慶弔見舞金規程 第○○条 適用範囲
慶弔見舞いに関する規程を作ろうとなると、まず、誰に支給するのかということが問題になります。
慶弔見舞金を支給するかどうかはあくまで各会社の裁量に任されていますので、誰に支給するのかということも当然自由に決めることができます。
ただし、気に入っている人には支給するけど気に入らないヤツには1円たりとも払わないというように、経営者の好き勝手に決めるというわけにはいきませんので、誰に支給するのかということは、あらかじめ決めておくことになります。
そこで、適用範囲(誰に支給するのか)を考えると、
正社員
は対象になると思います。
(正社員をを対象にしないのであれば、そもそもこんな規程は作らないと思いますので)
したがって、そのほかの、
契約社員
パートタイマー
嘱託社員
といった、正社員以外の従業員を対象とするのかどうかが考えどころになるものと思います。
そのほか、勤続年数というのも適用範囲を考える上での要素になりえます。
これらの点をふまえて適用範囲を考えてみると、
全ての従業員を対象とする
(従業員区分によって支給額を変える というパターンも含めて)
従業員区分ごと対象とするかどうかを決める
(契約社員は対象とするけれどもパートタイマーと嘱託社員は対象外 など)
支給事由によって対象者を変える
(弔慰金は全社員対象だけれども祝い金は正社員のみが対象 など)
勤続年数によって対象者を変える
(勤続3年以上の従業員を対象とする など)
など、さまざまなパターンがあるものと思います。
(もちろん、これらのパターンを組み合わせるということもありえます)
最初にも書きましたが、慶弔見舞金を、誰に支給するのかということは自由に決めることができますので、
会社として、お金を出せる範囲や金額
なども考慮しつつ決定すれば良いものと思います。
以下、一般的な条文を例示します。
(適用範囲)
第○○条
この規程は、就業規則第※※条に定める正社員及び契約社員に適用する。
慶弔見舞金規程 第○○条 目的
慶弔見舞金は、会社側から見ると、従業員本人や親族等の
結婚
出産
傷病(病気やケガ)
死亡
災害(天災など)
などの場合に、お祝いやお見舞いの気持ちを込めて金一封を包むというものです。
会社と従業員との関係は、従業員は仕事をして会社はその対価である賃金を支払う、というものですので、この関係とは直接関係のない従業員の慶弔禍福に対して会社がお金を出さなければならない理由はありません。
また、法令上でも、慶弔見舞金に関する規定はもちろんありません。
にもかかわらず会社が従業員やその親族等に対して慶弔見舞金を出すのには、それなりの理由があるということになると思います。
例えば、
ほかの会社でもやっているから
会社は従業員のことを気にかけているというメッセージ
従業員の愛社精神を高めるため
会社として当然のことだから
家族的な社風だから
など、いろいろあると思いますが、慶弔見舞金を出す理由については、各会社で十分に検討し、会社と従業員との間で意思の疎通を図っておいた方が良いものと考えます。。
以下、一般的な条文を例示します。
(目的)
第○○条
この規程は、就業規則第○○条の規定に基づき、従業員の慶弔禍福に際し支給する慶弔見舞金について定めたものである。
なお、慶弔見舞金の規程は、従業員感の不公平のないように、支給の要件や金額を定めることになりますが、規程の中で決めたら会社としては支給義務が発生することになりますので、会社として無理なく支払えるように定めることも重要になります。
出向規程 第○○条 退職金
出向者の“退職”については何回か前に触れましたが、今回は、会社を辞めるときにもらう“退職金”についてです。
出向(在籍出向)している人が退職(解雇を含む)するという場合、手続き上は、
出向を解除されて出向先の会社から出向元の会社に戻り
↓
そのうえで出向元の会社を退職(解雇)する
ということになります。
したがって、出向者であっても出向元の会社の退職(解雇)事由によって退職(解雇)することになります。
一方、退職金については、出向元の会社の規定に沿って支払わなければならないということはありません。
出向期間中も引き続き出向元で働いたものとみなして退職金の計算をする
出向元での退職金を清算して出向先へ移る
など、出向者の退職金をどのように取り扱うかは、出向先の会社と出向元の会社とで話し合うなどして自由に決めることができます。
ただ、そうは言っても、
出向したかどうかで将来の退職金の額が大きく変わる
特に出向したことにより退職金が減る
ということになると、出向者も納得しないでしょうし、また、「労働条件の不利益変更」という問題も生じます。
したがって、一般的には、出向期間中も出向元の会社に勤め続けたものとして退職金を取り扱うというのが一番スムーズで、また、問題も発生しないだろう、ということになると思います。
(まあ、出向の理由等によっては別の取り扱いをするということもありえると思いますが)
あとは、出向期間中の退職金原資の積み立てを出向先の会社と出向元の会社のどちらが負担するのかということになります。
この点については、出向する従業員は直接関係はありませんので、双方の会社で話し合ったうえで出向契約書の中で取り決めるということになるでしょう。
以下、一般的な条文を例示します。
(退職金)
第○○条
出向者が退職(解雇の場合を含む)する場合、出向期間を会社(出向元)の勤続年数に算入した上で、会社(出向元)の退職金規程に基づき退職金を支給する。
出向規程 第○○条 社会保険等
従業員が出向するにあたっては、
健康保険(介護保険を含む)
厚生年金保険
雇用保険
労災保険
といった公的な保険の加入をどうするかという問題も出てきます。
健康保険は、都道府県ごとに保険料率が違うので、都道府県をまたいで勤務先が変わる等の場合は、保険料の額が変わることがあります。(上がる場合もあれば下がる場合もある)
また、健康保険組合から協会けんぽに移ることになる場合は、保険料だけでなく、保険給付の面でも条件が変わることがあります。
厚生年金保険は、都道府県ごとに保険料率が違うということはありませんが、厚生年金基金から年金機構の厚生年金保険に移る場合は、保険料の額だけでなく、将来の給付にも影響が出てきます。
健康保険や厚生年金保険については、どちらの会社で加入するか、また、会社負担分の保険料をどちらの会社が負担するのかを、それぞれ出向先と出向元の会社の話し合いで決めることができます。
したがって、すでにあげたような要素を検討したうえで、出向しても出向元の会社で引き続き取り扱うか、出向したのだから出向先の会社で取り扱うようにするのかを決めて、保険料の負担も含めて出向契約で定めることになります。
雇用保険については、主たる賃金を支払う会社で加入することになっています。
そのため、
出向元の会社から賃金が支払われるのであれば出向元の会社で加入し、
出向先の会社から賃金が支払われるのであれば出向先の会社で加入する、
ということになります。
会社負担分の保険料をどちらが負担するかは、出向先と出向元の会社で決めて、出向契約に定めることになります。
最後に労災保険ですが、こちらは、実際に勤務している会社で加入することになっています。
したがって、労災保険は出向先の会社で加入することになります。
ということで、出向にあたっては、公的な保険についてもそれぞれ違ったきまりがありますので、ご注意いただければと思います。
以下、一般的な条文を例示します。(労災保険以外は出向元の会社で加入する例です)
(社会保険等)
第○○条
健康保険、厚生年金保険、雇用保険の適用は、出向期間中も会社(出向元の会社)にて行う。
2.労災保険の適用は、出向先会社にて行う。
出向規程 第○○条 賃金等の支払い
従業員が出向するとなると、出向期間中の賃金は、出向元の会社から出るのか?それとも出向先の会社から出るのか?、そして賃金額はどうなるのか?という問題が当然ですが出てきます。
どちらの会社が賃金を出すのか?については、
会社の籍は出向元の会社にあるのだから出向元が出す、という考え方もありますし、実際に働くのは出向先の会社なので出向先が出す、という考え方もあります。
実際のところは、法令上の規制はないので、どちらの会社が出しても良いことになります。
このあたりは、出向元の会社と出向先の会社、そして出向者本人の3者の間で締結する出向契約で定めることになります。
出向者本人は、特にこだわりがなければ、賃金さえ出ればどちらからでも構わないということになると思いますが、どちらが支払うかと、どのように負担をするのかについては、出向元の会社と出向先の会社で決めることになります。
賃金額がどうなるかは、
出向することによって賃金額が減るとなると、労働条件の不利益変更という問題もありますし、出向の目的等によっては、賃金が減るにもかかわらず出向を命じるのは無理があるということもあります。
そのため、出向先の賃金水準が出向元より低いために出向によって賃金額が減るという場合は、その差額分を補てんするなどということも行われています。
このあたりも、出向契約で定めることになります。(補てん分をどちらの会社が負担するかを含めて)
以下、一般的な条文を例示します。(出向元の会社が支払う例です)
(賃金等の支払い)
第○○条
出向者の出向期間中の賃金(賞与を含む)は、原則として会社の賃金規程に基づき会社(出向元の会社)が支払うものとする。