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慶弔見舞金規程 第○○条  傷病見舞金

傷病見舞金は、病気やケガで療養する際に支給する見舞金ということになるわけですが、傷病見舞金という項目を設け、支給するかどうかというところがまず検討すべきことになると思います。


設けるかどうかは各会社の自由ですので、設けないということであれば、そもそも傷病見舞金という項目自体が不要であるということになります。

(傷病見舞金を支給しないとわざわざ明記することもないので)


設ける場合は、規定として具体化するために、


 ① どの程度の傷病であれば支給するのか?

 ② 傷病の原因による差をつけるか?

 ③ 勤続年数や従業員区分による差をつけるか?

 ④ 具体的にいくらにするのか?


といったところが検討事項として挙げられると思います。



① どの程度の傷病であれば支給するのか?

については、

軽い傷病まで支給していたらきりがないので、どこかで線引きをする必要があります。

具体的には、一定の期間以上休むことになった場合に支給する、 と決めることが多いと思います。

(各会社で自由に決められますので、別の決め方でもかまいません)


② 傷病の原因による差をつけるか?

については、

業務上の傷病か?、プライベートでの傷病か?ということで分けることが多いと思います。

業務上の傷病の場合だけ支給して、プライベートでの傷病に対しては支給しないということも可能ですし、逆に、業務上でもプライベートでも差をつけないということも可能です。


③ 勤続年数や従業員区分による差をつけるか?

については、

②と同様で、差をつけることも可能ですし、つけないことも可能です。


④ 具体的にいくらにするのか?

については、

金額は、やはり世間相場をある程度意識して各会社で決めることになりますが、会社として無理なく支払える金額はどの程度かという観点も重要だと思います。



以下、一般的な条文を例示します。


(傷病見舞金)

第○○条

従業員が、業務上の傷病により療養するために※※日以上の欠勤をする場合、次のとおり傷病見舞金を支給する。

  勤続※年未満  ○○○○○円

  勤続※年以上  ○○○○○円

2.従業員が、私傷病により療養するために※※日以上の欠勤をする場合、次のとおり傷病見舞金を支給する。

  勤続※年未満  ○○○○○円

  勤続※年以上  ○○○○○円

3.前2項の金額は、療養が長期に及ぶなど、会社が必要と認めた場合には増額又は追加して支給することがある。

 

慶弔見舞金規程 第○○条  出産祝金

前回は結婚祝金についてでしたが、もうひとつおめでたいものの代表として、出産祝金があります。



出産祝金については、


  勤続年数による差をつけるかどうか?

  双子以上のときにどうするか?

  二人目、三人目などで差をつけるかどうか?

  夫婦とも従業員のときにどうするか?

  死産のときにどうするか?


といったところをはっきりさせておく必要があると思います。



勤続年数については、差をつけるかどうかは各会社の裁量に任されることになります。

ただし、実際に子を産む年齢についてはそれなりに限られますので、あまり的外れな設定はしないように注意した方がいいかもしれません。


双子以上については、一人ごとに支給するのか、1回の出産であれば双子以上であってもなくても同じ額を支給するのか、ということが問題になりえます。

健康保険の出産育児一時金は一人ごとに支給されます。会社の出産祝金も双子であれば二人分もらえると従業員が考えるということも十分にありえますので、1回の出産であれば双子以上であってもなくても同じ額を支給するということであれば、その旨を明記すべきでしょう。


二人目、三人目などで差をつけるかどうかについて、これも当然各会社の自由です。

差をつける場合は、一人子がいる状態で入社してその後二人目を出産した時に、二人目として取り扱うのか一人目として取り扱うのか(入社してからは一人目なので)、という点は明らかにしておいたほうがいいでしょう。


夫婦とも従業員の場合は、結婚の祝い金と違い夫婦それぞれに支給するということはあまりないと思います(もちろん夫婦それぞれに支給するのも自由です)。

この場合は、どちらに支給するのかということが問題になりえます。通常はこんなことは問題にならないのですが、出産の時点で夫婦仲が悪くなっているということもありえます。

こういったときに、どちらに支給するかで会社が揉め事に巻き込まれるのもバカバカしいのですが、ここまで想定して規定を作るのもどうかという気もします。


死産のときにどうするかについては、弔慰金、香典として支給することも可能です。もちろん、死産のときは支給額を変えたり、支給しないと規定することもできます。



以下、一般的な条文を例示します。


(出産祝金)

第○○条

従業員又はその配偶者が出産した時は、次のとおり出産祝金を支給する。

  1産児につき ○○○○○円

2.従業員又はその配偶者が、妊娠85日以降の資産の場合、弔慰金として前項の半額を支給する。

3.夫婦双方が従業員の場合、前2項の祝金等は、申請のあったいずれか一方に支給する。ただし、支給する者を決定しがたい場合は、支給額を折半し、各々に支給する。

 

慶弔見舞金規程 第○○条  結婚祝い金

慶弔見舞金では、どのような支給事由を設けるかは各会社の自由ですが、規程を設けるのにあえて結婚という支給事由を外す会社はまずないものと思います。


その理由としては、世間一般の常識に照らしてということもあると思いますが、そのほかに、結婚し家庭をもてばますます仕事に励むだろうという期待が会社としてはある、ということもあるかもしれません。


まあ、結婚しても会社に執着せずあっさりと転職するというケースも少なからずあるので、あまり期待し過ぎるよりは、純粋に結婚のお祝いと考えておいた方がいいかもしれません。



結婚祝い金の金額ですが、これも各会社の事由です。

ただし、常識的な金額より高い場合は所得税の課税対象となる場合がありますので、この点は注意が必要です。


決め方としては


  一律に金額を決める

  勤続年数や婚姻の回数など合理的な理由によって金額を変える


といったところが検討の要素になるものと思います。


一律に金額を決めれば一番手っ取り早いのですが、勤続年数によって変えることもあります。

また、再婚の場合は金額を下げるなど、回数によって金額を変えるケースもあります。(ただし、再婚であることを確認することがどうなのか?どのように確認するのか?という問題はあります)


なお、性別によって金額に差をつけることは当然ながら避けなければいけません。(男女雇用機会均等法違反にもなります。)



その他、結婚については従業員同士が結婚する、ということもあります。

この場合、一人として支給するのか?二人として支給するのか?ということが解釈上問題になる可能性がでてきます。


金額は各会社で決められますので、従業員同士の場合は一人分として支給するような規定を設けることも可能です。

ただ、やはり結婚する一人一人にお祝いを渡すのが筋であり、また、結婚というおめでたいことに水を差すこともないのではないかと個人的には思います。



以下、一般的な条文を例示します。


(結婚祝い金)

第○○条

従業員が結婚したときは、勤続期間に応じて、次のとおり結婚祝い金を支給する。

① 勤続○年未満        ○○,○○○円

② 勤続○年以上○年未満  ○○,○○○円

③ 勤続○年以上        ○○,○○○円

2.従業員同士が結婚する場合、前項の祝い金は各々に支給する。

3.会社からすでに結婚祝い金を受けたことがある従業員に対する祝い金は、第1項各号の○分の1の額とする。

 

慶弔見舞金規程 第○○条  勤続年数の計算

慶弔見舞金は、従業員の慶弔禍福に対し支給するものですが、同じ支給事由であっても、


  勤続年数


によって支給額を変えることがあります。



勤続年数とは関係なく、同じ支給自由であれば同じ金額を支給するということでも、会社としてそのような方針であれば何の問題もありませんし、その場合は今回の勤続年数に関する規定も必要ありません。


しかし、実際に勤続年数によって支給額を変えようとする場合には、


  どのように勤続年数を計算するのか?


ということをはっきりさせておく必要があります。



というのも、従業員として会社に勤めているといっても、ずっと安定して会社に出てきて仕事をしているのであればいいのですが、


  正社員⇔非正規従業員(パートなど)のような従業員区分の変化

  病気等による休職

  会社都合による休業

  育児・介護休業、産前産後休業


など、会社に属していても仕事をしていない期間や、慶弔見舞金の対象とならない従業員として勤務した期間など、勤続期間として含めるかどうか、なんともいえないような期間が発生することがあるからです。



慶弔見舞金はあくまで会社の恩恵的な給付であり、会社と従業員の関係を良好にし、従業員にやる気を持って頑張ってもらいたいということもこめられていると思います。


そういった給付であるにもかかわらず、支給額で揉めたり、揉めなくても何らかのわだかまりや不満を残すということは、会社にとっても従業員にとっても不幸なことです。


そのため、細かいことだと思われるかもしれませんが、しっかり規定しておくべきだと思います。


なお、慶弔見舞金の支給に関する勤続期間の計算については、法令上の決まりはありませんので、各会社で自由に決めることができます。



以下、一般的な条文を例示します。

(あくまで一例です。)



(勤続年数の計算)
第○○条
この規程において、勤続年数の計算は、採用の日から支給事由発生の日までとする。ただし、会社都合以外の休職期間は除く。

 

慶弔見舞金規程 第○○条  支給の手続き

慶弔見舞金は、従業員やその家族の結婚、出産、死亡、災害、傷病など、会社が決めた事由に基づいて支給することになります。


その支給の流れとしては、


  お金が絡むこと

  従業員からの正確な情報に基づき支給額を決めることになること


から、


  従業員からの書面による申請に基づいて会社が支給を行う


というのが普通であり、また、そうあるべきだと考えます。


もちろん、多くの場合、慶弔見舞金を支給するようなことが起これば会社内にも伝わるものですので、会社側から申請を促すということはあってもいいと思います。



また、申請の書面については、「慶弔見舞金支給申請書」などといったかたちであらかじめ様式をつくっておき、必要事項を記入すればOK、というようにしておけば、従業員としても無理なく申請ができ、会社としても支給に必要な情報が得られて、スムーズに運用ができる、ということになるでしょう。


なお、様式の作成にあたっては、あまり立ち入ったことを聞かれたくない、という従業員もいるかと思いますので、支給のために最低限必要なことのみを記入するような様式にするよう、注意する必要があります。



以下、一般的な条文を例示します。



(支給の手続き)

第○○条

従業員その他の請求権者がこの規程により慶弔見舞金の支給を受けようとするときは、原則として事後1ヵ月以内に「慶弔見舞金支給申請書」を提出しなければならない。

2.前項の申請があった場合、会社は支給事由が確認出来次第速やかに支給するものとする。

3.会社は、支給事由を確認するうえで必要があると認めるときは、その事実を確認できる書類の提出を求めることがある。従業員がこの求めに応じない場合、会社は慶弔見舞金を支給しない。