5月の南イタリアは既に初夏の香りに包まれ、
建物に反射する日光と青空が眩しく目をくらます。

空港を降りた僕は着ていた上着をカバンにしまい、
バスが出発するまでシチリアの海をしばらく眺めた。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Palermo 30℃02

資金稼ぎの為に約1ヶ月滞在していたロンドンは、
未だに冬の寒さが残り外出するのが億劫にる。

そのせいもあってか、数週間で荒稼ぎする事が出来て、
余計な出費も抑えられ無事再びイタリアへ戻れた。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-london1001

わざわざパレルモへやって来た目的は一つしかなく、
半年前に預けておいた荷物をピックアップする事である。


自転車を盗まれた場所へ荷物を取りに来るだけの行為。


大事なモノ失い、途切れそうになった気持ちを繋ぎ止める為に、
無駄な寄道になるのは覚悟の上で判断した事であった。

それが良かったのか悪かったのかは分からないが、
再びここへ戻り、埃のかぶった荷物を目の前にすると、
旅が再開する事のリアリティーを感じる。


宿の主人も僕が戻るのを待ちわびていたようで、
その日はシーフードレストランに連れて行かれ、
皿一杯の魚介類をたらふく 御馳走になった。

わずか2日間のパレルモ滞在ではあったが、
完全に気持ちが旅モードに切りかわった。


現在は新たな自転車を調達すべく、
北イタリアのミラノに滞在している。

自転車は明日には調達する予定だ。


のんびりし過ぎた半年を思い返しながら、
3ヶ月以内でポルトガルのロカ岬を目指し、
この先は足速でひたすらに西へと進む。

ミラノにて新たな相棒を仲間に入れ、
ようやく自転車の旅が再開するのだった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Palermo 30℃04

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Palermo 30℃03

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年中暑いバンコクから、冬の寒さが残るロンドン、
夏の様に暑いパレルモ、清々しい春のミラノ。
季節感が狂ってしまいそうな移動でした。
自転車世界横断!!TERU-TERU project-trevi02


ローマテルミニ駅の本屋で、雑誌を立ち読みしている時、
ふと開いたページに写る美しい集落の写真が目に付いた。

小高い山に沿って家々が重なり合うように積み上がり、
集落全体が一つの巨大な要塞のように思えた。


ここに行ってみたいな。


そんな事を思い場所を調べると、
ローマから電車で2時間程度の
『トレビ』と言う町だと分かった。

そうと分かり、思いたったら行くしかない。

そのまま本屋を出て、時刻表を確認し、
切符を買ってトレビまでの小旅行と決め込む。

晴天のローマは春の陽気も手伝って暖かく、
上着を羽織って歩くと汗ばむほどだ。


田園風景には青々と草が茂り、
草花が咲き、春の息吹を感じる。

桜と見間違えるアーモンドの花は白くひかり、
空の蒼とのコントラストが美しい。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-trevi03

静寂な自然の営みの中にありながら、
その静寂を壊すことなく町が存在する。

長い歴史の中で、自然と共存しながら成長した姿は、
もはや単なる人が住むだけの集落とは言いがたい。
蔦が絡まりながら独自の成長を遂げるかのように、
集落全体が一つの有機体の様に進化をとげていた。

現在目の前に映る『トレビ』の姿は、
自然に飲み込まれた巨大な古城に見える。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-trevi01

トレビの駅前からはバスが出ており、
山の頂上にあるトレビの中心地までは、
普通それに乗って行くらしいのだが、
せっかくここまで来たことだし、
時間もあるので地道に歩く事にした。


4キロ程の登り道は、建物の間に入り組んだ、
細い迷路のような路地を迷いながら歩く。

人の姿はほとんど見当たらず、
時折老人とすれ違うだけ。
廃墟の中を散策する気持ちで、
妙に好奇心が先行した。

頂上まで約1時間かけて登りきったものの、
特にやる事を決めていたわけでもないので、
春の清々しさをコーラを飲みながら堪能する。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-trevi04

まあ思いつきで飛び出したショートとリップで、
何があるわけでもなく、ここに来たかっただけ。

見たいものを見たいと思ったから来たに過ぎない。

旅なんて言うものは所詮そんな物であって、
大げさに誇張する程たいそうな物でもない。

僕はただ、数時間前に立ち読みした雑誌に誘われ、
今ここに座ってコーラを飲んで物思いに耽っている。

何とも自分の感情に素直で自然な行動ではあるが、
実際の日常生活ではそう簡単に行動には移せない。


日本での生活の記憶が少しずつ消えてゆく中、
仕事に追われていた自分は自然な成り行きで、
思いのままに小旅行ができていたのだろうか?


そんな小さな感動を身近に感じ取れていただろうか?


日本を離れて2年が経つ頃、久しぶりにそんな事を思う。

色々と大事なモノを失い、身軽になりすぎた今は、
これから旅立つ前の準備段階に逆戻りした気分だ。


春の香りはどの国にいても気持ちを高揚させる。

自転車は上手いこと手に入るだろうか?


ヨーロッパ後半戦はこれから続く。(おそらく)


自転車世界横断!!TERU-TERU project-trevi05


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自転車世界横断!!TERU-TERU project-rome001

春のローマはバンコク帰りの身には少々肌寒い。

薄手のダウンジャケットを羽織って街を歩くと、
5ヶ月前に自転車で走り回っただけあり、
十分に土地勘が残っているのが分かる。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-rome003

妙な懐かしさを感じながらローマを眺めると、
数ヶ月前にイタリアで自転車と鞄を盗まれ、
イタリアに対して最悪のイメージしか残らず、
警察署内で暴れまくった事が思い出された。

しかし、あの時の怒りはもうほとんど消えて、
今は新しい目標に対しての予定を組んでいる。

いつまでも昔の話をするのはナンセンスだ。

事件後はイタリア人と何度も喧嘩を繰り返したが、
それも今となっては思い出の一つに過ぎない。

上海から20,000km以上走った自転車の旅も、
しばらく休んでいたがもうすぐ再開できそうだ。

とりあえず鈍った体が動くか心配ではあるものの、
それはそれで時が来たらマイペースに進むだけ。

今は春のヨーロッパを楽しみながら、
久々のイタリアンを食べてはワインを飲む。
年中蒸し暑く季節感の薄いバンコクに比べて、
四季のはっきりとした特性がある地域において、
季節ごとの楽しみを堪能しなくてはもったいない。

少々のんびり過ごした後に、再びシチリアに向かい、
預けていた荷物をピックアップしてから旅が再開する。


新しい相棒は何時どのタイミングで現れるのか?


その段取りを試行錯誤しながら、
約一ヵ月程は待機するのだった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-rome004

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