稀勢の里が所属する田子ノ浦部屋の親方と知り合ってもう三年が過ぎます。
ちょうど、部屋のごたごたがあり、今まで九州場所の定宿であった香椎宮が使えなくなったため、どこかいいところはないかという相談を受け、いろいろなところを打診して探してあげたのがきっかけです。
結局、その年は有志の方が一般の大きな住宅を今年限りということで貸してもらったようです。昨年は志免町の公民館と公園に部屋を構えました。
今年は、親方と同郷のアシュランの東社長が見るに見かねて自分の持っている敷地内に部屋をこしらえ、そこを今から使うことになり、昨年末の九州場所が最初の場所になりました。
部屋開きや千秋楽のパーティなどに御招待されましたが、まさか横綱昇進がこんなに早く来るとは思ってもいませんでした。
私は稀勢の里に望むのは北の湖のような強すぎて憎まれるくらいの横綱になってほしいと思っています。
本人はとてもまじめで、自分で決めたことはきっちりとしなければ気が済まない性格で、融通が利かないと言っても過言でいいくらいの頑固者です。
でも、どんなに痛い時も弱音を吐かずに精一杯土俵を務める姿には頭が下がっていました。
数場所前に13連勝で快進撃をしていた時は、足が悪くて休場さえ考えたことがあったそうです。しかし、テレビを見ているとそんな様子は全く見られず、いつもの蹲踞の姿勢からすくっと立っていました。
先場所の前の部屋開きの時の食事会で親方が配慮していただき、稀勢の里の横で食事をさせていただき、いろいろ話をさせていただきました。
15歳から相撲界に飛び込んで一心不乱に相撲道に打ち込んできた男がやっと相撲界の頂点に立つのです。
皆さんも覚えておられると思います。横綱白鵬との全勝同士の取り組みで立ち合いの瞬間白鵬が横に飛んで肩透かしを食らった取り組みを。
「白鵬が飛ぶと思わなかったでしょう?」と質問すると、「自分があの立場だったら飛びません」と物静かに答えてくれましたが、目はとても悔しそうでした。
上位力士にモンゴル出身が多く、日本人力士、特に稀勢の里には目一杯の力でぶつかってくるので、毎日が気の抜けない日々が続くと思いますが、高安との稽古を見ているとこの二人絶対横綱になると思っていたものでした。
土俵では怖い表情ですが、普段しゃべる時はちょっとはにかんで照れ笑いをする稀勢の里関の今後の大活躍を期待します。
それから相撲取りはちょっと見ぬ間に体が大きくなります。3年間はがりがりだった力士が去年末には足だけががっちりしてきて上半身も筋肉がつき始めていました。
聞くと毎日ママチャリで40キロ走っていたそうです。
部屋の上位力士がまじめに稽古するところは下の番付の人たちも見習って稽古を一所懸命にするものだなと思っています。
つぎは高安関の大関昇進です。
7人しか力士がいない純血主義の田子ノ浦部屋から目が離せません。