③日銀が債務超過となっても全く問題ない

 

 日銀が貨幣を回収するときは、企業会計の書式に従って、そこに記されている日銀の持つ国債などの資産を売却し換金するということになります。

 日銀が貨幣を回収する相手は、政府と金融機関です。政府から回収するのは政府のバランスシートが黒字になったときです。それ以外はありません。

 日銀が金融機関から貨幣を回収する場合は、日銀が保有する国債を金融機関に売りつけます。これを売りオペレーションと言います。これは、金融緊縮政策になり、金利が上がります。

 日銀の資産は日銀のものという感覚があるようですが、日銀の市場の貨幣の量をコントロールするという役割上、民間企業のように、値上がりを待って持ち続けたり、値下がり前に売り抜けたりして、自由に処分して収支を改善することは出来ません。

 社会の景気動向次第であり、役割上の必要によって行うものです。そのことだけでも、日銀のバランスシートを問題とするのはナンセンスであることが判ります。

 また、仮に、日銀が債務超過となった場合でも、前述したように、日銀の資産は、たまたま企業会計の書式を採用しているために、たまたま日銀の持つ国債などの資産を売却する方式で市場から貨幣を回収する役割を実施するものでしかありません。市場から貨幣を回収する手段は、他にもいろいろあります。

 市場からの貨幣の回収は、日銀よりも政府の得意分野です。例えば増税です。これは、ほとんど万能な手段です。しかし、それゆえ劇薬でもあります。使い方を間違えて、黒字企業にかかる法人税や、富裕層にかかる所得累進課税ではなく、低所得者と貧困層から取れば、経済のみならず社会の根幹を滅ぼすことになります。現に、今、日本は滅びかけています。

 景気の良い時は税率を上げるような増税をしなくても、税収弾性値によって自然に税収は増加します。税収弾性値による自然増収は法人税や所得税によるものです。これは、富裕層から上がってきた税金ですから、増え続けても構わないものです。というか、むしろ、法人税や所得税については税率を上げるような増税をしたほうが良いのです。

 逆に、たとえ、景気の過熱期といえども、低所得者や貧困層から貨幣を回収してはいけません。景気循環によって、景気後退したときに、低所得者や貧困層が生きて行けなくなるからです。景気過熱期はみんな気が大きくなっていますから、特に増税の相手を注意して選ばなければなりません。

 新古典派経済学、新古典派総合と呼ばれる勢力は税金の種類による影響を無視しています。ニューケインジアンと呼ばれる学派もケインジアンの名を騙っているだけで、正体は新古典派経済学ですから、同様に、税金の種類による影響を無視しています。これらは故意の無視であり、低所得者にかかる消費税を上げ、富裕層にかかる所得税と法人税を下げるための策謀の一つです。

 他の民間保有貨幣の凍結の手段としては、政府が国債を増刷して、富裕層に売りつければ良いのです。このように、市場の貨幣の回収(税金)や、貨幣の凍結(国債)は簡単に出来ます。日銀のバランスシートとは無関係です。

 インフレが激しくなった場合は、政府は市場への貨幣の供給を減らし、なお、必要な場合は、市場から貨幣の回収を行わなければなりませんが、この方法として、上記の通り、税金と国債発行という二つの方法を用いることが出来るのですが、これらは政府の政策であり、日銀の出番はほとんど無いのです。

 それでも、あえて、日銀が保有する資産を活用したいときは、市場から貨幣を回収しようとするとき以外にありませんが、景気の過熱期に日銀が金融機関に国債を売りつける売りオペレーションがこれに当たります。

 しかし、大概、景気が過熱していれば国債の市場価格が暴落しており、案外、日銀のバランスシートは時価相場で査定すれば債務超過になっているかも知れませんが、誰も騒ぎません。

 金融引き締めが国債の売りオペレーションによって行われるとは言っても、日銀の資産が無ければ金融引き締めが出来ないということではありません。金融の緊縮の定義は、長期金利を上げることですから、伝家の宝刀の政策金利を強制的に上げるとか、法定準備率を上げるとか等の手段もあります。

 ゆえに、たとえ、日銀の資産が無くなっても、例えば、それらが紙くずになったところで何も問題ありません。

 日銀の保有する国債の資産価値が下落し、日銀が債務超過になったら大変なことが起きるとか言って、大騒ぎしたがっている連中がいますが、これは、日銀の債務の意味と、民間企業の債務の意味をわざと混同して、財政均衡の必要性を信じ込ませようとするプロパガンダなのです。

 日銀が今程度の貨幣を出している結果起こっているのが、今程度の物価水準であり、為替相場です。それでも、デフレから脱却できないのですから、日銀の保有する資産の出番は、もはや無いと言って過言ではありません。

 日銀が債務超過になっても、政策が出来なくなるような問題は何ひとつありません。よって、日銀のバランスシートの黒字を守ることに意味はありません。

 日銀のバランスシートが赤字になれば、わけのわからない何人かの国会議員が騒ぎ、財政緊縮派の国会議員の誰かに恥をかかせたという理由で日銀総裁の首が飛ぶといった茶番が演じられるかも知れませんが、国民にとってはドタバタ喜劇にすぎません。

 

 

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