュされた気持ちは、コレから始まる旅路を期待させ、
今まで以上の好奇心を僕に与え、強く背中を押す感覚を得た。

旅立つ直前になっても旅が再開する実感が全くわかなかったモノの、
流石にカイロの空港でエアチケットを手にすると気持ちが変わる。

この時期、世界で最も過ごしやすいとも思える春のエジプトから、
赤道直下、熱帯雨林、雨期後期のカメルーンへと飛んだ。

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エチオピア、アディスアベバ空港にて。
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中央アフリカ共和国首都のバンギ上空。


深夜午前2時半のカイロ空港からからエチオピア、
中央アフリカを経由し、午後2時にドゥアラに降り立つ。

2度の経由と言う事で、ロストバッゲージの心配もある為に、
貴重品や最低限の旅道具は全てハンドキャリーにした。

運が良いのか当たり前なのか、無事荷物を手にする事が出来て、
そのまま以前自転車を預けておいたホテルへとタクシーで向かう。

流石に空港のタクシーはボッタクリが多く、ツーリストオフィスで
正規料金の3,000CFA(約400円)にてタクシーを手配してもらった。

むせ返る様な暑さはじっとしていても汗が噴き出し、
コレから始まる自転車旅の過酷さは容易に想像出来る。
「おそらく一ヶ月以内には体重が50kgを切るだろう。」
少々なまけた体を引き締めようと変な気合いが入った。

自転車を預けていたHotel Beausejour-Mirabelに行くと、
ホテルのスタッフは僕の事を覚えていてくれたようで、
「お帰りなさい。自転車と荷物は無事に保管してありますよ。」
と、笑顔で言われた時は安心感で全身の力が抜けた。

ホテルのスタッフは高級ホテルだけに英語も通じ、対応も丁寧で
優しく、高くてもこのホテルを選んだ事が正解だったと思える。

カイロのスターバックスで買ったお土産のクッキーを渡し、
チェックインを済ませ部屋で体を休める事にした。

この日は何もせず11時間近く気を失った様に眠った。

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翌日に自転車のメンテナンスを済ませ、完全に旅の準備が整う。
久々のパッキングに戸惑ったが、以前よりも荷物を減らし、
荷物の重量は25kg前後と、チャリダーでは最軽量の部類だろう。

道ばたで売っていた安いカメルーンの地図も手に入れ、
あとは走り出すだけの状態でこの記事を書いている。

ホテルで3泊した事で、気力も体力も充実している。

まずは首都のヤウンデまでの約300kmを走り、
今後行く目的地のビザの取得を試みる。

ヤウンデにていくつのビザが取得出来るか分からないが、
ガボン、コンゴ、コンゴ民主(旧ザイール)の3カ国を目標に、
とりあえずやれるだけの事はやってみようと思う。

そして明日の目的地はドゥアラより南東70kmにある、
『Edea(エデア)』と言う小さな地方の町だ。

3ヶ月の充電期間を終えて、新たな気持ちの中、
ようやくアフリカ後半戦が始まるのだった。


長い間お待たせ致しました。

この三ヶ月は僕にとってとても意味のあるモノであり、
かけがえのない時間を過ごせた事に充実感を得ております。

アフリカ後半戦はビザとの戦いや、治安の問題など、
旅の情報も少なく、不明な部分も多々ありますが、
出来るだけ無事に楽しく走りたいと思います。

出来るだけ記事を更新しますので、
今後ともよろしくお願い致します。

1.Apr.2012 箭内孝行