ざ・パシフィックを観て | 井上政典のブログ

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 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
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◎井上政典  【ザ・パシフィックを観て】
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 トムハンクス、スティーブンスピルバーグなどの大物がプロデューサーとして200億円をかけて制作された「ザ・パシフィック」DVD5巻10話を二日かけて観ました。

 このドラマの賛否はきっと二分すると思います。

 それは、アメリカの海兵隊を描いたドラマだとわかっていても、同胞の日本人が虫けらのように殺されるシーンはあまり気持ちのいいものではありません。日本兵はほとんど顔がなく、つまり殺される対象でしかなく、無謀な戦闘でばたばたと倒されていきます。これが私たちの英霊だと思えば、胸糞が悪くなりました。

 さらに、米海兵隊の残虐なシーンもこれでもかというくらいに描かれており、こんなのアメリカで放送していいのというような場面が数多く出てきます。とにかく残酷な映画で、血や死体を見るのがいやな人にはお勧めできません。もちろん子供には刺激が強すぎます。

 でも、純朴なアメリカ青年が、戦争という非人間的な状態に置かれてどう変化していくかという観点で見れば、これは見事に描かれています。

 ユージーンというはじめは心臓の雑音で志願できなかった心優しい南部のお金持ちの息子が激しい戦闘や戦友の死や過酷な生活状況を経てだんだん悪魔の顔になっていきます。これが本当に同じ人かというくらいに顔の表情が変わるのです。

 超有名な俳優を使うのではなく、本当に演技力のある俳優を使っているため、その表情の克明な変化がすごいのです。長く戦場にいるためにどんどん精神的に追い詰められてきますが、沖縄戦での自分が発射した迫撃砲弾で瀕死の女性の死を見取る時に、ふと我に返り人間的な顔に変わっていくところも見事だと思います。

 等身大のアメリカの愛国心に燃える普通の青年が、自分への恐怖と戦友の復讐のために平気で人を殺し、戦友がやっていた死体から金歯を抜こうとして止められ、それを越えたら戻って来れなくなると言葉で表現せずに、少ない言葉で止めるシーンなどは圧巻でした。

 残酷なシーンやえげつないシーンの連続でカップルで見るのにはもっともふさわしくないDVDだと思いますが、アメリカがこれだけ自国の兵隊の悪行を描いたのは珍しいと思います。こういう場面をみていると日本軍がアメリカを鬼畜米英といっていたのも納得でき、住民にアメリカに投降しても殺されるだけだと教え、それを住民も信じて崖から飛び降りたのもよく理解できます。

 ペリュリュー島の激戦では、たくさんのアメリカ兵がばたばたと日本軍の銃砲弾に倒れていきます。普通一気に見ていると主人公に感情移入してしまうのですが、日本人として最後まで主人公に感情移入ができませんでした。

 観ていてとても居心地の悪いDVDですが、ぜひ、日本軍ばかりが悪いことをしたといっている人たちには、このDVDを観てほしいと思います。戦争は日本人、アメリカ人など国籍に関係せずに普通の人を悪魔にし、人間性を麻痺させ、平和時の論理では語れないものになるのだということが描かれています。

 でも、このアメリカ製のDVDは、一言も愛国心が悪いなどとは主張していません。至極当たり前に描いてあります。それが日本映画との違いでしょうか。国を守るために戦った人は英雄であり、その人々に敬意をささげる追悼は欠かしません。当時は日本だけでなくアメリカでも俗に言う軍国主義であったのですが、そこはさらっと描かれています。日本映画のとてもいやな時代であったという描き方はまったくしていません。国のために命をささげるということも当たり前のように描かれています。


 もうすぐ8月15日がやってきます。戦争を肯定するとかしないとかではなく、国のために命をささげた英霊にほんの少しの時間でいいのです、頭(こうべ)を垂れて感謝と敬意を表することが今私たちにできることではないでしょうか。

 民主党政府は昨年は一人も靖国神社に参拝しませんでした。今年はどうでしょう?やはり、行かないのでしょうか。民主党や社民党の国会議員はぜひ、このDVDを見るべきだと思います。

 それにより、日本軍が悪、アメリカ軍が正義などというまやかしがないことがはっきりわかると思います。そして過酷な条件の中で戦い、耐え忍び少しでも祖国のために命を懸けた人々がいたことを知り、10秒でいいからその人たちのために祈りをささげたくなるはずです、普通の神経を持っていたらの話ですが・・・。