産経新聞九州山口版「つれづれ花」寄稿原稿「年末の風物詩 餅つき」 | 井上政典のブログ

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年末の風物詩 餅つき 

                歴史ナビゲーター 井上政典


 私がまだ小学生だったころ、よく家で餅つきをしていました。母が前の日から大量のもち米を風呂場で洗い、父の教え子さんたちが集まり、わいわいがやがやとにぎやかに餅をついていました。私も見よう見まねでもちをこねたり、ついたりしていました。いつも年末になると頭に浮かぶ懐かしい思い出です。


 転勤族だったので、そういうものと無縁の生活をしていましたが、最近また餅つきに参加するようになって来ました。今年は有田校区の公民館と若手経営者の会である維新の志(佐伯岳大代表)の2回も参加し、いまだに筋肉痛が残っています。


 校区は地域の方々の親睦を深め、私が子供のころに体験したことを子供たちに伝えるように長老から若手、子供たちが掛け声をかけながら餅をつきます。この子供達が大きくなったらまたその思い出が伝わるようにと、私が小さいころ父からしてもらったように、子供達の後ろから杵を支えながらお餅をつきました。お母さんたちが写真を撮っていたので、私の顔はたくさんの子供たちの笑顔と一緒に彼らのアルバムに残っていくはずです。


 「維新の志」では、若手経営者を中心にその従業員や学生が100人ほど集まり、焼肉・モツ鍋をつつきながらの大餅つき大会です。ここでは経験者がほとんどおらず、火をおこし、もち米を蒸し、蒸した米を臼でこね方、つき方などを昔教えてもらったように若い人に教えていきました。「初めてです」「楽しい」「ストレス解消になる」とみんなの顔も笑顔で一杯でした。


 こういう年末の風物詩を企画運営する苦労を地域や仲間で体験することが、本来のすばらしい日本の伝統を継承することになります。餅をつくことよりも、その準備や片付けの裏方の仕事のほうがもっと大変です。その人達のおかげで自分たちの今があるということや、それぞれの役割を果たすことで強い絆ができるのだということも理解できます。そしてそれが自分の居場所を探し当てることにつながるのだと思います。