北朝鮮の巧みな外交戦略を考える | 井上政典のブログ

井上政典のブログ

 歴史を通じて未来を見よう。

 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 北朝鮮のミサイルの失敗はよく考えてみると微妙なバランスを保ったと思うようになりました。思惑通りではなかったかと思うようにもなりました。

 北朝鮮が国家の威信を懸けて衛星を打ち上げるといって世界とくに東アジア諸国を震撼させました。それにより北朝鮮の軍事的存在感が増しました。CHINAも韓国もそして日本も北朝鮮の動向に注目し、新しい金正恩第一書記就任をすべての報道機関がトップニュースで報じました。

 普段であれば取るに足らない三等国家の指導者が変わろうがどうでもいいことにもかかわらず、日本でも大々的に報じられたのです。それはアメリカの大統領が変わるときのような各マスコミの報道姿勢でした。

 もし、ミサイルが順当に飛行を続けていたらもっと大きな軍事・国際問題になっていたでしょう。

 そして、もし打ち上げなければ国際的な圧力に屈したと北朝鮮の国内問題になったでしょう。

 でも、うまい具合にミサイルの発射は失敗しました。責任者の数人を処罰すればすむ問題となったのです。

 しかし、それにより北朝鮮の新しい顔は全世界に焼き付けられました。日本の総理大臣の顔をどれだけの人が知っているでしょう?日本通の人もコメディアンの上島竜平との違いがわからないかもしれません。

 このミサイルの失敗は微妙なところで振り上げたこぶしをうまく収めたと思えませんか?
 
 これは北朝鮮の絶妙な外交戦略だと思うのは私のうがった見方でしょうか。

 これにより北朝鮮の指導者が代わり新しい体制になったと全世界に向けての告知が完了しました。更に引き続き北朝鮮は先軍政治を続けることを内外に示し、北朝鮮の軍事力は脅威であると周辺諸国に誇示しました。

 周辺の民主国家は戦争を避けるために、これまで以上の譲歩を北朝鮮に取る可能性が大きくなってきたのです。いつ何をするかわからない北朝鮮というイメージを更に強く植えつけることに成功したのです。

 さらに、ミサイルはどこに飛んでいくかわからないという新たな不安感も植えつけたのです。これほど、このミサイル発射の失敗が効果を生んでいるのです。これは本当に失敗なのでしょうか?

 どうしてもこれが北朝鮮の戦略に思えてならないのです。最初から爆発させるつもりであるなら、今報道されているような金額はかかっていないはずです。当然三段目や四段目を切り離す高度な技術や燃料も積み込まなくていいのですから。

 本来であれば話題にも上らない小国の指導者の交代なのですが、どれだけの時間テレビの画面を独占したでしょう。他の国では日本の首相の顔の映像の百倍以上流されているはずです。

 もし、私の思惑通りならば、この北朝鮮のミサイル発射パフォーマンスは見事としかいえません。