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出張旅費規程 第○○条  宿泊料

最近は、経費の面や交通機関の発達で日帰り出張ということも多くなったと思いますが、やはり、出張といえば宿泊を伴うもので、個人的には泊って飲むのを(今も)楽しみにしています。(接待など憂鬱な時もありましたが)



その宿泊費ですが、


 ① 従業員区分ごとに1泊あたりの宿泊費が決まっている(固定)


 ② 従業員区分ごとに1泊あたりの宿泊費の上限が決まっていて、その範囲内で実費とする(上限付き実費)

   (このようなタイプを狙った宿泊プランもインターネットでよく見かけます)


 ③ 上限はなく、実費とする(完全実費)

    (この場合、宿泊費を低く抑える工夫、仕組みのようなものが各社あります)


※①②では、従業員区分に関係なく一律ということもある


のどれかで定めることになると思います。



ただ、この中でどれが良いのかと考えると、やはり一長一短のような気がしますので、各会社の事情に応じて決めればよいのではないかと思います。


なお、①②の場合は特に、接待等で高いホテルに泊まる必要があるなど、通常の宿泊とは異なる場合もありますので、こういったケースには対応しておいたほうが良いと思います。



宿泊費の決定に当たっては、最近はインターネットの影響もあるのかホテル代も以前よりだいぶ安くなっているようですので、①②の場合は金額が妥当なものかチェックする必要があります。

また、定期的に見直し、必要に応じて変更するということを検討してもよいかもしれません。



その他、会社の施設に泊まる場合、縁故先に泊まる場合などに、


  通常の宿泊費の半額とする

  宿泊費は支給しない

  縁故先のお土産代として○○円支給する


などといった別の取扱いをすることもあります。




以下、一般的な条文を例示します。



(宿泊料)

第○○条

宿泊料は、宿泊した夜数及び従業員区分に応じ、一泊あたり別表に定める金額を上限に宿泊に要した実費を支給する。

(別表は省略)

2.前項の規定にかかわらず、出張者の縁故先に宿泊した場合は一泊あたり○○円を支給し、会社の施設に宿泊した場合は宿泊料を支給しない。

 

出張旅費規程 第○○条  自動車の利用

出張で自動車を使用する(従業員自身が運転する)のは、都会の方では禁止している会社もあると聞いたことがあります。

しかし、地方では、自動車を運転して出張するということは特に珍しいことでもなく、会社によっては、かなり遠方でも自動車を使うということもあります。


自動車の場合、まず、会社の車(社有車)を使うか、自分の車(自家用車)を使うか、ということになります。

社有車が十分にあればそれを使えばいいので問題ないですし、自家用車に使用を禁止してる会社もありますが、一方で、自家用車を使う場合、使わざるを得ない場合もあります。



自動車での移動で一番の問題は交通事故です。

いくら安全運転に気をつけるといっても、可能性として当然想定しておかなければなりません。

実際に事故が起きた場合、社有車であれば基本的に会社の責任で処理することになりますが、自家用車の場合はいろいろと問題が起こりえます。


事故の処理は自家用車の所有者である従業員が加入している保険を使って行うことになると思います。しかし、いくら自家用車での事故でも、会社の用事で運転していれば、会社は使用者としての責任を負うことになります。

特に、自家用車の保険で十分な事故の補償ができない場合には、会社にも補償を求めてくるということになり、使用者としての責任がリアルなものになる可能性があります。

(この点は、出張に限らず、自家用車で社用の外出をする場合も同じです)

したがって、自家用車で出張するにあたっては、十分な自動車保険に加入しているかについても会社として注意する必要があります。



出張旅費の面については、高速道路や有料道路、駐車場代などを実費で支払うということで、通常は特に問題ないものと思います。

燃料代も、社有車であればガソリンスタンドの領収証で精算すれば問題ありません。


ただ、自家用車の場合、単に燃料を使って走っているわけではなく、その他の消耗品や、自動車そのものの償却費用、そして自動車保険にも注意するなどを考えると、単に燃料代だけを払えばいいというものでもなく、自家用車の使用料とも言うべき費用を上乗せすることも検討すべきではないかと思います。




以下、一般的な条文を例示します。


(自動車の利用)

第○○条

自動車を使用して出張する場合は社有車を使用するものとする。ただし、やむを得ない事由があり会社があらかじめ認めた場合に限り自家用車を使用することができる。

2.前項に基づき自動車を使用した場合、使用に伴う高速道路・有料道路の料金、駐車場代、燃料代その他必要な経費の実費を支給する。ただし、会社の承認を得て自家用車を使用した場合は、燃料代に代わり1kmあたり○○円を支給する。

 

出張旅費規程 第○○条  航空機、タクシー等の利用

出張中の移動は、(新幹線や特急を含めた)電車が一般的で、それ以外の細かい移動にバスを使ったり、出張先の人に送迎を頼むなどを使うというのが一つのパターンかなと思います。

(車での移動が一般的な会社もありますが、車については次回とします)


しかし、それ以外にも、飛行機での移動、タクシーやレンタカーの利用が必要になることもありえます。



飛行機については、遠距離であれば使うということになると思います。ただ、飛行機を使うと移動時間は短くなりますが費用はそれなりにかかりますので、飛行機を使うか電車を使うかというところは、一つ考えどころでもあるかと思います。


この点、遠方への出張がよくある場合で、


  ○○○km以上の移動の場合は飛行機OKと決まっている


 とか、


  ○○地域への出張は飛行機OKの慣習がある


などという場合は、不合理なものでなければこれを踏襲すればいいのではないかと思います。



ただ、遠方への出張はほとんどない場合、ほとんどないことを規定するよりは、


  その都度会社の承認を得る


ということで当面は運用し、その後遠方への出張が増えたり、運用の結果社内の慣習ができてくればそれを明文化するということでいいのではないかと思います。



タクシーやレンタカーは、他の交通機関がなく(又はあっても非効率で)やむを得ない場合に限り、費用が安い方の使用を認める というのが一般的かなと思います。


実際のところは、出張を計画する段階でタクシーやレンタカーという話になると思いますので、事前に会社の承認を得る とする運用も可能ですし、従業員のモラルに問題がなければ事後承認ということでもいいわけですので、このあたりは各会社次第ということになるかと思います。



以下、一般的な条文を例示します。



(航空機の利用)

第○○条

航空機にかかる交通費は、利用が必要であると会社が認めた場合に限り利用できるものとし、認めた場合はその実費を支給する。



(タクシー等の利用)
第○○条

出張にあたっては、タクシー、レンタカー等の交通機関は原則として利用しないものとする。ただし、利用が必要であると会社が認めた場合はその実費を支給する。
 

出張旅費規程 第○○条  交通費

出張して会社の外で仕事をする場合は当然移動を伴いますので、交通費が発生します。


移動手段としては、


  鉄道、バス

  車(自分で運転する)

  タクシー

  航空機

  船舶


といったところが挙げられると思います。

(船舶はまず使わないから端折る、ということもありますが)



さすがに最低限の交通費も出さないということはそうそうないとは思いますが、経費節減ということも考えなければなりませんので、


  電車の場合は特急等を使うかどうか?

  航空機、船舶、電車の場合は座席のランクをどうするか?


といったところは、出張者の負担と会社の負担のバランスを考えつつ、はっきり決めておく必要があります。



特急等については、「○○km以上(又は○時間以上)の移動の場合には特急等の利用を認める」又は「会社が必要と認めた場合には特急等の利用を認める」というように定めていることが多いものと思います。

出張であれば自動的に特急等の利用を認めるとしていることもあります。


良く利用する路線などがある場合は回数券など割引を利用するということもありますので、こういったことも含めて規定をすることになるでしょう。


座席のランクについては、「役員は○○席、部長は○○席、一般社員は○○席」というように、従業員区分によって定めるのが一般的だとおもいます。

ただ、国内の移動については、従業員区分に関係なく全員、座席ランクは原則として一番下としている会社も少なからずあります。(海外の場合は安全面の配慮もそれなりに必要なのでまた別ですが)


座席のランクをはじめ、日当の額、宿泊費などについては、表にまとめて分かりやすくしておくことが多いですし、またその方が良いものと思います。



以下、一般的な条文を例示します。



(交通費)

第○○条

交通費は、鉄道、航空機、船舶及び自動車の運賃とし、合理的な移動経路に応じた料金の実費を支給する。

2.前項の費用は、従業員区分ごと別表に定める範囲内で利用した実費を支給する。ただし、該当する料金クラスがないなどやむを得ない場合で会社の承認を得た場合は必要な実費を支給する。




航空機、自動車の利用については次回触れたいと思います。

 

出張旅費規程  第○○条  国内出張旅費の支給

従業員が出張すると、通常は、交通費や宿泊費のほか日当がもらえるということになります。

出張旅費規程は、これらが一体いくらもらえるのか?(会社側から見ればいくら払うのか?)ということを決めて従業員に明らかにするものです。


ただ、出張したらいくらもらえるのか?という話の前に、


  そもそも出張とは何か?


 つまり、


  出張と、単なる社外での仕事との境目はどこか?


ということ、 「会社での出張の定義」 を決めておく必要があります。



にもかかわらず、いろいろな会社で出張旅費の規程について検討する際、たいてい問題になるのがこの点で、宿泊を伴う場合はそれほど問題になりませんが、日帰りの場合にどうするかをはっきり決めていないまま出張旅費等の運用をしていることが多いように思います。


しかし、


  「出張旅費(特に日当)をもらえると思ったのにもらえなかった」


というような不満はやはり出てこないにこしたことはないので、やはり出張の定義ははっきりさせる必要があります。




出張の定義は、法律等で決まっているわけではありませんので、各会社で自由に決めることができます。

(ただ、世間一般の水準というものもありますので、このあたりは意識する必要があるとは思います)



定義の決め方については、


  移動距離で判断する

   →○○km以上遠方へいく場合は出張とする


  移動時間で判断する

   →移動に○時間以上かかる場合は出張とする


  活動時間で判断する

   →活動時間(拘束時間)が○時間以上になる場合は出張とする


など、いろいろあります。

また、これらを組み合わせて定義づけることもあります。


各会社で、どういう仕事の内容か?これまでの慣習がどうだったか?などを考慮しつつ決めていくことになるものと思います。




以下、一般的な条文を例示します。


(国内出張旅費の支給)

第○○条

会社の指示により、勤務する事業場の外で業務に従事する時は次の区分により国内出張旅費を支給する。

①宿泊出張…1労働日を超える活動が必要で宿泊を伴う出張

②日帰り出張…勤務する事業所から概ね○○km以上遠方の地域で業務に従事する、宿泊を伴わない出張

2.前項の要件を満たさない場合は外出として取扱い、合理的な経路に基づく交通費を支給する。