殉職された二人の自衛隊のご冥福をお祈りいたします。 | 井上政典のブログ

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 佐賀県目達原基地所属の戦闘ヘリ「アパッチ」が墜落した事件で、殉職されたお二人の自衛官のご冥福をお祈りいたします。

 

 ご家族の方々の悲しみはいかばかりかと思うと胸が苦しくなります。

 

 軍用機は頑丈に作られているはずなのに、そして整備も万全なはずなのにとても残念です。不幸中の幸いは墜落した民家の人的犠牲者がおられなかったことです。

 

 固定翼の飛行機であれば、何とか飛行機をコントロールして人のいない場所へ自分たちの命よりも優先して持って行った事例が何度もありました。有名な話では入間基地のT-33練習機の墜落事故です。

 

 あの事故で慣熟訓練飛行中だった二人のベテラン自衛官が殉職されました。T-33が旧式の飛行機で脱出装置が高度ゼロでは機能しなかったために尊い命が失われました。

 

 エンジン不調で墜落することがわかった時点で緊急脱出の連絡が基地に入りましたが、実際の脱出はその数十秒後であり、河川敷に飛行機を誘導して民家がないことを確認して緊急脱出ボタンを押しましたが、この機の装置ではパラシュートの有効な高度まで射出できず、二人とも地面にたたきつけられてお亡くなりになっています。

 

 当時社会党だった福島瑞穂はこの機が墜落するときに送電線を切断したために数万世帯が停電したことを問題視しましたが、隊員へのお悔やみのことばはありませんでした。

 

 今回はヘリコプターで回転翼が乗員の頭上にあるという構造上、固定翼機のような脱出装置がないということ、さらにその回転翼であるローターが吹き飛んだということで機体の制御ができずにお亡くなりになっています。

 

 整備後の点検飛行だったいい、離陸後すぐに起こった事故です。とても痛ましい事故でした。

 

 ただ以前のような自衛隊バッシングばかりの記事ではなく、心無い記事や書き込みもありますが、殉職された自衛官を悼む記事も多数あり、以前とは隔世の感があります。

 

 それだけ自衛隊が国民に認知されており、国防の最後の砦だということが理解されてきた証左だと思います。

 

 でも、これでまた佐賀空港に配備予定のオスプレイの配備が遅れる可能性があるとかわけのわからない妄想が飛び交っているのも現実です。しかし、佐賀空港は南半分は海、周辺の4キロ四方にはほとんど人は住んでいません。

 

 今の目達原基地は国道沿いにあり、民家もたくさんある場所です。だからこそ周りに何もない佐賀空港に配備されようとしているのです。

 

 今よりもずっと安全になるとどうして思わないのでしょうか?これらの記事を書いている記者の人たちは現実を認識する力がないのでしょうか。

 

 私は福岡に住んでいます。飛行機で福岡空港へ帰ってくるとき外を見るとたくさんの人が住んでいるところに飛行機が高度を下げて着陸します。盟友エルドリッヂ博士の言葉を借りれば伊丹空港・福岡空港は普天間基地よりも危険な空港と言われていました。

 

 もし飛行機が福岡市天神地区に墜落すれば、数千人の死傷者が出るでしょう。これは何も問題視されていないのが不思議です。

 

 オスプレイが危ないとか書いている記者は民間の飛行機は落ちないと思っているのでしょうか。

 

 オスプレイの事故率は年々下がっています。というのも新型航空機は当初事故がたくさんあり、その経験によって性能や安全性が向上し安全に運用できるようになります。これを「墓石理論」と呼びます。

 

 だから最初はどの航空機でも起きた事故がその後の事故の回数が減るために事故率は減少していくのです。

 

 普天間基地に配備されたオスプレイもその運用頻度から言えば常識内に収まっていると思いますが、マスコミはそうは書きません。

 

 思い込み、印象操作としか思えません。

 

 ゼロリスクは存在しません。でも、アパッチのような高価な機体を簡単につぶさないように整備にも慎重を期しているはずです。

 

 乗員の養成にも多額の費用と時間がかかります。それ以上に尊い人命がかかっているのです。

 

 それでも事故は起きます。でも、この攻撃ヘリコプター「アパッチ」がどうして目達原に配置されているのかを考えるとその必然性が見えてきます。

 

 これは祖国に上陸してきた敵の戦車を攻撃できる有効な兵器です。

 

 戦車は重量が限られているために正面の装甲が厚いのですが、上部や下部は薄くできています。だから空からの攻撃に弱いのです。

 

 佐賀にこれが配置されているということは、佐賀平野や福岡平野やその周辺の島嶼部に敵が上陸してきた時に有効な防衛力となります。

 

 これはひとえに国民の生命・財産を守るための防衛力であり、国民を守るために必要な装備であります。

 

 事故は痛ましいものであり、とても残念なのですが、これにより自衛隊の訓練や活動に制約がかかるようなことがあってはなりません。

 

 それをすることが日本にとって国益を害する行為となり、敵国を利する行為になるからです。

 

 こんな事故が起きて一番悲しいのはご家族、そして戦友を失った自衛隊です。

 

 追悼の念とともに、温かい目で見守っていきたいと思います。