新春に見る映画 サンタクロースになった少年 | 井上政典のブログ

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 さて新春最初のブログですが、昨日の大晦日に見たDVDがすばらしかったので、これを書こうと思います。正月にどうしてサンタクロースかと突っ込まれそうですが、本当に心温まる映画ですので、お休みのときにくだらないテレビを見るよりも良いと思ってお知らせします。


 この「サンタクロースになった少年」はフィンランド映画です。フィンランドはご存知のように北欧の国で、サンタのふるさとのある国です。もともとキリスト教とサンタクロースはまったく関係のないものでした。キリスト教は中東で生まれ、ローマに入り、ヨーロッパに広がったのですが、当時各国では独自の神様を信じている習慣がありました。


 当然、一神教のキリスト教が入ってからも、森や自然に対する畏怖心は自然とともに生きる民には違和感があったはずです。それで日本ほどではありませんが、民族独自の宗教とキリスト教が融合して発達していきました。


 ニコラスという少年の両親は彼が小さいころに妹を医者に連れて行く途中で氷が割れて亡くなってしまいました。貧しい村では、一年ごとにニコラス少年を自分の子供たちと同様に家族として迎え入れて育てるのです。そして、次の家に行くときがちょうどクリスマスのときでした。


 手先の器用なニコラス少年は、木で作ったおもちゃをお世話になった家の子供たちに贈るために玄関にそっと置いておきました。毎年、毎年それを繰り返すためにどんどん作って配る場所が増えていきました。でも、自分をはぐくんでくれた村の人に自分ができる最大限の感謝の気持ちをプレゼントに託したのです。


 6年ほど経ったとき、漁で生計を立てている村に危機が訪れました。どうしてもニコラスを養う家がでてきません、自分たち家族が食べていくだけでやっとなのです。


 そこに強面の家具職人が村はずれからやってきて、ニコラスの作ったおもちゃを見て彼を引き取ることをみんなに告げます。はじめは心を閉ざしているために意地悪なこの家具職人も、次第にニコラスと心を通わせるようになり、最初のクリスマスのプレゼントを配る際には手伝うようになり、そして家をもう出て行かなくても良いとまで言ってくれるようになります。


 それから十数年たって家具職人も年を取り、彼の息子たちが一緒に暮らそうと迎えに来ます。ニコラスはまた独りぼっちになりますが、実の息子のように思っていた家具職人は、こつこつと貯めたへそくりをそっくりとニコラスに渡すのです。


 そのお金でニコラスは近所の村の子供たちすべてにプレゼントを配るようになります。そりでトナカイに引かれてクリスマスのイブの夜中に配って歩くのです。


 しかし、次第にニコラスも年を取ってきました。


 そして最後にしようと思っていた年にプレゼントを配り終えると行方不明になってしまいます。


 次のクリスマスからは誰もプレゼントを持ってきてくれる人がいません。でも、ニコラスからプレゼントをもらって育った親たちが今度は自分たちがニコラスの代わりになってプレゼントを子供たちにあげるようになりました。


 これが、クリスマスのサンタクロースの伝説です。


 この映画を見ると、きっと懐かしい思いが胸に広がるはずです。


 私たちとは無縁の北欧の雪深い国のお話なのに、なぜか心が和むのです。


 

 それは、ニコラス少年の感謝の気持ちから始まったプレゼントを贈るという習慣が、彼が一途に続けることにより、伝統となり、それに育てられた子供たちがその伝統を引き継ぐという、物質文明で凝り固まったアメリカ文化とは一味もふた味も違った心の通った人々の優しさがひしひしと伝ってくるのです。


 彼が配るおもちゃは、木彫りの粗末なものです。でも、他に遊び道具のない北欧の子供たちにとっては大切な宝物になります。そしてそこにはニコラスの真心が掘り込まれているのです。それを子供たちは手に取り、気のぬくもりと一緒に感じていたに違いありません。


 配り先が増えるとそれを手伝う人々も現れてきます。これが心の絆ではないでしょうか。


 現在の日本のクリスマスはアメリカの物質文明の商業主義によってのせられたにせもののクリスマスです。でも、この映画に描かれているのは、純粋な気持ちで感謝の気持ちを表し、自分のできることを最大限に他の人々のためにする献身的なニコラスの姿です。


 このニコラスは後に成人となり、「セントニコラス」とよばれるようになり、それがキリスト教の十字架、クロスと一緒になって、サンタクロースとなるのです。セイントというのは英語読みでローマではサンタとよびます。サンタニコラスがサンタクロースとなるのです。


 恋人や夫婦や家族で見てください、きっと終わっても声が出ないでしょう。


 でも心の中には暖かいものが充満しているはずです。


 お正月、家族の絆を確かめ、心安らかに一年の平安を祈るときに、もっともふさわしい映画だと思われます。ツタヤに行けば借りれます。ぜひ、お勧めです。


 ご覧になった方は、いつでも良いので感想をお聞かせ下さいな。