日本の新年は、12月31日の日が暮れてからゆっくりとした時間の中であけていくと以前書きましたが、明けやらぬうちから天皇陛下が新年最初になさる行事jは、四方拝(しほうはい)と呼ばれる宮中祭祀です。
これは、伊勢の皇大神宮や豊受大神宮に拝礼された後、続いて四方の諸神を配する儀式です。このときに言われる言葉を簡単に言うと;
「もし今年日本に災害が起こるならば、まず私の体を通してください(過度我身)」とおっしゃるそうです。
私たちが神社や寺院でお願いするときは、自分や家族に悪いことが起きないようにとお願いするのが普通ですが、天皇陛下は『何か悪いことが起きるのならば、まず私に起きるようにしてください』と毎年の始めに神々に祈られているのです。
東日本大震災や阪神淡路大震災の際に、両陛下がお見舞いに行かれると人々がしんとなり、そのお言葉に耳を傾け、生きる希望のともし火が心に灯ったといわれています。
それは、日々国民一人一人の安寧を祈られておられる陛下の気持ちが、打ちひしがれて弱った人々の心に、からからに乾燥した大地に恵みの雨が降り注ぐように、あまねく沁み渡るからだと思います。
人間は一番弱った時ほど、相手の心が良くわかるものです。
無私の心で常にあらせられる天皇陛下のお気持ちを考えると本当に日本人に産まれてよかったと思う日々です。
世界のどこの国に自分の健康よりも国民の健康を願う君主がいるでしょう?
不幸が国民よりも先に自分に降りかかることを祈る君主がいるでしょう?
病気や災害に国民が被らないように自分が盾となる誓いを立てる君主がいるでしょう?
それが、日本国の天皇陛下なのです。
天皇陛下がこのような考えをお持ちだからこそ、大災害で自分も被災者なのに、自分よりも大変だと思う人を助けるのです。
自分も空腹なのにやっと手に入ったおにぎりを他のもっと困っている人に差し出すのです。
救援隊が到着しても、ここは大丈夫だからといって他の場所にその救援隊をいくように懇願するのです。
自分たちも大きな被害を受けて、心の傷を負っているにもかかわらずです。
どうして日本人は、あの大災害で粛々と列に並び、静かに待つことができるのかと海外から驚きと賞賛の声が上がりました。
でも、その答えは天皇様にあるのです。
ご自身がご自身の安寧や幸福を望まれず、国民の幸せを第一に考えられているからです。それが、新年の最初の行事である四方拝なのです。
昔の政治家もいろんな人がいました。しかし、国家指導者レベルになると我が身のことは考えずに国民や国家のことを一番に考える人がたくさんいました。
しかし、今の政治家にそんな人がいるでしょうか?
政治家を目指す人は、自分のことを考えるより、国家・国民のことを第一に考えるようにするようになってはじめて政治家といえるのではないでしょうか。
毎年総理大臣が変わっている日本であのような大災害が起きても、国が乱れないのは、やはり天皇陛下の無私の心にあると確信しました。
今の閉塞した日本を救うには、天皇陛下のお心をもっと国民が理解することだと思います。