再生可能エネルギーは自然に優しいどころか、自然に最も厳しい! | 井上政典のブログ

井上政典のブログ

 歴史を通じて未来を見よう。

 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 昨日は、朝10時から二時間半のインターネットテレビ「スタジオ日本日曜討論」に北大特命教授、原子炉工学の世界的権威である奈良林直先生と二人で出演しました。

 

 去年もちょうどいまごろ二人でこの番組に出たのですが、その際に不思議なくらいに息がぴったりと合い、先生が私が呼んだら「いつでも北海道から自腹で飛んできますよ」という約束の通り、手弁当での来福となりました。番組はもうすぐアーカイブでご覧になることができると思います。

 

 昼食後、今度は電気ビル共創館の大会議室で15時から講演会を実施しました。

 

 奈良林先生は何でもご存知で、その幅の広さ奥の深さはいままで原子力関係の方々とお会いしていますが、群を抜いておられる逸材です。そしてそれがすごいのは机上の理論ではなく、実際自分の足で見聞きしていることもふんだんに入ったものなので、なおさら説得力が増しました。

 

 そういうすごい先生ですから、お話を始めるとどこまで行ってしまうのかわからなくなるので、今回は失礼ながら私との掛け合い講演とさせていただきました。時間と内容をこちらで制御しないと常人では計り知れないほどの知識の量と広さがあるのです。

 

 たとえば、小型の原子炉を積んだ宇宙船の開発も手掛けられ、宇宙飛行士の被曝の分野の研究でNASAから公式のバッジをお墨付きと共に胸につけておられました。

 

 そして福島の方々を30名ほど連れてチェルノブイリに行かれた時のことなど、その時に向うから「放射線汚染」よりももっと怖いのが「情報汚染(風評被害)」だと言われたことを紹介され、今まさにその状態が日本で続き、あの福島第一原子力発電所よりも数十倍の大きな事故を起こしたチェルノブイリの発電所からわずか30キロ離れた二万数千人が幸せに暮らす街がすでにできて20年委以上たっており、7年もたとうとしている福島の復興が1ミリシーベルトのくびきが抜けないことにより遅々として進まない現状を憂いておられました。

 

 反原発派の人たちは「フクシマ」がとなぜかカタカナで書き、そして同情しているように一見見えますが、実態は大きな差別をしており、それによってさらに大きな風評被害をまき散らしています。

 

 チェルノブイリの病院での研究で年間300ミリシーベルトまでは一切人間の健康に被害はないという結果が出ており、ホルシミス効果により、ある程度の放射線を浴びた方が健康にいいといういうのです。

 

 まさに福島第一原子力発電所の近くに健康ランドを作れば国内でも有数の実効がある健康ランドになることでしょう。

 

 先生の話の中でいくつか興味深かったものをご紹介しましょう。

 

 ドイツの事例です。

 反原発派の人たちが「脱原発宣言をしたドイツを見習え」とよく言いますが、ドイツは原子力発電の割合を低下させているために、化石燃料を多用し、それも国内でとれる石炭・褐炭で発電しており、それによる大気汚染や二酸化炭素の排出により、多大な環境破壊を起こしているのです。

 

 太陽光発電は規格上大きな発電量があるように思われがちですが、太陽が照っている時だけです。一日のうちだいたい6時間くらいしか十分な発電量はありません。さらに毎日が天気だとは限らず、その発電時間は最大12.5%であり、その他の87.5%の時間は化石燃料を燃やすことによって電気を賄っています。

 

 太陽光発電システムが多ければ多いほど、それが発電できない時間をカバーする火力発電所が常に待機する状態なのです。そのバックアップは常に化石燃料を燃やすことによって得ています。

 

 もし、必要とされる電気の量よりも供給できる電気の量が少なくなったら機器を守るために自動的に停電します。そのために、電力会社の人たちは常に電力の需給関係や天気とにらめっこしながら、火力発電所を待機させている状態なのです。

 

 1月の大雪の時に、東京の電力はひっ迫しており、大口の需要者に操業を止めてもらって何とか電力の供給を賄ったそうです。ち密なオペレーションをしているためにこれができたのですが、ちょっとでも間違っていたら大停電になっています。

 

 停電してもすぐに復旧すれば問題ないと言われますが、工場でそれが起こるとラインに並んでいる製品が中途半端な加熱や加工により、不良品となり、すべてがロスとなり、莫大な損害が出ます。

 

 病院などは自家発電設備がありますが、消防法で大量の燃料は備蓄できないために、ある時間が過ぎると病院の電気も止まり、救命機器などが停止することにより、人が死亡します。わずかな電力によって支えられている命もあるのです。そのわずかな電力も止まってしまったために、命も消える可能性があるのです。

 

 ドイツでは国内の工場が隣国のチェコに移っていったケースが多々あるそうです。EUですから工場の移動も隣国にとっては雇用を生み出すので大歓迎なことですが、ドイツ国民としては自分たちの雇用が脱原発政策によりなくなるのです。

 

 チェコはその工場の電力を賄うために火力発電所を増設して電気を供給します。

 

 つまりドイツの脱原発政策は再生可能エネルギーで自然環境を守ると謳いながら実際は全くそれになっておらず、自国から雇用がなくなり電気料金が二倍になってますます国民の生活を苦しめているのです。チェコで火力発電所がどんどん二酸化炭素を排出しているために、環境問題には全く解決になっていません。

 

 戦前も戦後もドイツ神話が日本人は好きですが、どちらとも日本人のためになっていませんし、またドイツと共に環境破壊の敗戦国になりつつあります。

 

 もう一つスイスの興味深い例がありました。

 

 スイスの電力は約半分を豊富な水力発電で賄い、残りの半分を原子力で賄っているという事実を皆さんはご存知でしょうか?

 

 原子力の豊富なエネルギーで温水の暖房システムを家々にめぐらし、わずかな使用料を払えば、床暖房は発電所からの熱を利用した温水パイプによって温められていて、道路の雪も温排水によって融かされています。

 

 このシステムも奈良林教授は教え子と共に研究し、実用化できるところまで行っているそうです。

 

 北陸の豪雪に悩む高齢化が進む村などにこのシステムを導入すれば、面倒な雪下ろしなどの作業の軽減が図れるはずです。

 

 こういう話を聞かれた方々はスイスの自国民を必ず守るという決意にとても感心していました。

 

 太陽光発電は現在の搾取システムと同じで、発電が投資の対象となり、その利権が高値で売買されている現状をご存知でしょうか?

 

 FITという再エネ賦課金という私たちの電気料金の明細表には書いてあるお金により、最初の設備投資ができる金持ちにそれができない一般庶民が毎月貢いでいるという仕組みが出来上がり、さらに、太陽光パネルは日本製は価格面で競争に負け、ほどんどがCHINAの一人勝ちとなっています。

 

 シャープの宣伝をしていた吉永小百合が「太陽光は世界を救う」と言っていましたが、太陽光パネルを製造していたシャープは台湾の企業に買収され、太陽光はシャープさえ救えなかったのです。

 

 この固定買い取り制度を発足させたのは民主党政権下の菅直人でした。孫正義氏と食事をした後に一キロワット当たり42円という高値を設定したために、ソフトバンクは今後20年間は莫大なお金が入ってくるようになっているそうです。

 

 しかもその太陽光パネルが日本製の普及に役立っているのならまだしもCHINA製の太陽光パネル企業だけが現在生き残っているという現状を考えるとあまりにも理不尽な現実がわかります。

 

 利権はすべてのものに存在します。原子力反対派は「原発利権」と批判しますが、「太陽光利権」も存在することに早く気が付きましょう。

 

 自然はどんどん凶暴化しています。そして北大の研究室にある南極の3000メートルに及ぶ氷の研究から、現在の二酸化炭素の濃度が突出していることがわかります。私も初めは眉唾で聞いていましたが、今までの振れ幅とは全く違うレベルの二酸化炭素の濃度が最近であり、それが膨大なエネルギーを生み出すために排出されていることを知れば、江戸時代の生活に戻るという覚悟がなければ、脱原発などできないということがわかります。

 

 昨日会場にはいろんな方がお越しいただきました。会場からの質問も活発に出てきました。

 

 それを奈良林先生は的確に答えておられました。

 

 こういうことはマスコミの使命だと思います。でも、産経新聞を除くマスコミは報道しない自由で国民が本当に知りたいことを報道していません。それはすべてCHINAへの利敵行為につながると私は思っています。

 

 あのチェルノブイリ後の研究で300ミリシーベルト以下は人間の体にはまったく問題がないというのが世界の常識になっています。

 

 グリーンピースのやっている子供の甲状腺がんの検査費用を寄付してくださいとか言うのは詐欺ですよ。福島の子供たちの検査はきちんと行われており、それと同時に実施されている他府県の検査結果と何ら変わりがないことも証明されています。

 

 自分たちがこうあるべきだという数値を引っ張り出してきて振りかざしている団体がいくつかありますが、そういう団体は必ず寄付を要求します。つまりこれは震災ビジネスです。困った人を出汁にしてお金を集めるシステムです。ご注意ください。

 

 きちんとした調査に基づいて国は動いていますから、変なものに惑わされないでください。

 

 奈良林先生のところにはよく殺害予告などが来るそうです。北海道府警は常に先生を警固しています。先生は命懸けで原子力発電の推進ではなく、原子力発電の安全を推進されています。その弟子たちも大勢育成されています。

 

 そういう日本の宝物は日本国内はもとより、世界でもその研究成果を「傑出した教授賞」として表彰されています。こういう本物の専門家の意見にもっと素直に耳を傾けてもいいのではないでしょうか。

 

http://www.sankei.com/life/news/180305/lif1803050003-n1.html 産経新聞の記事です。私の写真も載っていますよ。