秋休みもはさみ、久しぶりの投稿となります。

 

昨日オランダのNHKこと、NOSというニュース番組で興味深い記事を見ました。

 

アジア人差別に抗議する人たちが訴えかけていたおかげで、アジア人差別をなくすためのレッスンが手始めに10校で試験的に行われる、という内容です。

主に小学校の5、6年生が対象だそうです。

 

 

 

オランダで誕生日に歌われてきた曲

「Hanky Panky Shanghai」ハンキーパンキーシャンハイ、というバースデーソングを模した歌が、そもそもの悪の根源です。

 

 

オランダでは、それぞれの誕生日を幼稚園や小学校でもお祝いするのですが、

その時に、

  • オランダ語のバースデーソング
  • 日本でもお馴染みのハッピーバースデーソング

を2曲続けて歌うことが多いです。

 

さらに続けて、ハッピーバースデーソングのメロディーで「Hanky Panky Shanghai」という歌を歌うことが行われてきた習慣のようなものがあるそうです。

その歌を歌う時には、アジア人の切長の目を表現するジェスチャーをするのがならわし。

悲しかな、今でも行っている学校やクラスがあるのでは?とレビュー欄で見かけました。

 

 

 

 

 

 

必ずしも悪意があるとは限らない

私、個人的には差別的ジェスチャーだと思っています。

 

しかし、このニュースに対するレビューを読むと、オランダ人に必ずしも悪意があるとは限らないよう。

 

 

 

(Googleトランスレート使用)

 

悪意がないとわかったとしても、やっぱり気分はよくないのがおおかたの本音ですよね。

 

 

 

オランダでの差別問題

オランダは差別がひどくないと言われつつ、白人社会で育ってきた彼らには、人種優位意識がないと言います。

「白人だから得をした」とか「いい仕事につける」とか。

「白人であること」は、生まれた時から自然と持ち合わせていたもので、白人であることが得だとか、損だとか考えたことがないからです。

 

その表れか、オランダでは、白人以外の、つまり有色人種が通う学校のことを悪気もなく「Zwarte school」と呼んできました。

Zwart(e)というのは「黒」のことで、直訳すると「黒い学校」です。

今では、国際色豊かな学校のことをそう呼ぶことが多い気がしますが、このことからもピュアな白人とそうではない人で居住エリアが分かれていただろうことがなんとなく想像できます。

 

それとは別に、昨今は、子供たちの大イベントであるシンタクラースの件でも物議を醸しています。

オランダではクリスマスより大きなイベントであるシンタクラース(サンタクロースみたいなもの)は、オーソースネルという白い馬と、「Zwarte Piet」(ズワールテピート)という顔を黒く塗り、カーリーヘアで唇を真っ赤に塗った従者を連れています。

 

このピートが、「黒人を茶化している」のではと世界的に非難を受け、数年前Facebookでも、顔を真っ黒に塗りたくったピートの写真は掲載しない意志を表明しています。

 

オランダ人の主張では、これは伝統的に受け継がれてきたもので、ピートは黒人ではなく、プレゼントを届けるときに煙突の中を通るため、すすで顔が黒くなっているんだ、と。

 

その説明に理解はできますが、まだまだ「すすがつきすぎた」ような、顔を真っ黒に塗りたくった頑固なピートが街を練り歩いているので・・・

 

私の黒人の友達は、「オランダのこの時期がだいっきらいで憂鬱」だと言っています。街一面に貼られたピートのイラストや、扮装が、どうも自分達をバカにしているように思えるそうなのです。

 

一方で、おそらくこれは昔から子供を喜ばせるイベントの一環であり、ご近所の人たちがシンタクラースやピートに扮していたことでしょう。そのため、「シンタクラースがスペインから蒸気船に乗ってオランダに来た」と信じる子供たちを裏切らないよう(顔バレしないよう)にしていたのではないかなと推測します。

 

それに、オランダ人は本音ストレートな人たちなので、たぶん本当に茶化しているわけではないんだろうことも、今は理解できるのです。

 

 

差別的ジェスチャーがよくないと教えるのは大人

こういった問題がこれからもちょこちょこ出てくるのは明白ですが、大人が子供にどう教えるかにかかっていると思います。

 

1年ほど前、保育園の先生に両目を引っ張って細長くつり上げるジェスチャーを目の前でされた経験があります。

 

 

 

 

その時の話し合いでも、そのジェスチャーが差別的だと知らなかったと言われ、半信半疑でした。

 

しかし、教えたのは大人なんですよね。

それを学んだ無邪気な子どもたちが、大人になってまた子供に伝える。そこに悪意があるかないかは、もはや関係なく、ただただ伝承されてしまう。

 

というのを避けるために、伝承してはいけないとリテラシーを持った大人が、それを断ち切っていかなくはいけないですよね。

 

 

 

差別的なことをされたらどうするか

では、オランダで、日本以外の国で、アジア人に対する差別的なことを言われたりされたらどうするか。

 

「それは不快だからやめてください」と伝えられる間柄なら、伝えるのが一番かもしれません。

 

ところが、通りがかりに事態が起こると、事はそううまく運ぶとも限らず。身の危険が起こりそうなら逃げたほうがいいし、ジョークで返せそうな場面なら笑いに変えられるのかもしれないし。

 

そうそう、オランダ人に「ニーハオ」と声をかけられたら、「グーテンターク」とドイツ語で返すのが一番効果があるというのは何かで読みました。オランダ人にとってドイツ人は、そういう相手なんですって。(お察しを)

 

これで言い返してみたいな、と思いつつ、いつも不意打ちに「ニーハオ」と言われるから、面食らっちゃってうまく切り返せた試しがありません。

 

 

 

いずれにせよ、黒人差別に対して、アジア人差別はそれほど問題視されてきませんでした。

 

このレッスンがいい働きかけを行ってくれると信じたいところです。

 

この運動をおこなっている団体「Asian Raisins」では、署名も受けつけています。

彼らの活動に興味がある方は、こちらから。