蝦夷 | 歴史エッセイ集「今昔玉手箱」

歴史エッセイ集「今昔玉手箱」

本格的歴史エンターテイメント・エッセイ集。深くて渋い歴史的エピソード満載!! 意外性のショットガン!!

このブログで時事問題に関して予言めいた事を書くと、
ホリエモン没落、麻生さん残念、鳩山さんも同じ(現在
袋叩き中)、小沢さんしぶとい・・と、かなりの確度で
的中させてきた。先日もサントリー2代目社長・佐治敬三
の熊襲発言をむし返し、「蝦夷の怨霊は末代まで祟るで
あろう」と書いたら、その2日後にキリン・サントリー
破談の報。着々と悪魔のブログの実績を更新中(^^;)

蝦夷とは東北・北海道(渡島)住民の呼称で、大化の改新
以前は「毛人」と言った。熊などの毛皮を着ていたから
だろう。大化の改新以後は蝦夷(えぞ)と呼称し、エミシ
orエビスと訓じた。蝦(えび)とは、海老のように腰の
曲がった醜い野蛮人という意味であり、夷(い)とは国家
に対して容易に服属しない「まつろわぬ民」だったから
である。

坂上田村麻呂の蝦夷遠征が行われた平安時代初期、蝦夷
と大和朝廷領の国境は、宮城県中部の鳴瀬・江合川と、
山形県最上川の南北。大和朝廷の遠征軍には、陸奥蝦夷語
の訳語人(おさ=通訳)が同行した。夷語は東北地方の方言
ではない。アイヌ語の事である。

大和とは違う言葉を話し、独特の文化・風俗を持つアイヌ
は、当時から異民族として偏見・蔑視されていた。今から
2万年前、バイカル湖畔から樺太・北海道・本州に移動して
きたブリヤート人であり、縄文人の遠祖だと知れたのは、
DNA研究の進んだごく最近の事である。本州に渡った
ブリヤート人は、その後中国・朝鮮半島経由の弥生人や、
南方系黒潮海洋民族と混血し、樺太・北海道方面の人々と
違った風俗・文化・言語へ変容してゆく。つまり同じ民族
が地域差によって枝分かれした姿なのだ。

古事記・日本書紀に語られる八百萬神は、渡来人の征服王朝
が無理やり押し付けた神話などではなく、先史時代から連綿
と受け継がれてきた自然観であり、現代にも脈打っている。
この自然観は日本人に限らず、ケルト文明、南北アメリカ
インディアン、アボリジニ、環太平洋諸島文明など、先住民族
共通の世界観でもある。日本人の精神文化を理解しようと
思ったならば、1万数千年続いたアイヌ・縄文文明への
アプローチが不可欠となる。

○第5の世界への脱出はすでに始まった。それは小さな国々
 や小さな部族、人種的なマイノリティ(少数民族)といった
 謙虚な人々の手によってなされる(ホピの予言)


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