首 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
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金田一耕助シリーズ、短編集です。
ある落ちぶれた芸術家が抱きしめようとした腐乱死体の謎。
郊外の温泉宿で発見された全裸の女性遺体、
ある学者が行った骨格の肉付け実験によりあばかれる殺人。
伝説の滝に生首が置かれた事件、その再現の衝撃。

どれも生々しくグロテスク。
横溝先生の本領発揮です。人間関係もドロドロ…。
面白かったのは「蠟美人」です。
良家に嫁ぎ破たんしたすえに殺されたと思われた美女。
彼女は殺されたのか、本当に死んだのか?
短いページながら二転三転していく展開にドキドキしました。
それにしても骨格のモンタージュで現れる美人…グロいです。
今ならCGでしょうけどね。この技術実際にはどんな利用されてたのか。

そして主題作の「首」
滝から少し出た岩の上に首がのっているという
突飛な発見のされ方ですごく映画的。まざまざと映像が浮かんできました。
全く無関係のはずの人が同じ状況で発見された二つの事件を繋ぐ糸はなんだったのか。
あ、これだけ?とちょこっと拍子抜けでした。
伝説と絡めた割には容量が少なすぎました。
トリックが一番面白かったのはこの作品です。
最後に粋な計らいを(やや強要されてたような気もしますが)見せてくれた磯川警部に拍手。

他、「花園の悪魔」は終わり方が意外です。
横溝正史的には、という意味合いでですが。

次は長編読みたいですw

【金田一耕助シリーズ過去感想】
   夜歩く 
   悪魔の手毬唄 
   悪魔が来りて笛を吹く 
   人面瘡 
   迷路荘の惨劇