3.11を目前にもう一度あの原子力発電所の事故を考える。 | 井上政典のブログ

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 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 先日からの奈良林先生との講演で得た内容について整理します。

 

 コメントを見ても、原発=悪という構図から抜け出ていない感情突出型の人や、いまだに再生可能エネルギーで日本のエネルギーが賄えると思っている空想理想主義の人や、新技術で解決すると思い込んでいる時系列のわからない人などが散見されます。

 

 ただここは技術屋のブログではないので、細かい数字は自分で調べてください。奈良林先生のお話をもとにその考え方を中心に書いていきます。

 

 まず、福島第一原子力発電所の不幸な事故は、地震ではなくその後に起きた津波による全電源喪失となり、冷やすことができなくなったために、冷温停止後の緩やかな崩壊熱で冷却水が自然蒸発したところへ水素ガスが発生し、建屋内に充満。何らかのはずみでそれに引火し、水素爆発を引き起こし、放射性物質が外に放出されたという不幸な事故でした。

 

 あれだけの大きな地震でしたが、自動的に制御棒が入り安全に原子炉は停止しています。もっと震源地に近かった女川原子力発電所や福島第二原子力発電所が、電源が生きていたためにその後の重大な事故につながらず、特に女川原子力発電所は、被災者のための避難所としてしばらく使われるほどで、のちにIAEA(国際原子力機関)から表彰を受けたほどでした。

 

 そのため、事故後の研究で冷やすための設備や電源の多様化、津波の侵入を防ぐための装置やテロ、航空機ミサイル防護など屋上屋の対策が講じられ、原子力発電所は沿岸のすべての施設の中で一番津波等に強固な作りになっています。

 

 もし、南海トラフ地震のような巨大地震が発生し、太平洋岸を津波が襲っても津波対策を施した原子力発電所以外は壊滅的な被害を受けます。しかし、原子力発電所からの電力で災害後の復興を支えることができるようになっています。

 

 放射性物質を屋外に放出させないために、放射性物質を水にくぐらせるベント装置を奈良林先生を中心に開発し、BWRはそれをつけないと再稼働は認められず、格納容器が大きなPWRは5年以内につけることを条件に再稼働が認められています。これにより、放射能は外に出ないようになるそうです。

 

 こういう内容は、マスコミがきちんと取材をして視聴者にわかりやすいように解説して国民の不安を取り除くべきなのですが、報道しない自由を駆使して、産経新聞以外は全くと言っていいほど国民に真実を伝えようとしません。

 

 興味のある人は下記のURLから日曜日の午前中に放送したスタジオ日本日曜討論の動画をご覧ください。

 

 https://touron.live/archive/?bid=753

 

 私はすべての電源を原子力発電にすべきだとは言っていません。ベースロード電源を原子力にして残りを多様な電源で補うべきだというベストミックスを支持しています。

 

 でも、再生可能エネルギーではそのベースロード電源になりえないという説を奈良林先生との対談で確信しているのです。

 

 再生可能エネルギーと火力発電所はセットで必要です。なぜなら、太陽光発電で日が陰ったらその前に火力で電気を生産しておかねばならないからです。

 

 そこには、需要と供給が常に一致しておく必要があるという原則があり、蓄電技術の進化によりある程度のタイムラグは可能になっているようですが、長い時間それに耐えうるだけの技術は実用化されていません。

 

 この実用化という概念も、技術が開発されていても、実際に装備されていなければ実際に国民の生活を守れません。新技術が開発され、実験に成功しても費用や建設時間を考えるとすべてに設置するまでに20年から30年の時間がかかってしまいます。

 

 あのメタンハイドレードでも、もう少しで実用化にこぎつけるということですが、それがすべての発電所で使えるようになるには生産技術や輸送インフラ、備蓄インフラなどを考えても将来には有望なエネルギーでも、今日や明日の需要には賄えません。

 

 その現実を何も考えないで議論をされようとする人が多く困っています。実務家の人はその現実を教えてあげてください。

 

 もし、電気が一瞬でも需要を供給が上回ったら、停電が発生します。そしてそれが最悪の場合は東京電力一円に広がる可能性もあるのです。それが実際1月の大雪の時に起きそうだったということを聞いて身震いしました。

 

 関係者の必死の努力によるそれが回避されましたが、もし起きていたらと思うと老人や幼児がいる家庭など、オール電化が進んでいる中、電気が止まればどれだけの被害が出るのでしょう。

 

 現実のこととしてとらえなければ、明後日の電気のことを話していても仕方ないのです。

 

 CHINAの用意周到なエネルギーの世界戦略を知れば知るほど、原子力に反対派のノー天気な意見に腹が立ちます。

 

 奈良林先生が部門長として『日本機械学会誌の2011年4月号VOL.114 No. 1109号』にまとめられた内容を見てみましょう。

 

 6000人の技術者学者の頂点として各発電装置の有用性を調べた研究成果が書いてあります。

 

 もちろん、太陽光やバイオマス、風力、さらには鶏糞を使った発電装置など多岐にわたりそれぞれの専門家がその検証結果を持ち寄っているのです。

 

 その研究を通して現状では安全性を高めた原子力が一番優れているという結論に達したそうです。30年後はまた別の発電装置が実用化されるかもしれません。しかし、当面は原子力の未来の方が期待できるということなのです。ご興味ある方は図書館等で上記のバックナンバーで検索してはいかがでしょう。

 

 先の不幸な事故で放射線によって亡くなった方はおられません。

 

 しかし、1ミリシーベルトいう非科学的根拠による規制値の変更は、多くの住民を故郷から引き離し、いまでも数多くの帰宅困難者を生み出しているのです。

 

 チェルノブイリでの研究で300ミリシーベルト以下では何の放射線障害は出ていないことがわかっています。

 

 ウクライナの人は広島長崎の原爆のデータから学んだそうです。あの時に広島長崎では除染活動などしていないことが多くの生存者の方々から聞いています。

 

 「黒い雨」にうたれても何の放射線障害は出ていません。あれは小説だけのフィクションだということが専門家から証明されています。

 

 被爆二世?そんな人は存在しません。あくまでも風評被害です。どれだけの人がそれによって差別されてきたのか。

 

 またそれを反原発派は福島の人々に対して行っています。なんの障害も出ませんし、あの線量からは今後も出ません。

 

 ちょっと専門家に聞けば、すぐに真実がわかります。でも、それを知ろうともしないで、怖い怖いと小沢一郎や菅直人のように逃げまどっています。

 

 広島長崎の生命表を見てください。他の地域と全く変化がありません。福島も生命表に何の変化も見られないはずです。

 

 見えないものに恐怖するのは人間ですからわかりますが、きちんと解明されている科学や日本の技術者を信じてはいかがですか。

 

 私はわからないことがあれば、わかる人に聞くようにしています。

 

 その聞く人もできるだけ詳しい人に聞くように心がけています。原子力の問題で日本で一番詳しいのはこの奈良林直先生です。

 

 それは傑出した教授賞をIAEAとOECDの下部機関から世界で一人だけ授賞するという世界も認めている権威です。その人が言うこととそこら辺の似非専門家が言うことのどちらを信じる方がいいのでしょう。

 

 これでもまだ信じられない人は、放送のアーカイブを素直な目でご覧ください。

 

 https://touron.live/archive/?bid=753