不安定な天気が続く中、それでも運良く追い風に助けられ、
時折降る小雨で汗を流してはピレネー山脈を背に
スペイン北東部カタルーニャの田舎道を南へと走る。

山がちな道は何度も上りと下りを繰り返しながらも、
順調にペースもあがりあっという間にバルセロナに着いた。

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バルセロナと言えば『サグラダ・ファミリア教会』、
『アントニ・ガウディ』を思い浮かべる人も多いだろう。

学生時代に建築を勉強していた僕としては、
バルセロナには以前から思い入れがあり、
ガウディーの建築を実際に見たいと思っていた。


バルセロナに着くなり真っ先にサグラダ・ファミリアに向かい、
正門の前にある公園のベンチに座りしばらく眺めた。

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修復と建設が並行して行われている為、
教会の回りには聖堂の塔と並ぶ様に、
重機が立ち物々しい雰囲気はあるものの、
その造形と存在感に誰もが釘付けになる。

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1882年に着工され、その時は別の建築家の設計だったのが、
意見の対立から翌年に辞任、その後にガウディーが任命され、
設計を一から練り直したのはあまり知られていない。

1926年にガウディーがミサへ行く途中、
路面電車に轢かれ轢死した後も、
その意思を受け継ぎながら現在も建設を続け、
没後100年の2027年を完成目標としているが、
完成は2250年頃になると予想されている。

多くの古い教会は、現在では考えられない程の
長い年月をかけて作られ、世代を超えて意思を
次ぎながらようやく完成されている。
(現在は日本人彫刻家の外尾悦郎氏が主任彫刻家をつとめ、
00年に完成させた「生誕の門」は世界遺産に登録されている。)


そんな多くの人達の思いを考えながら眺めるサグラダ・ファミリアは、
旅の疲れを忘れさせ、物思いに耽りながらただ時間を過ごした。


その他にもバルセロナには多くのガウディー建築が残り、
『カサ・ミラ』『カサ・バトリョ』『グエル公園』はあまりにも有名だ。

それらをゆっくりと見て回り、天気が良い日は港で船を眺め、
ランブラス通りの大道芸人を観察してはたまにパエリアを食べる。

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興味深い物がありすぎるバルセロナの街は、
1日や2日では到底見て回る事は不可能だ。

ここまで早足で自転車を走らせて来た事もあり、
少々腰を据えてバルセロナを観光する事にした。


旅中で2度一緒になったマッサージ師マサシ氏の紹介で、
現地で暮らしている日本人の方を紹介してもらい、
バルセロナ滞在中は大変お世話になる事になった。


これからスペインを横断するにあたり、
ここで色々な情報や感覚をつかもうと思う。


ワールドカップが開催し、サッカーが盛んなスペインでは
各国のユニフォームを着た人々が街中を歩いている。

変な小競り合いや喧嘩が時折勃発する中、
お祭り騒ぎのバルセロナを堪能するのであった。

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ピレネー山脈から吹く風は木々を斜めに揺らし、
小高い山の上には巨大で真っ白な風力発電の
プロペラが何本も並んで回っている。

風に目を細めながら何を考えるでも無くペダルをこぎ、
上りと下りを繰り返す道を気ままにのんびりと走っては、
適当な町を見つけて宿を探し、また次の日に走り出す。

やはり荷物を20kg近く減らしたせいもあり、
風によるストレスもかなり少なくて済む。

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奥に見えるのがピレネー山脈
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フランス滞在最後の町『ペルピニャン』
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スペイン国境の町『ポル・ボウ』


南フランスの約800kmを2週間程で走り抜けスペインに入った。

EU圏に入ると国境を越える感覚が全くないので、
それを感じるのは耳にする言葉が変化した時だ。

カフェで休憩をした時に聞こえるスペイン語を聞きながら、
トルティーリャ(スペインオムレツ)を食べて入国を一人祝う。

天気は自転車で走るにはちょうど良い曇り空で、
空気も乾燥しているので疲労感をあまり感じない。
やっと体力が戻って来たのを感じた。


スペイン国境の小さな村に一泊した後、
南に下り『ジローナ』へと辿り着いた。

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『オニャー川』の畔には旧市街のアパート群が浮かぶ様に並び、
それらは町のファザードとしてジローナを象徴する景色を作り、
町を見下ろす大聖堂を囲む、高く重厚な城壁は旧市街を囲み、
ナポレオン軍に対して7ヶ月以上抵抗したと言う事実を物語る。

旧市街の旧ユダヤ人居住区には石畳が敷かれ、
小さな商店がいくつも並び素朴で味のある情景を作る。

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パレスチナの支援船がイスラエルに迎撃された事で、
アラブ人達は広場に集まり、パレスチナの旗を広げては
抗議のデモを行い何かを叫んだ後に祈りを捧げていた。


久しぶりにパレスチナの国旗を目にして、
イスラエルで参加したデモを思い出した。

ヨーロッパに入り、デモの光景を目にする機会が多い。
大きな都市では何らかのデモがほぼ毎週行われている。

労働条件、人権問題、政治や環境問題など、
声高に主張を唱えては活動をアピールする。

日本ではよっぽどな大事件でない限りあまり目にする機会が無く、
もしやっていても大部分の人は他人事として通り過ぎる。

普天間の米軍基地移設問題で行われる地元住人達のデモ活動も、
それらを皆が問題視するのであれば日本国中で行われるだろう。


欧米人は社会問題や政治に感心が強いと言われているが、
実際こうしたデモを目にするとその意味が良く伝わってくる。


彼らは彼らの主張を過激に且つ個性的に表現する。
中にはお祭り気分で楽しんでいる連中も多く混じっているが、
少なくとも何もしないよりは、一つアクションを起こしている分、
主義主張を不特定多数にアピールする事が可能だ。


国民性の違いがあるにせよ、
こう言った状況を度々目の当たりにすると、
欧米人のパワフルな活気を身近に感じる。

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スペインに入りユーラシアの最西へより一層近づいた。

数多くの見所が存在するスペインは、
何度も僕を足止めする事だろう。

南仏からスペイン北東部カタルーニャ地方にはいり、
ジローナを少々観光した後、再び走り出すのだった。



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順調に走ってバルセロナに到着しました。
マルセイユの旧港に停泊するヨットのポールは垂直に立ち並び、
多くの人がその景色の中を行き交い港はにぎわっている。

遠くの丘の上に建つノートルダム寺院が太陽に照らされて、
象徴的な景色を作り出し、カフェでくつろぎながらそれを眺めた。

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南フランスの真ん中辺りに位置するマルセイユは、
フランスを代表する大都市だけあり街は込み合い騒がしい。

治安の悪さで有名なこの街にはあまり滞在する気も無く、
マルセイユ名物のブイヤベースを食べれればそれで満足だ。

実際にヨーロッパの多くの街を訪れたが、ここの雰囲気は異質だ。
多くの人種が共存しているのは珍しい事ではないにしろ、
先入観などではなく、実際に危険な雰囲気が漂っている。

アル中のホームレスはあちこちにたむろしているし、
酒のビンを持ったまま殴り合いの喧嘩をしていたり、
犬のフンとガラスの破片が道に散らばっている。

以前に比べれば、かなり治安は改善されたと聞いていたが、
では以前はどれほどヤバイ街だったのだろう?と思ってしまう。

人口と交通量に対して道幅が狭いので、
自転車でここを走るのは困難な為か、
あまり自転車の姿を目にする事はなく、
僕も注意しながら街中を走った。

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古くから主要な港町として栄えていただけに、
丘の上に上り街を見下ろすと、大小様々な船が行き交う。
日本人の一行が航海の後、最初に到着したフランスの地も
このマルセイユの港だったらしい。

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一通り自転車で町を回って、夜はレストランでブイヤベースを食す。
皿一杯に盛られた魚介類とスープは一人では多すぎる位だ。
魚介類を食べた後のスープにパンを落として食べるのが、
ここでは一般的なスタイルの様だ。

そんなマルセイユに2日滞在し、また次へまた次へと進む。

ローマ劇場が残る『ニムス』と言う町を経て『モンペリエ』に着く。
モンペリエでは偶然に絵本作家や漫画家の見本市が開かれ、
広場には特設会場が設置され国内の作家さんが集まっていた。

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ここでも美味しいフレンチをいくつか食し、
フランス料理の繊細さと芸術性に感心した。

風が強くても、誇りが待っていても、交通量が激しくても、
天井も壁も無い外で食事をとるのが一般的なスタイルで、
日が暮れる9時頃にはレストランの前に並ぶテーブルを囲み、
大勢の人が食事を楽しんでいる。

犬のフンでドレスが汚れない様にハイヒールが作られた。
と、言われる程、実際に放し飼いの犬があちこちにいる中、
決して衛生的には良い環境とは言えないにしろ、
オープンレストランには日本とは異なる情景が存在する。

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「食」は文化や国民性を知るのにはもとても重要で、
あまりケチケチしているとそれに触れる事も出来ない。

確かにフランスの物価は高く、日本の2割り増し位の感覚だ。

それでもやはり現地で旬のフレンチを注文し食べると、
値段以上に満足感と幸福感を得る事が出来る。

イタリア、フランスと「食」が洗練された地域を旅し、
毎日の食事を考えるだけでも楽しみがあった。

そして南フランスをあっという間に走りぬけスペインに入る。

スペインもまた様々な「食」の宝庫であり、楽しみが尽きない。

しかしまあ調子に乗って外食しすぎてしまったので、
少々出費を抑えなくてはならないと思うのだった。
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