喜望峰をアフリカの最終到着地点と決めてその旅路を走りきり、
その余韻を味わいサイモンズタウンで2泊したら南京虫に刺された。
アフリカにてどんなに小汚い部屋でゴキブリと添い寝をしても、
いままで一度も南京虫には出会わなかったのに、ここに来て刺された。
久しぶりの南京虫の襲来はアフリカ縦断の勲章として受け止め、
幸いにも8カ所程度の被害で済んだ事でなんとか怒りをこらえる。
サイモンズタウンではシーフードをたらふく堪能し、
高台に登っては港を見下ろし、アフリカの旅路を思い返した。
因に宿はサイモンズタウンバックパッカーズ。立地も値段も問題無し、
とてもキレイでオシャレでスタッフも感じが良くて居心地は良いです。
運が悪いと南京虫に刺されるます。要注意。でも本当オススメします。ケープタウンまで40km程のラストランを無事に終えた。
ケープタウンは噂に違わず大都会で整然と整備された先進国の姿だ。
それはヨーロッパの大都市と何も大差はなく、不便さを感じる事もない。
ただ治安の悪さは街に足を踏み入れただけで肌に感じるものはある。
バックパッカー達はケープタウンは安全だ。とか言う人が多いのだが、
それはヨハネスブルグやラゴス、ナイロビの様な超凶悪都市と比べて、
安全であると言うだけで、そんなに気を抜いて良い街ではない。
やはりここでも黒人による犯罪には注意が必要で、
夕方以降は地元の白人達はほぼ街を出歩かない。
犯罪大国である事を忘れてしまうケープタウンの街ではあるが、
凶悪犯罪も急増している様なので最低限の注意は必要だ。
実際に自転車で走っていても歩いていても時折ちょっかいを出され、
その度に無視しながら早足で逃げる。
まあなんだかんだで何のトラブルも無くケープタウンでの
消化試合の様な余裕に溢れた楽しい時間を過ごす事が出来た。
宿はケープタウン直前にネットで調べた『キャット&ムースゲストハウス』
地球の歩き方に掲載されているようで日本人客が多く評判もよい。
地球の歩き方を提示すると割引もあるが、持っていなくても日本人だと
適当に割引され、長期滞在割引もある。良い意味でいい加減だ。
猫と犬をペットとして宿で飼っており、犬の名前はムースであるが、
猫の名前は不明だ。「キャット&ムース」と言うネーミングもまた、
そんな微妙ないい加減さなのか遊び心なのか考えさせられる。
可もなく不可もない設備だが、キッチンも使いやすく、
掃除も毎日こまめにドミトリーのベッドメイクまで
してくれるので居心地はかなり良いと言えるだろう。
ここで久々に多くの日本人に出会い日本語を話し、
何か全ての旅が終わってしまった実感を急に覚えた。
自国の言葉で話を出来ると言うのは本当に安心する。
最終地にても尚、また多くの旅仲間が増えた。
皆とは毎晩の様に酒を飲んでは二日酔い気味になった。
バラバラに集まりバラバラに旅立って行く旅仲間達と、
ワインが並ぶテーブルを囲んでは世界の情報が交わされ、
行った土地やまだ見ぬ場所の情景がその場に現れる。
玄人な旅人同士でなければ盛り上がらない様な話題でも、
ケープタウンで会う旅人達とは当たり前の様に話が出来る。
それぞれが持ち合わせたアフリカの話を繋ぎ合わせ、
アフリカ縦断の自転車旅が完全に完結した事を実感した。
ケープタウンの観光も適当に済ませ、海鮮丼やお寿司も食べ、
充実した日々を過ごしながら帰路へ向かう準備をする。
ウォーターフロントからはテーブルマウンテンが奇麗に見えます。
このエリアは高級住宅地もあり警備が完璧でとても安全。
自転車を梱包するダンボールは『Action Cycling』
と言う宿から歩いて20分程の所にある自転車屋さんで調達した。
サイクリストが多く、ここから何処かへ飛ぶ人も多いのだろうか、
予め店側が10個程度はカラの箱をストックしており、事情を話すと
すぐに無料でもらえた。(地図は
Google Mapに載せています)
宿にはもう1人日本人チャリダーが滞在しており、
彼もまたケープタウンが2年半の旅の最終地らしく、
偶然にも乗る飛行機が一緒だった事もあって、
空港までタクシーをシェアして行く事にした。
エミレーツ航空でドバイで乗り継ぎ、
彼は日本へ僕はロンドンへ飛ぶ。
様々な出会いを繰り返す事に旅の楽しみがあって、
ソレは人でもモノでも土地でも別れの寂しさでも、
結局は何でも良いのかもしれないと思う。
恒常的な非日常の連続の中では全てが超高速である。
しかしその一つ一つが強烈に記憶されているのは、
自分の足で進んだ、早くも遅くもない自分だけの
「確かなスピード」を体感したからなのだろう。
そんな旅で集めた僕の記憶や記録をブログを通じて
少しでも誰かに分け与えられたのなら、ある意味
それはささやかなお土産とでも言えるのだろうか?
とは言えコレから先の予定はまだまだ決めてはいない。
次の旅立ちがいつなのか、またコレで終わりなのかも、
それは実はまだ自分自身でも良く分かってはいない。
ただ一つ言える事は、旅をした人は旅を繰り返すと言う事だ。
なのでまぁ、その先はその先と言う事で。
とりあえずケープタウンを出発した飛行機の中でも南京虫に刺された
痒みがちっとも消えてない事は、旅がまだ続いている証拠なのだろう。
第5章 アフロスタイル ~完~
箭内孝行TERU-TERU Project Official ホームページにて
コンテンツを更新していますので合わせてお楽しみください。
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