米長邦男永世棋聖の講演を聞いて | 井上政典のブログ

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 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 昨日、産経新聞の正論懇話会に出席してきました。九州財界のお歴々が参加される会で、昼食のテーブルでは横に福岡副市長、地場の銀行の専務さん、隣には九電の松尾会長やJR九州の石原会長などそうそうたるメンバーでした。

 米長邦男氏は、以前から本も数冊読んでおり、この方の「運」に対する考え方は面白い思っていましたので、大変楽しみにしていました。

 日本を救う次の一手という演題でお話されましたが、面白かったエピソードを書きます。

 将棋のルーツはインドから始まり、ヨーロッパではチェスになりましたが、CHINAから日本にはいってきて大きく変化します。それは、チェスでは相手の駒を取ったら使えませんが、将棋では死ぬ人がいないゲームに変わっているのです。

 このことは、私も学生時代に気付いていました。まず、チェスは「白」と「黒」の駒でとっても使えるはずがありません。でも、将棋は方向が違うからその向きを変えれば、また使えます。

 つまりこれは異民族の戦いと同一民族の戦いの違いなのです。更に面白いことに、チェスは前面の歩兵は取れません。斜めの歩兵しか取れないのです。前にしか進むことのできない歩兵が攻撃できる駒は、正面ではなく斜めの駒です。

 私はこれで比較文化人類学に目覚めました。つまり、チェスの歩兵は槍と盾を持っており、正面の敵は盾があるから突けないのです。ところが日本の将棋の「歩」は盾を持っていません。だから前面の敵をとることができるのです。

 さらにもう少し付け加えると、日本の古来の戦い方は弓矢によるロングレンジ(外側からの攻撃)の戦いでした。だから、将はいかに自軍が相手より優位な立場をとるかが腕の見せ所だったのです。つまり、相手を見下ろせる高位に位置するか、いかに包囲網を敷くかなどです。むやみに相手を殺さず、投降を受け入れ、自軍の部将として使いました。だからそれが将棋に反映しているのです。
 鉄砲が入ってくると瞬く間に保有数や性能が向上し、世界一の鉄砲保有国になったのは、弓矢の用兵を鉄砲に変えたからです。

 西洋では戦が長引くと人口が激減します。それは異民族の戦いでほぼ皆殺しにするからです。ジェノサイドという皆殺しは今に始まったことではありません。苛斂誅求を極めたといわれる秀吉軍でさえ、投降してきた敵軍を赦しています。無駄な殺生はしないのが日本軍なのですが、意図的に捻じ曲げられています。

 話を元に戻しますが、このように取った敵の駒を自軍として使うルールを持っているのは、日本の将棋です。

 次は、有名な話ですが、大東亜戦争後将棋は野蛮なゲームでけしからんとマッカーサーから日本将棋連盟に呼び出しが来ました。そこで、升田幸三氏がGHQに赴くと、民生長官でマッカーサーの腹心のホイットニー准将が待っていました。

 そこで『将棋は取った駒を使うのは捕虜虐待である』といわれたそうです。升田は動ずることもなく『これは捕虜虐待ではなく、活用である』と反論しました。

 すると、ホイットニーは、『チェスにはクイーンという万能の女性がいるから女性を大切にしている。将棋は女性がいないではないか、男女差別だ』といったそうです。また升田はすかさず『キングとクイーンが同時に敵の射程に入ったらどうするか、つまり王手飛車取りのような状態になったら、キングを取られたら負けだから、キングは逃げてクイーンは見殺しにされるではないか。このように女性を大切にしているというのは口先だけである』と反論したところ、『あなたのような見識の高い日本人は見たことがない、何か良い智慧を貸してくれ』といわれたそうです。

 その際にも升田はあわてず騒がず、『ただはいかん』といったそうです。

 そして「巣鴨に戦犯と称してたくさんの日本人が収容されている。これを将棋のように捕虜の活用をして日本の当地に活用すべきだ』と意見を言って帰ってきたそうです。

 将棋の世界は「静」の世界かなと思っていたのですが、なかなか激しいものがあると感心しました。

 更に米長棋聖は、水俣のチッソ反対や原発反対や沖縄の基地を反対している人をよく見ると、みんな同じ人がいる。つまりこの反対運動は彼らにとって職業なのです。公安はきちっとそれらの人を洗い出すべきだといわれていました。そうです、彼らは「プロ市民」です。どこからかお金をもらって活動しているのです。

 北朝鮮の拉致問題やチベットの問題を訴えている人たちの一番の悩みが活動資金です。みんな手弁当で活動していますが、「プロ市民」と呼ばれる人たちは福島に行ったり、沖縄に行ったりと縦横無尽の活躍をしています。その活動資金はどこから来るのかが不思議ですね。

 さらに、米長氏は日本財団(旧日本船舶振興会)のチェルノブイリの追跡調査結果を毎年見ているそうです。この追跡調査をしているのはIAEAと日本財団だけで、もう30年にもなるそうです。

 チェルノブイリ発電所は30km以内は立ち入り禁止で、その円内に何が起こっているかというと森林が蘇り、動物の楽園を築いています。小動物がたくさん生息しているそうです。人体には影響のある放射能は小動物には影響ないようです。福島原発もどんどん立ち入りが解除されていますが、ガレキはそのまま残っています。

 はやく、これらを日本人が協力して解決してあげなければならないと思います。

 実は、橋下氏を応援しようと、将棋の駒を特注したそうです。表は「ふ」つまり、「歩」ではなく「府」と書いてあり、裏には「ト(都)」と書いてあるそうです。大阪都構想にエールを送ろうと思っていましたが、原発反対とか言っているためにやめたといわれていました。

 米長氏、国を憂う国士です。こういう言論人がいることが嬉しいなと思いましたが、こういうことをはっきり言われるから最近テレビからお呼びがかからなくなっているのではないでしょうか。