テレビ番組の新たな配信サービスへ向けて、アメリカの2強が全面対決の様相を呈してきた。
iPod, iPod touch, iPhone, iPadといった携帯端末市場で絶大な支持を得ているアップル社が、ついにコンテンツ市場にも乗り出してきた。
アップルは1日、一部のテレビ番組を1本当たり0.99ドル(約83円)でレンタル配信すると発表した(関連記事 )。その数時間後、今度はアマゾンが、同社のビデオ・オン・デマンド(VOD)サイトで配信している同種のテレビ番組の販売価格を、1本当たり2.99ドルから0.99ドルに引き下げると発表した。しかも、アップルが番組をレンタルするのに対して、アマゾンは視聴期限なしでの販売だ。
大手企業による価格競争は、ユーザーが観たい動画を観たいときにいつでもインターネット経由で利用できる、有料オンデマンドサービスに対する消費者の興味を一挙にかき立てる可能性がある。 新たなマーケットの創出である。
しかし、アップルやアマゾン、その他IT企業から、コンテンツのライセンス使用の許可を求められているテレビ局側の対応は、各社でばらつきがある。
一部のメディア経営幹部は、そうしたレンタル配信は、メディア企業に対し、現在の収益の2本柱である広告料とケーブルテレビ利用料に依存しないビジネスモデルへの脱却を促す一歩になる可能性がある、と述べる(ニューズ・コーポレーション:ウォール・ストリート・ジャーナル親会社)。
要するに、新たなマーケットが創造され主流となった場合、今までのマーケットは収縮していきやがて消滅を余儀なくされる。これを一番恐れているのが今のテレビ局・複合メディア企業なんだ、ということである。
今や、アップル社が繰り出す携帯端末は「クラウドの窓」として世界の覇権を手中に入れようとしている。音楽配信という市場では完全に1人勝ちに成功し、市場を独占してしまったわけだが、果たして「映像の配信」というフィールドでもアップル社は破壊的イノベーションを起こせるのだろうか?
個人的にこの分野ではグーグル社の動きも視野に入れておく必要があると思う。
「観たい動画を観たいときにいつでもインターネット経由で利用できる」とはまさにクラウドそのものである。
クラウド指向の本家本元であるグーグルは「Android」という携帯端末向けのOS=プラットフォームを開発し、スマートフォン市場ではiPhoneを凌ぐ勢いをみせつつある。インターネットブラウザ「Chrome」やクラウド型プラットフォーム「ChromeOS」のシェアは今のところ低いが、Androidの成長とともに今後伸びてくることが予想される。その最大の利点は高速性であり、シンプルさであり、低リスク・低コストであり、拡張性である。
我々ユーザー側はインターネットの向こう側=「雲」=「クラウド」についてあれこれ考える必要はない。サービスはすべてインターネット経由で「雲」からいつでも利用できる。サービスを受け取る「窓」だけあればいい。

