はじめに:あなたは親に「自由に会えていますか?」

 

高齢になった親が施設や子どもの家で暮らすようになると、

 

「あれ、最近お母さんに会えてないな…」

「電話もつながらない…」

 

と、ふと違和感を覚えることがあります。

 

そう感じたとき、もしかしたら起きているのが「囲い込み」かもしれません。

 

これは相続や介護の問題以上に、深刻な“心の問題”を生み出します。

 

本記事では、公認会計士・税理士として家族問題に長年関わってきた立場から、「囲い込みとは何か」「なぜ起きるのか」「どのような実態があるのか」を、多面的に解説します。

 

 

 

 

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囲い込みとは?定義と特徴

 

囲い込み(かこいこみ)とは:
高齢の親に対して、特定の子どもが物理的・心理的に接触を独占し、他のきょうだいや親族との面会や交流を制限・遮断する行為のことを指します。

 

この行為には、次のような特徴があります:

  • 【閉鎖性】:親が住む家や施設に他のきょうだいを近づけさせない
  • 【情報遮断】:親の健康状態や生活状況を知らせない
  • 【心理的支配】:「他のきょうだいは危ない」「お父さんは会いたがっていない」などの言葉で親の不安をあおる
  • 【目的隠蔽】:表向きは「親のため」と言いつつ、実際には財産管理や相続の主導権を握る意図がある場合も
 

 


 

実際に起きている「囲い込み」の事例

 

① 施設に入所したとたん、会えなくなった母

 

東京都に住む50代の女性は、母親が認知症になり施設に入所した後、兄夫婦から「もう会いに来ないで」と告げられました。
理由は「混乱するから」というものでしたが、実際は母の預金口座や通帳も兄夫婦がすべて管理し始めていました。

 

② 電話も届かず、年賀状も戻ってくる

 

実家に住む弟が父を“囲い込んだ”結果、他のきょうだいが何をしても父に届かなくなったケースも。手紙や年賀状も「宛所に尋ねあたりません」と戻ってくるのです。

 


 

なぜ囲い込みが起きるのか?

 

背景には複雑な要因が絡んでいます。

 

1. 相続や財産管理への意識

預金や不動産があると、「管理する側」に立った人がそのまま“決定権”も握ろうとしがちです。特に親が認知症などで判断力が低下すると、「自分が面倒を見ているんだから」と言って、独占的に振る舞うケースが増えます。

 

2. 家族関係のゆがみ

幼少期からのきょうだい間の確執、親との関係性の偏り(いわゆる“ひいき”)などが、「囲い込み」という形で表面化することも少なくありません。

 

3. 本人の自己愛性傾向

「自分が親を守っている」「自分だけが正しい」と信じて疑わない子どもが、他者を排除することで安心感や優越感を得るというケースもあります。

 

 


 

囲い込みは、なぜ問題なのか?

 

● 親の“人権”が侵害されている

囲い込みは、親の意思や感情を無視して「管理される対象」として扱うことになります。これは本人の尊厳を損なう重大な問題です。

 

● 他のきょうだいとの「心のつながり」を奪う

「親に会いたい」という自然な気持ちを否定されることで、精神的なダメージや無力感、罪悪感を感じる人も多くいます。

 

● 相続や成年後見制度との関係でもトラブルが起きやすい

囲い込みが長期間にわたると、「遺言書を書かせた」「後見人と組んで財産を独占した」など、法的な争いに発展するケースもあります。

 


 

解決への第一歩は、“構造を見ること”

 

囲い込み問題の厄介さは、「一見すると家族内の個人的な問題」に見える点です。

しかし、ここには

 

  • 力関係の偏り
  • 情報のコントロール
  • 感情の支配
 

という“構造的な支配”が存在しています。

 

つまり、ただ「話し合おう」「仲直りしよう」では解決できません。

重要なのは、家族の関係性における構造そのものを見直し、外部の視点や専門的支援を得ることです。

 

 


 

おわりに:「親は家族みんなのもの」という当たり前を取り戻すために

 

「囲い込み」という言葉はまだ法律に明確に定義されていません。
しかし、現場ではすでに多くの人が親に会えず、苦しんでいます。

この問題に取り組む上で、私が大切にしている信条があります。

 

「親は家族みんなのもの」

 

誰か一人が親を独占してよいはずがない。
“関わり方”には違いがあっても、“つながり”を断ち切る権利は誰にもないのです。

 

もしあなたが「親に会えない」と悩んでいるなら、あなたの感じているその悲しみや怒りは、まったく自然なものです。

まずは、その声を誰かに届けるところから始めてみてください。

 

 

 

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