九段下の駅から歩いているとき、
「20年たつとみんなこうなるよなぁ」
という声が聞こえた。
今日のコンサートの観客の多くは僕より年上。
女の人の割合が高い。
男はちょい悪親父系またはオタク系が多い気がした。
僕の前の列のキャップをかぶったお姉サマは半袖Tシャツ、首にBARBEEのタオルを巻いて踊る気満々だった。
ほとんどの人はコートの下にカットソー、上着を脱げば踊れる仕様だった。
僕も制汗剤を多めにつけ、そんな感じで出かけた。
武道館の中に入ったのは大学の入学式以来。
コンサートでは初めて。
15分強遅れて公演開始。
1曲めがはじまる直前、すべてのライトがオフになった瞬間から総立ち。
アンコール前の数分だけ腰かけただけで、後は2時間15分立ちっぱなし。
みんな元気だ。
それにしても1曲めの途中、申し合わせたようにいっせいに周囲の人たちが右手をあげたのにはびっくりした。
しかも指でつくる形がまた全員同じ。
You Tube の映像で見たことある。
この手のことには高い適応能力をもつ浮舟の弟もさっそく周囲に同化。
「女ぎつね on the run 」で指の形を変えるのにもきちんと対応。
なお、前列お姉サマは「負けるもんか 」ではグーの形に握り締めた拳を高くあげていた。
うーん、こまかい。
が、、、浮舟の弟程度では即座に対応できない事態も次々と発生。
1曲のうちの1箇所でだけ腕をあげたりするのはさすがについていけないし、腕を振ったり、振りやめたり、その微妙なタイミングが、、、
なぜこの人たちにはわかるんだ?
また、ある曲ではみんなが突然ジャンプ Σ(゚д゚;)
なぜこの人たちはいっせいに飛び上がるタイミングがわかるんだ?
さらに、みんなが急に歌いだす。
なぜこの曲のここに限ってみんなで歌うとわかるんだっ!
思うに20年間、彼らの体は憶えていたのであろう。
人間、恐るべし。
・・・それとは別に僕は頭の片隅で考えていた。
20年たつと欲が何か違うものに形を変えるんだな。
その違うものってなんだろう?
「チャンス到来 」を聞いたとき、その違うものが哀しみの色を帯びていることだけは確かだと感じた。
「チャンス到来」がこんなに哀しく聞こえたことはなかったよ。
「バービーサイコー」
「バービーサイコー」
アンコールがスタート。
2度めのアンコールの後の、
「本日の公演はすべて終了いたしました。・・・」
というアナウンスに、
えぇ~っ!!
と唱和。
平均年齢40歳以上、多くの人は結婚して子供もいるであろう、そんな観客たちの声だと思うとおかしくてしかたがない。
コートを着て帰ろうとした人もいた。
が、、、BARBEEは四度登場。
20年の歳月を過ごしたのはステージ上の5人だけではない。
観客の多くがそれぞれの20年を経て、おそらくは20年前とは違う人と一緒にこの会場にタイムスリップしているのだ。
今日の主役は20年間人生の荒海を泳いで再びここに集まった全員なんだと思った。
20年という化け物。
今日のライブは5月1日にWOWOWで放映されるらしい。
もしご覧になる方がいれば、BARBEEの5人だけでなく客席にも注意してほしい。
そこには浮舟の弟がいるから。さまざまな色の複雑な20年が見えるはずだから。




