青く澄んだ空よりもさらに深く青い海の上を、
真っ白なウミドリは飛ぶと言うよりは浮かぶ、
と言った方が正しい姿で遊泳している。

何気に一ヶ月半も滞在したイタリアを走り抜け、
フランス国境を超えてニースへとたどり着いた。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice04

5月中旬の暖かい日に地中海沿岸を走るのは、
海からの風と開放的な視界が続き気持ちが良い。

果てしなく続く様な海沿いのランドスケープは、
地形に添って何度も曲がりくねりながら、
その都度新しく新鮮な感動を与えてくれる。


1日100キロを走る事も無く調整を続けているので、
日照時間が長い夏時間のヨーロッパにおいては、
目的地に着く頃に辺りが暗くなる事は無い。

余裕を持ってマイペースに走る楽しみを感じている。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice01

町の雰囲気はしばらくイタリアのそれと、
あまり変わり映えがしないと思っていたものの、
ニースに着いて感じたのは、至る所が美しく整備され、
洗練されている町並みに妙な安心感を覚えた。

世界中からセレブが集まる町だけあって、
雰囲気も明るく様々な高級店が軒を連ねる。

仕事が入った事もあり、3日滞在するのを決め、
平穏で過ごしやすい町の中で疲れを癒す事にした。


自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice10
ニースでの職場。ホテルのテラスは開放的で最高です。

ビーチにはまだ5月と言うにもかかわらず、
多くの人が集い海水浴を楽しむ。

水は決して暖かいとは言えない、と言うよりむしろ冷たい。

欧米人は裸で寝る人が多く、冬でも半袖の人も多い。
体温調整が東洋人と違う。と良く言われるが、
目の前の彼らを見ると本当に違うものだと実感する。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice02

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice05


ニースには本当に緩やかで開放的な空気が流れている。
町中のカフェで昼下がりを過ごし、夕暮れ時には海を眺める。
町の東側にある海岸沿いの高台から町を見下ろしていると、
時間を忘れてその場に座り込みながらしばらく音楽を聴く。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice03

仕事をしてはそんな時間を楽しみ、また仕事をしては、
ワインを飲みながら地図を広げて旅程を組みなおす。

ちょうど滞在中にカンヌ国際映画祭が開催されていたので、
直ぐ近くであった事もあり、最終日のカンヌ映画祭へと足を運ぶ。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice09

とても充実したニース滞在であったのは間違いないが、
「この町に住みたい。」と、思える程に居心地が良かった。

素晴らしい町や景色は世界中にあるだろうが、
住みたいと思える程の町はそう滅多に無い。

そんな思いを抱いていれば、
また再び訪れる事もあるだろう。

しばらく居るとここから抜けられなくなりそうなので、
惜しむ気持ちを抑えつつ更に西へと進むのだった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Nice07

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順調に西へ西へと進んでいます。
しかしフランスの物価は高いので、円高が続く事を望んでいます。
生ぬるく乾いた風が心地よく、汗を乾かしては吹き抜ける。
山道は延々と続く曲線を描いて、その上をひたすらに走った。

持っていた荷物を大幅にカットしたせいもあり、
久々の走り出しであってもペダルが軽く感じる。

あまり無理しないように一日70km程度しか走らず、
余力を残しながら徐々に調整する事にした。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Cinque Terre01

意外にもブランクを感じる事はほとんどなく、
いつの間にか北イタリアの港町『ジェノバ』に着く。

高い丘の上にあるユースホステルまでは、
迷路のように入り組みながら延びる急な道を、
九十九折に何度も方向を変えながら上る。

町に着くまで走る数十キロの道のりよりも、
ホステルに着くまでの数キロの坂道のほうが
断然厳しく、宿に着く頃には体力の限界を迎えた。


$自転車世界横断!!TERU-TERU project-ジェノバ03


ホステルからの眺めは素晴らしく、目下に広がる港を
ワインを飲みながらぼんやりとしばらく眺めた。

ジェノバは古くから港町として栄え、
現在も多くの人が訪れ町はにぎわう。

急な斜面にへばりつく様に拡大した町は、
独特の趣を感じさせる美しさを作る。

イタリアは北から南までこれまで多くの都市を訪れ、
その中でジェノバにはあまり期待していなかっただけに、
イメージとのギャップに驚いたのだが、
それ以上にその美しさに感動させられた。 

イタリアといえばローマやベネチア、フィレンツェなどが一般的に
旅行で周るメジャールートであり、ジェノバを訪れる者は少ない。
ホステルにも外国人よりイタリア人の国内旅行者が多い。

しかしながら、それは皆ここのよさが分からないだけであり、
またあまり特筆して紹介されていないからであろう。

ホステルには周辺の観光地の周り方が記載されており、
その中に特に目を引く美しい写真が数枚展示されていた。

『チンクエテッレ』と呼ばれるその土地には、
11世紀頃から5つの小さな村が存在し、人々は
断崖絶壁の痩せた土地であるにもかかわらず、
工夫を重ねてワインを作って生活をきりもりしていた。

試行錯誤を重ね、栽培し育てあげられたワインは、
知恵と努力の賜物であり、そんな不屈の精神を称え、
貴族達は好んで食卓に並べたらしい。

現在はこれらの村を結ぶ散歩道があり、
全ての村を歩いて見て周る事が出来る。

観光と運動がてらに気軽に『チンクエテッレ』へと行ったものの、
そこへ着いてすぐに、あまりの風景の美しさに足が止まった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Cinque Terre02

断崖絶壁にへばりつく色とりどりの建物に、
岩肌や木々や青々とした海や波飛沫の白さ。

都会に散乱するネオンサインの騒々しさよりも、
自然の風景の中に存在する情報量の多さに、
整理が追いつかないまま感動が先走りした。

歩き出す前にしばらく目の前の景色に時間を忘れる。

ジェノバから行った場合、最も奥にある『リオマッジョーレ』から、
地中海沿いに5つ全ての村を歩いて周る事にした。


自転車世界横断!!TERU-TERU project-Cinque Terre03
↑ここが世界遺産に登録されていると、来て初めて知りました。
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↑2つ目の村『マナローラ』
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↑小腹が減ったら適当にピザを食べる。
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↑マナローラを振り返る。
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↑3つ目の村『コル二リア』は遠く山の向こう。。。
ワインの段々畑が斜面を埋め尽くし、石垣の総延長は6700kmもあり、
日本を往復する距離に相当する。

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↑道を登り更にマナローラ振り返る。
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↑4つ目の村『ヴェルナッツァ』
まだ泳ぐには寒いのに海に入っている人が数人いる。

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↑最後の村『モンテロッソ』の海岸。歩き始めて6時間が経った


ここは間違いなく僕がイタリアを訪れて最も感動した場所である。

イタリアには、あまりにも有名な文化遺産が多過ぎる為、
他にも素晴らしいモノが数多く存在しても知られる事は少ない。

まだまだ有名ではない観光地ではあるものの、
もしイタリアを訪れる機会があるのであれば、
『チンクエテッレ』に足を運んでみてはいかがでしょう。

ここを訪れたのであれば、誰もが日常を超越した感動を得るだろう。




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現在イタリアを抜けてフランスに入国しました。
ニース、カンヌを経由しマルセイユを目指します。
このままどこへ行こうか?

そんな事を春ど真ん中のミラノで考える。


ずいぶん長いあいだ離脱していた旅が再開するにあたり、
不安と緊張が少なからずはあったのにもかかわらず、
実際はパソコンを再起動する時の様な、どこと無く安易で、
それでいて何か一つが終わったすっきりとした気持ちでいる。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Palermo 30℃07

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Palermo 30℃06

新たな相棒(自転車)を調達すべくミラノにやってきたのは、
イタリアのメーカーから提供してもらおうと思っていたからなのだが、
連絡を取り合うにしてもレスポンスの遅さにイライラしていた事もあり、
その段取りを取りやめて、自力で自転車屋さんをまわることにした。

イタリアでは古くから自転車の文化が根付いている事もあり、
町には小さな自転車屋さんが数多く存在する。


何軒もまわり話をしながらお気に入りの自転車を探す。

とは言うものの予算に上限がある為、
多くは望めないのが現状だ。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Palermo 30℃10

十数軒のお店をまわって話をしていると、
とても気の良い主人がいるお店に出会い、
そこでお手ごろの自転車を発見した。


僕の旅の話をし、自転車がパレルモで盗まれ、
鞄がローマで盗まれ、イタリアで多くを失い、
東南アジアへ旅に出て、ロンドンで仕事をして。。。。


旅の写真を見せながら話をしていると、

「わかった!ホントにすまなかった。
でもイタリアを嫌いにならないでくれ。」

と、「これが欲しい!」と、言っていたマウンテンバイクを、
おそらく原価ギリギリか原価割れしていたのは確実なのだが、
大幅プライスダウンで譲ってくれた。


やはり気持ちは通じるものなのだ!


この後も、鍵やキャリアを特別におまけでつけてくれて、
あれやこれやと言う間に新たな相棒が誕生したのだった。


「3時間で組むから後で来てくれ!」


日本の自転車屋だったら数日待たされる作業も、
イタリア人の職人は時間をかけずにこなす。

このお店はすごく小さな店構えであっても、
いつもひっきりなしに色々な人が訪れ、
小さな故障の修理や、自転車の相談をしている。

おそらく、この主人の人柄と職人技に信頼があるからだろう。


僕の新しい相棒もこの店で見つかって本当によかったと思う。


3時間後に店に赴くと、そこには完全に旅仕様の相棒がいた。



「これならまた再び走り出せるだろう。」



そんな事を一目見た瞬間に思わせた。


「ポルトガルに着いたら連絡をくれよ。」


主人は別の作業をしながら笑って語りかける。



ミラノにも、また再び訪れなくてはならない理由が出来た。


自転車世界横断!!TERU-TERU project-ミラノ


フロントキャリアが無い今回の相棒には、
現在の荷物を全て搭載するのは不可能なので、
ミラノで多くの荷物を切り捨てることにした。


今まで以上に軽快な姿に変貌し、
気分も晴れ晴れした5月中旬に、
ミラノを第2のスタート地点として、
自転車の旅が一気に再開するのだった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-ジェノバ02

自転車世界横断!!TERU-TERU project-ジェノバ01

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↑現在走り出して、港町のジェノバに辿り着きました。
流石に突然のサイクリングは体にこたえます。。。
これからどうなる事やら不明ですが乞うご期待!