これは最近地元にてゲット品。イギリスのThe National Jazz Federationが主催して54年10月にロイヤル・アルバート・ホールにて開催された「Traditional Jazz at the Royal Festival Hall, London」というコンサートの実況録音盤で、1955年にリリース。 国内盤ですがデッカのスタンパーを使ってます。ジャケットもボロボロにて3桁で買えましたが、このレコードはロック史において重要なのです。
と、いうのもロニー・ドネガン・スキッフル・グループの演奏した2曲が収録されているから。
よく知られているように、スキッフル・ブームでイギリスの若者たちが続々と洗濯板と茶箱ベースで演奏を開始。そんななか56年に結成されたのが、後にビートルズとなるクオリーメン。つまりロニー・ドネガンがこのコンサートに出演するくらいの人気を博してなかったら、ビートルズの結成はなかったというワケ。さらに言うとロニー・ドネガンが元々所属していたバンド、ケン・コリアーズ・ジャズメンもこのアルバムに収録。このバンドのライブの休憩時間にドネガンはスキッフルを演奏し始めたらしいので、こちらも重要です。(演奏しているのはトラディショナルなジャズやフォークですが)
そのロニー・ドネガンの演奏ですが、どれくらいグルーヴィなのかと思ってましたが、フォークに少しジャズが混ざった感じ。ですが他のグループと違って歌にグリッサンドを多用していて歌い方がかなり異なること、音チェックのときにパラパラと弾いたギターのフレーズに少し不協和音があったこと、が特徴かな、と。いずれにしても、ここから10年でビートルズがジャズやカントリーの祖国を征服してしまうことを想像するのは難しいですね。
イコライザー・カーブをデッカにすると、70年以上前のライブ録音とは思えない鮮明な音でロック史を追体験できます。