ひっぴーな日記 -4ページ目

ひっぴーな日記

よくわからないことを書いてます

桜めっちゃさいてて白目(ry

 

それでまぁ指はだいぶよくなりまして1週間まえよりはかなり良い感じ。小説は・・・あと半月はむりかなぁ。まぁバネ指いうても軽度だからなぁ。

普通に一ヶ月かそのへんかなーと。

 

あとは両肩関節、両アキレス腱だけど、シップはりっぱで5日きたけど、うーん、ぴりりっとした微妙な痛みは相変わらずなんだよなぁ。確定したいならMRIだけどお金も時間もないっすまじで。

放置してればなおるかなぁーと淡い期待。どっちにしろこれなおらんとスポーツできないんすしね・・・。

 

んんーあとは甲状腺の血液ぬいてきたしぃまぁいっぱい病気もってるよーってことでさくらちゃん可愛いよかわいいよ

さくらみてると砂糖はくんじゃ~

 

さて固定治療から約一週間ようやく左手指がよくなってきました。

というか、テーピングをはずすタイミングってわからんよねwwまぁ痛みがなくなったららしいけどね。

今度いくときまでによくなっていなかったら?まぁ注射らしいけど、そんな安易にできないんだよなぁこれが。どっちにしろ保存治療で治すしかないというか。

まーでも異常が無いってだけでもいいんだけどねぇ。

よっしゃねる

 

 

僕が邪魔をするのはきっと好きだからだろう。

 

 

 

 

 

 

                     *

 

 

 だいたい三世紀ほど前、十七世紀に宇宙進出をピークに迎えたこの星は依然として二つにわかれたままで、さらに三種の人種で六つに引き裂かさかれていたらしい。人種はティーア系、オムス系、ユーリ系、この三種で概ね世界人口の過半数を占めていたのは白人種ユーリ系だった。大陸東岸に多く頒布していた自分たち日本国はオムス系人種の系統樹に該当してはいるものの、人口はユーリとの混血種を含めるとどっこいどっこいであるし、主にナノ、バイオテクに特化した資源輸出国だったのもあって優位な位置にいたのだろうと思う。
 そんなどうでもいい時代背景はおいとくとして、僕が属するのはティーア系。二つの人種よりも人口がすくなく、南半球の少ない地域に居住している人種だった。他人種との交わりを嫌い、純潔で純血であることをなによりも尊び、それを固有の宗教をもって三千年以上まもり続けた戒律人種。

 純血の多くが金髪か有色で、例外なく目が碧眼であった。

 それが例え混血であろうとも、そこから派生した家系であろうとも。青いその宝石のような目は隠せず象徴的だった。

 ティーア系は古来より実を言うと迫害の歴史で語られることが多い。文化を持たない野蛮な民族というよりも独自の知的な技術により一番に宇宙に進出し、ありえない人体の膂力をもった運動機能で他人種よりも突出、もちろんそれをほかの列国及び世界は見逃すことなく、魔法だの悪魔だのと迫害の裏で、表では優遇して社会へと迎えたが、ティーア側が要求をこばめば、世界全体がしょうがないと引く、という微妙な睨み合いの体制が確立しいつまでも続いき、ねちねちとした駆け引きが水面下で行われていた。

 僕に言わせればばかげた話だ。くだらない、と言うだろう。

 宗教と掟だけのためにもっているものを他に渡さないなどというのは、ただのエゴで自分の首を絞めているだけじゃないか。繁栄があるというのに苦しい道を選択するなんて。保護する者の手段と目的を倒錯している。

 ――そして、それによってその三世紀前ほど。火星への宇宙移民技術に関して、南と北が譲らず、双方、こじれにこじれて戦争が起こり――ティーア系はほとんど滅んでしまったらしい。
 さらに言えばだがその大陸ごと。別の人たちも――何億という人達を巻き添えに。そして元々南北に分かれていたこの星は二つの世界はますます二つになった、ということだった。
「暑いな……」
 僕は支給されたばかりのまるで学生服のような黒いスラックスに折り目ない半袖ワイシャツを着てある広場にたっていた。少し額に吹き出た汗を袖で拭い、強い風に目をしかめる。
 そして――トーラスはこの少なくなってしまったティーア系人種を保護するために作られた各国の割譲地、いや保護優先地、保護地とでもいえばいいのだろうか日本国でもこの東海含め全部で八箇所ある。多くが滅んだともいっても世界にもまだ数万と散り散りに生き残っている彼らのための楽園として用意されたものだ。
 まさに箱庭――僕がずっとここへくることを望んでいた、僕と同じ人たちがいる一種の国である地。
 僕が赴任する、という体裁の高校はずいぶんとトーラス内の高台にあって、事前に記憶していた校舎も外観の様子がどうやら違っていた。敷地は普通の大学キャンパス一つぐらいは入るだろうという広い面積で千二百メートルもある外延の壁の天辺がすぐそこまでに見えるぐらい壁の近くに位置していた。
「……情報よりも実際に中から見るとかなり違うんだな」
 この海上都市は沿岸部に半椀状、海に突き出した円状の砦のようなものだ。それが主に巨大なメガフロートや馬鹿みたいにデカイ艦船群を足場にして浮かんでいる。中央には都市の中枢が集まっていてビルが乱立し、そこから円状に住宅地、商業地、外延近くに工業、特殊施設と機能的に整備されている。だが実際に見る限りではずいぶんとごちゃごちゃした感じを受けた。
 ……あれだろうか。ほとんどが地下鉄で自動車が往来できる広い道がないからか。
 そんなどうでもいいことを考えるのは僕の悪い癖だとはわかっているのだが、こうやって観察してぼんやりあれこれ考えると頭が冴えるのだった。いつからの癖か忘れたけど。
 キラキラと星のように光る淡い青い光に上空が包まれていて、僕はしばらくそれを見ていた。
 三世紀前のご先祖様がなにをやっても、人種がどうでもあっても僕は僕なのだから。と、自信を持って言いたい。僕はそこまで強くなくて、ただ脆いだけだと思う。そう、言ってくる人も、もういないのだから。
「とりあえず……、誰も居ないのはいただけないな」
 いやそれこそどうでもいい。それより今の状況。赴任時の高校へはきたものの、なんと今日は休校日じゃないかというぐらい閑散、いや、誰もいないどころか使われた形跡がなかったのだ。
 植樹された森林が周りを囲み、真夏のなまったるい空気を風がざわざわと掻き回していく。その風の奏でる和音が誰もいないことを強調するようにこの敷地に反射して響いた。
 ここまでくるのに電車、バスを乗りついで徒歩での三十分、長い坂を登坂してきたのだが、巨大な校舎を囲むようにあるこの高校――だとおもうのだが――は敷地に入ってすぐに円状の広場にたどり着き、ここからどこへでも移動できる仕組み。だからこそここまで誰にも会わず閑散としていると、自分が本当にここにいていいのだろうかと不安になってくる。
 校門の表札曰く「第五区大学校」とあったのであっているのだろうけど。予定では「迎え」が来ているはずだった。女性が一人いる、と言われたのだが、現に誰も居らず途方に暮れているという按配だった。
「さて、どうしよう」
 物事は与えるか奪うかで決まるという。この場合正しい判断はどうなのだろうかとわざとらしく考えてみる。
 僕はしばらくバックから出したお茶を飲んだり、肩にかけている刀のカヴァーを直したりしていたが、いい加減立っているのに疲れてきたので中央の教育庁に電話を入れてみた。
『おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号――』
「……」
 自動音声を半分まで聞いて二、三度電話番号を確認するという無駄な動作をしてから、僕は盛大に溜息を付き、とりあえず職員室がありそうな校舎のほうへと移動し始めた。
 結局の所どうやら奪われるほうだった。


「あれ? あなた、良い所に来たわね。これ、武道館まで連れてって」
 そして僕は硬直していた。ここに着いた頃から耳について回っていた周囲の蝉の鳴き声が大きく聞こえ、むしろ心臓の鼓動が早く大きくなり、汗も尋常じゃないほど流れ出した。
 場所は広場から見えていたコの字型の校舎を左に行き、校舎と横にある植物園をつなぐ渡り廊下だった。
 植物園と特殊校舎の分かれ道で人が見えたと思って声をかけようとしてそのまま直立して動けなくなった。
 少女が――二人いた。一人が立ち、一人が渡り廊下に蹲っていた。
 そして立っている少女は、その蹲っている少女に向かって自身の身長より短い、とはいえ十分に長い、だが珍しい刀を突きつけていた。さらに蹲っている少女はなぜかボロボロの学生らしい制服姿でなぜか――両手に手錠がかけられていた。鉄製ではない、確かあれは指紋認証型の軍内で流通している電子ロック錠だ。円状の丸いフォルムに似合わず頑丈で有名。
 長身の女性は僕と同じくらいの歳で、下はプリーツのチェックのスカートに上は黒を下地に赤のラインが入ったブレザーを着ていた。腰まで届く肌理の細かい長髪を風に遊ばせ、眠そうな、だが意思のある瞳で僕を見つめている。その瞳にはただ人を見るというより、人を威圧で屈服させることになれた雰囲気を感じた。
 僕は、ああ、なんだろうこの状況はと客観的に思った。
 校舎を曲がって人を探していただけなのに途端これだ。なんだ、なんなんだこれは。僕は今日確か、ただ赴任の挨拶にきただけのはずなのになぜ刀をもった女子高生らしき不審人物と、ボロボロの制服すがたのさらに不審にも手錠をされてる少女に行き当たっているのだろうか。
 むしろこれは予想の範疇とも言えなくも無い、とか思考をずらしてこれからどうすべきかのんびりと考え始める。
 逃げるべきか。これは。いや警察隊とかに連絡、すべきなのか。というかこのトーラスに警察機構は存在するのかどうか。
「ちょっとー、聞こえてるの、あなた」
 僕が何も反応せず、ただ突然の場面にいっぱいいっぱいのために無言で直立していたら、刀の少女ほうが苛立ち気に僕に再度言ってきた。こちらに体を向け、柄を握る右手がわずかに動き、刀が持つ特有の鈴を弾いたような澄んだ金属音が鳴った。
「確か……、新人さんよね。新規の。何も聞いてはいないはずだしわかるでしょ」
 いやわかりません。何て言えない。でもここでなんとなく首を縦に振ってしまうのが僕の意思の弱いところだった。硬直したまま少しだけ首肯する。
 ……新人? なんの? 新規? 教師、ではないよな。そもそも新規といったら『あっち』のことなんじゃないのか……。
 いやな予感がここまできて的中の範囲に入ってきた。
「あれ? でもクリスがやるんだったか……。まあぁいい。なら早く連れて行け。私は中央に入って来るから事後の説明は武道館にて聞くよう」
 いきなり口調がかわって目を見張った。単に同い年ぐらいの女性のぶっきら棒な口調にではない。やはり誰かの上に立つものが下のものへと命令を下すのに慣れている威圧というものが感じられたからだ。
 長身で、右手だけで刀を手錠の少女に刃を平衡に構え、左手を腰にあてて、そして強気な整ったその顔――
 ――普通じゃないなこの子。
 僕が冷静に思考したとき、また目を見張った。
 雲のかげりが若干晴れ光の加減が変わったのだろうか、彼女を横からさすように太陽のひかりに照らされて踊る黒髪。
 僕は――確か、
 彼女は細い溜息を付くと流れるように刀を腰の鞘に収め、「じゃあ」と言って背を向けて左手を振り立ち去ろうとした。
「あのっ」
 自然と言葉が出ていた。なぜだろう。突発的というか、今話さないとダメだという強迫。
 彼女は顔を半分だけこちらに向け、立ち止まる。今更気づいたが形のいい瞳に収まっている目は碧眼だった。
「君――その右手が、」
 僕はそこまで言って自分で何を言っているんだと愕然とした。そして僕の言葉にも彼女は愕然としていた。
 おそらく僕は彼女との繋がりを確かめたかったのだろう、そんな利己的な考えで『安易なことを口に出しそうになった』。もし剣術を使うのなら口に出してはいけない。そもそも違っていたらどうするつもりだ。
 風が凪いで、蝉の音が少し遠ざかった気がした。
 刀の少女はしばらく驚いていたようだったが、すぐに僕とは正反対の方向、体を前に向けると長髪を躍らせながら植物園の方向に走り去ってしまった。
「……」
 そう、僕は――確か、彼女に昔あったことがある。
 そして――僕はきっと彼女に――

 


「君……、えっとどこの生徒? それって制服だよね? 別地区の学校、かな」
「……」
 僕も完全にはこの大学校の高校敷地内を把握しているわけではないが、建物に沿っていけばだいたいわかるのは当然だ。
 とりあえずここには四階建て校舎が六つほど団地のように縦列で並んでおり、その校舎ごとの左右に特別施設が設置されていた。実際はもっと複雑なのだが、とにかく先の植物園が第一校舎左端とつながっており、武道館はその右端だった。直進しようにも無駄に噴水や中庭などがあるので円状に迂回していかなければならなかった。
 つまり今僕たちは、先ほどの道を引き返して正面の噴水経由で右端の武道館へと徒歩で向かっている。
 その道すがら。どんな数奇な出会いで手錠されたどこぞの女子生徒――と思いたい――を、まるで連行(しかし本当に連行しているようなので間違いではないかもしれない)しなければならなくなっているのか、もう僕にもわからない。むしろ運命を作っている神様に聞きたい。お前は馬鹿かそれとも阿呆なのか。
 手錠の少女は目方中学生が大学校生低学年程度で、よくよくみればボロボロの制服もあちこちが焦げた後があったり切られた痕跡があった。とてもじゃないが普通の家出少女という案は僕の中で即効で却下された。どんな理由であの少女に刀を突きつけられあそこにいたのか――聞くのは憚られた。
 栗色に近いセミロング茶髪をそのままたらしてずっと下をむいたまま何も話そうとしない。そして手首に手錠。みるにやはりトーラス製の手錠だ。
 ……こんな素振りをされるとやっぱりただの、どこからから逃げ出してきた家出少女のように見える。
「あの、なんでさっきあんなことになってたの? なんていうかこう、追い詰められてたっていうかその。その服……さっきの女の子にやられたの?」
「……」
 僕がいくら質問してもずっと沈黙で何の反応もない。僕は仕方なしに彼女の右手を引っ張りながら歩いているのだけれど、ここでどこか、警察署か自警所あたりに通報するのもあり、とか思うほど頭は軽くない。
 こんな事件性ぷんぷんなことに巻き込まれたら僕の家族に迷惑がかかってしまう。
 僕はどうなってもいい、だけど、家にはあまり迷惑はかけたくなかった。正確には家のあの人には、だが。
 ただそれだけではなくて先ほどの女性も気になっていうのもあるけど。ただ、いまは彼女の言うとおりに動くのが得策だと思っただけだった。
 正直馬鹿らしい話、僕はこんな明らかに困っている人を見ると助けたくなってしまう性分らしい。昔確か九条に言われてようやく自覚したことだが。そうはいってもこんなことは自覚してやることじゃないので僕は当たり前にやっているだけのことだ。
 だんまりしたままの少女を傍らに一般的な体育館ぐらいはあるんじゃないかというぐらいに大きい武道館の建物の入り口には、剣道場と書かれた立派ないう表札がでていた。このすべてが剣道場……ではないはずだけど、資料には中はパーティションで仕切られいくつかの練習場がある、とあったはずだ。
 事前に記憶した資料に嘘偽りがなければなんだが。
 周囲はやはり人はなし。そろそろ夏の陽光が僕の頭をじりじりと焼き始め、地面に大小二つの影を作り出していた。
 右手をほぐして木製の左右開きの引き戸に手を掛け、少し嘆息する。
 失礼します、と申し訳程度な声だけかけて引き戸を開き、少女を引き入れて玄関らしきところに入る。
 しかし本当にほぼ新品で使われていない気がする。誰もいないというか――まるでこの学校自体がただ立てられただけのような、そんな錯覚。
 ――むしろ、そのほうが効率が、都合がいい、といえばいいのか。そんな錯視。
 コの字型の和風の広い上がりかまちに、とりあえず靴を脱いで下駄箱にいれようとしたがなぜか二足、靴がはいっていた。一方はスニーカー、もう一つはローファー。
 やっぱりさっきの彼女の仲間かなんかがいるんだろうが、この状況は本当に一体何なんだろうか。僕の新天地は殺伐とした派閥争いの真っ最中でもやっているのか。人間関係って本当に面倒だよな。
「まったくなんなんだ」
 一人ごちて素足のまま目の前の剣道場の扉を開けようとする。ふと振り返って後ろで、依然気配も無く佇んでいる少女に僕はなるべく優しく声を掛けた。
「とりあえず、上がりなよ。そこにいてもしょうがないし」
 ただそれだけだったのだが、今度は意外にも反応があって、素直に頷くと緩慢な動作でボロボロのスニーカーを脱いで廊下に上がってくる。それを見ながら僕は試しに聞いてみた。
「君、名前は?」
「……ミスズ」
 返答までかなり時間を要したけどあっさりと言った。それは苗字なのか名前なのか、どんな漢字で書くのかもわからないがその答えに僕は自然と笑みが零れてしまう。
「そっか。ミスズちゃんて言うんだね。とりあえずありがとう」
 僕の言葉にしばらく不思議な顔を――なぜ御礼を言われるのかわからないらしい――して僕を見上げてきたが、またするりと彼女の口から言葉が漏れた。
「……お兄さんは?」
 質問の意図も何も無いが、それは僕の名前は何かというぐらいはわかる。
「俺は時津彫な――」
 一瞬言葉をつぐんだ。言い出してしまいそうになったその言葉。
 漏れ出しそうになった尊い文字。
 少女が首を傾げるので僕は言い直す。
「時津彫龍之介。すごい長いだろ? あだ名はトキとかリュウとか言われるんだけど――」
 そのとき、すっと汗が引いた感じがした。この建物に入ったときよりも急に冷気が足元を覆われたような感触。
 ずっと誰かに監視されていたのに今やっと気づいた驚愕。
 外の蝉が一瞬だけなぜか鳴き止むのがはっきり感じられた。
 僕は両側に通じている廊下の左側の斜め向かい、つまり僕の後ろを思わず振り返るとまた女性が立っていた。細いフレームの眼鏡をかけた知性の上に愛らしい顔をあわせたような少女が立っていた。
 いつの間にいたんだこの子……。まるで始めから出迎えるためにそこにいて、それすら気づかなかったみたいだ。
「あらあら。あなた確か新人さんよね? 噂の。時津彫家のご長男とか。龍之介さん、とか仰いましたか」
 その苗字に僕の顔が少し剣呑になったのが自分でもわかった。
 ……あれ? 僕の素性とかしられてるっぽい? まぁ、おおよそ知っていて当然だが『問題は僕を知っているかどうか』だ。
 女性は先ほどの刀女と同じブレザー姿にきちっとした赤のネクタイ。で黒のソックスのまま廊下に立っていた。傍らの少女と同じく綺麗な茶髪で目は――碧眼だった。
「あなた……ティーア系ですか」
 思わず聞いてしまってやってしまった、と思ったが彼女は笑顔で首を傾けるだけだ。肩口までの髪がさらさら動く。
「せっかくきていただいたのですが私も、ちょっと用事がありまして出かけなければなりません。詳しい内容はそこの剣道場奥にいる久世さんにお聞きください」
 しっとりとした、丁寧な物言いにはあ、と間の抜けた返答しかできなかったが、彼女が僕の傍らのミスズに目を移すと驚くほど目が細くなった。一瞬だがまるで、何か敵をみるかのような視線。その視線にミスズが少し身じろぎするのが伝わってきた。
「その子は、ああ、蓮桐に言われて連れてきたんですか。なるほどなるほど。まったくあの子は毎度毎度後始末をやりたがらないんだから」
 レンドウ? いや、蓮桐か? それなら有名だ。僕と同じく。
 この保護地の脳髄である理事会トップの苗字が確か蓮桐だったはずだ。でもあれは……。
「ああ、申し遅れました。私、蓮杖祀と申します。まつるちゃんとお呼び下さい。または副部長」
 僕はまたはい、と気の抜けた返事しかできなかったが、副部長とはなんの肩書きなのかとかはもう考えない事にした。副部長というからには剣道部の副部長なのかと安直に考えておいた。ありえなさそうだけど。
 さて、と彼女、蓮杖は値踏みするかのように横の俯いているミスズをしばらく見て、ふむと頷くと、
「この子は私が預からせていただきますね。お疲れ様でした。とりあえず中へ」
 そういうとさっさと用件を済ませるがごとく、蓮杖は自身のローファーを下駄箱から手に取り履くと、ミスズの腕を掴んでを引っ張るように武道館を出て行った。
「……」
 いったい……。あのミスズという子、ティーア系に多い茶色の髪だったが碧眼じゃなかった。ボロボロの服といいどこかで犯罪でもやってこの保護地内に逃げてきたような感じだった。それに軍仕様の手錠。だが、そうだとしてもあの子が? どう見てもなんの力もない、非力な一子供にしか見えなかったが。
 そしてあの蓮杖という子。どうみてもティーア系だった。なんというか、なんと言えばいいのか……。
 しばらく入り口の引き戸を呆けてみていたが何の意味もないと悟ると剣道場の扉をあけた。
 道場に似つかわしくない観音開きだったが、中は整然とした綺麗な板張りで、上座は質素でなにもなかった。特有の冷たい空気が一瞬足首を多い、直ぐに外へと流れた。中は広く、横にあるだろう体育館の半分以上の広さを有しているだろう。広さと雰囲気から荘厳な感触が見て取れる。
 だが、その下には採光から漏れる夏の太陽をうけて、きらきらと光舞う埃の中、赤い一人がけのどでかいソファがその存在を誇示するかのように鎮座していた。

 そのソファの左右の肘掛に頭と白い両足をそれぞれ乗せ、何かの分厚い本を呼んでいる少女がいた。

 その少女の髪はまるで金細工のような透き通る金髪だった。そして彼女は西欧にあるような外人然とした綺麗な顔立ちだった。だが日本人離れはしていない。
 入り口から道場の両端まで教室二つ分くらいあるのでかなり距離はある、そして、その距離からにもかかわらずその存在感に僕は見惚れて、そして本日二回目となる驚愕を覚えることとなる。
「純血……」
 「外」でも滅多に見たことがない、その僕らの純血種。確信はないが、見ただけでわかった。
 彼女はそんなことお構いなしに礼儀もあったもんじゃない格好でソファに窮屈に寝そべって音楽プレイヤーで音楽を聴きつつ、ニーソックスに包まれた足を時折揺らしながら、それにあわせて引かれるように色素の薄い金髪も動く。ミニスカートに体にフィットした長袖のカットソーも彼女だからものすごく似合いすぎているとも思えてしまう。
 彼女はなにかそういえば忘れていた、ああそうだ、といった感じで予め僕に気づいていたかのように顔を向けてきた。細い指で音楽プレイヤーのイヤホンをはずすと、誰もが見とれてしまうかのような笑顔で、
「遅せえぞ糞が。どれだけ待ってたと思ってんだ」
 金髪の美少女の言葉に今日通算三度目の驚愕を受けて眩暈がした。

 

 

 

 

 

 

 

I have not been surely yet ready.

 

 

記事をかくにしても指がね・・・。

 

まぁいろいろ疾患もっちゃってるもんで日記がかけないwとくに聞き指がスマホいじりすぎで腱鞘炎ということで。

 

うんまぁそんな短い日記。あすた整形いってくりゅ。

 

 

例え過去が灰色しか残せなくとも、薄闇を未来へ積むしかない。

 

 

 

 

 

 

 


――プロローグ――


世界が二つになったと聞いた。


世界が滅んだとも聞いた。


でも世界は動いていた。いつもなにもなく。正常に。


だがそんなことは僕にとってはどうもでもよかった。所詮は僕とは別の世界の話で、僕に関連することといえば、この国のこの生活という空間の中で僕という存在事態が完結していたんだ。僕は僕であるということの、その証明をするためにはここにいる人たちではまったく足りなかった。


いや、足りないのではない。根源的な意味で『違う』のだ。それはどうしようもない。どうしようもないことばかり考えてもしかたがないさ、と割り切れるほど僕は残念なことに能天気な性格ではなかったので自身が自由になるときまで自身のその本質をずっとずっと、暗く曇り空の下にうごめく湖のような底に閉じ込めておくしかなった。


つまり僕はツクリモノだったのだ。詰まるところ。中も表もすべて作り物だったのだ。


そんな結論を得てからは、というか得たのは小学生のころにあの人とであったからで――いや、与えられたからでその価値観からは普通を勤めた。

すでに滅んでいると思っても可笑しくない旧家の本家でのびのびと育ち、友人にも恵まれて、勉強の覚えも自身で自覚比較するほど良かった。


大学校の三年生になり、自主卒業か進学かとなったときに自分が自主卒業して就職するとなったときはどれだけの人が自分を説得しにきたかは数え切れない。両親に始まって学校の友人から大学校の教授連からの直々の遡上がきたときはさすがにびびったのだが、やはり自分は早く自分がつくってしまった、ここという場所から離れたかったのだろう。


自分と相容れない、とは思っても、だからとして必ずしも相容れないとは限らない。その結果があの時、僕を引き止めてくれた人の数だけがあらわしているのだろうと思う。


そんなことを僕は知ってしまった。自分の外には自分を支えてくれる人が多くいるということにも。偽りと割り切って生活していたはずのこの空間のはずなのに。


人間物事はままならないものだ、とかそんなことを達観して自分勝手に優越感に浸れるぐらいに僕はこの四月に十八の誕生日を迎えた。


僕がずっと行きたかった場所――ただあの箱庭の中にだけに、前から聞いていたことを糧に、自分を信じてくれる人がいることを信じていたはずなのに。

僕の就職先は希望通り、トーラスの第五区画の剣術の教師として高校に赴任することとなった。


問題があるとすると、実家に何回か帰らなければならないということが億劫なのだが。


僕は願う。ただ僕のこの理解を共有してくれる人が、希望を聞いてくれる人がいると信じて。

 

 

   第一章 心をオリカエス 0/0

 

 

 弾丸の如く水が地面へ降り注ぎ、溜まった水溜りが辛うじてあがくように見定められる月を照らし出していた。
 石畳の一面に広がるそれらはまるで海。天界と地上が反転したような錯覚に陥りそうな光景。そこに立っていれさえすれば自分は空を浮遊しているような高揚感。天と地、その両方を自身の両憧にいれる違和感。
 バロック建築で創られたその数キロの橋の中央には二人の人物がいた。、いや、いたというよりも存在していた。橋の周囲は海。天界から降り注ぐ恵と星からの動きによる暴風によってありえないほどのうねりとなっていた。海も漆黒。橋上も漆黒。同じ世界なのか。
「貴様っ! まだやるのか! いつまでやる! なぜこんな、こんなことばかりやる!」
 興奮した少女がいた。
 字面でいえばそうだが、このような場所では不釣合いすぎる恰好だった。デザインに凝ったブレザーに履いている高級そうなローファーはすでに水でくぼんでいる。普段は背中に流しているであろうその茶味を帯びた長い髪は水分でじっとりと背中に張り付いていた。
「クソな制度もそうだが貴様もクソだ! どこまで行っても終わりはしないというのに、なぜこんなことをやる! 今のこれはただの道化だとわかっているんだろう!」
 興奮している症状がいた。
 息は荒く、前を空けたブレザーのワイシャツの下に僅かに下着が見え、平均以上の胸が忙しげに上下していた。だが彼女自身の大量の血が右肩から左胸までの一線からふきだしていることをみると息の荒さからその深刻さや切迫感もわかる。
 彼女は、腰に二重に黒のベルトをし、いくつもの携帯電話のような漆黒の棒状のものを携帯、さらに長い木刀のような漆黒のものを左側の腰につけていた。そして、彼女の左手には日本刀のを一回り大きくしたような刀が握られ、カタカタと揺れている。
「そんな感情はいらないよ蓮桐」
 重い呟き。言葉自体に本当に重力があるようにそれによって周囲の雨粒が減少したように想われた。
 その――彼女の対面。
 数メートル先に男が、立っていた。いや青年だろうか。しかし音質からして成人以上であろうが、その男は明らかに思春期後程度の顔立ちをしていた。身長はかなり高い。その長身を黒いコートに身を包み、息も切れ切れのまま方膝をつく少女をみていた。
「尊びな。そして規律しろよ蓮桐。お前は感情を寄らせすぎだ。『そんなもの』のために、自己犠牲どころか周りを殺戮する気かい?」
 男は感情も気配もなにも感じさせない。この降り注ぐ水さえも気にさえしていない。例え彼によっては降り注ぐものがひょうだろうが、隕石だろうがきにしないだろうが。
 男が静かに一歩踏み出すと、地面の水が避けるように男の革靴から離れた。
「貴様……、なぜ救おうとしない! なぜ……、」
 少女が激しく咳き込み、細い体をくの字に曲げた。
 それを男は無表情で見、そして隣に倒れている人物に目を移した。
「……なにかあったはずだ。必ず救えたと言えるというのに。貴様がやっていることは諦めだ。諦めで救うことが出来るというのか」
 水面に当たる水の量が激しさを増す。地上の月は壊れ、天上の月はその隙間から輝きを見せ始める。
「諦めで発生する救いもある。救いがあるならそれもまた救われるものがいるという事も道理。徐々に霧は晴れ始め、そして視界は鮮明になる」
 一瞬の沈黙。
「『それ』を渡せ蓮桐」
「断る」
「それがお前が言う救いか」
「そうだ」
「ここに、二人しか存命者がいなくともか」
 少女は傍に倒れている男性を一瞬一瞥して立ち上がり、顔に張り付いた髪を乱暴に背中に回し立ち上がる。
「そうだな」
 少女は右腰から漆黒の棒状の物体を取り、刀を一旦ふると柄の部分から同じ物体を地面に落とし、マガジンをリロードするかのように少女はそれを差し込む。
「相容れないな。前もそうだったな。その前も前も前も前も前も前も。お前はそんなにもこの制度とこの空間とこの機関とその自身の信念が嫌いなのか」
「そうかもな」
 男はコートから両腕をだした。刀ではないがやはり漆黒の西洋刀に近い。それを出した途端、男の周囲から雨雫がはじけるように、または男を避けるように流れる。
 しかし、男は初めから濡れてなどいなかった。その範囲を広げただけにすぎない。
「聞き入れないか」
「無理な相談だ」
「……死闘に於いて次席などはない。ただ死か生か。それを分かるなら、分かった上でなら――来い」
 少女が胸に負った大きな傷に顔を顰めながら自然体で左手に刀を構える。その瞬間に少女の体中から水分が蒸発し、胸の傷がより一層開き血が流れ出したように見えた。
 足元と頭上の水も全て蒸発し、下から来る熱気によって少女の髪が風に煽られる様に踊る。
 瞬間、少女の姿が掻き消えると思うと刀で爆発するかのように橋の地面を抉りながら男に接近した。
「フォト! アレ!」
 少女が叫ぶ。空気が異常に振動して一瞬空気中の雨水が水蒸気となった。そしてさらに加速。男の背後に回ると躊躇なく刀を首目掛けて一閃するが。
 鉄とはおもえないほど甲高い金属音が響いた。男は微動だにせずに背中に剣を回しただけで少女の攻撃を凌いでいた。
 少女はすぐに右へ移動しながら蹴りの二連撃を放つが男はやはり移動せず、まるで足自ら逸らすかのように攻撃が全て当たらない。
「……ェイクス」
 少女が呟き、左腰の漆黒の木刀のようなものを男にふると蒸気を発した刀にかわった、が、やはり男は移動すらしない。ゆるりと剣を動かすだけだ。
 少女は男の頭上に前方回転で飛び上がり両剣を振り下ろすが周囲の地面が爆裂するだけで、剣に阻まれる。着地と同時に右薙ぎ払いを放ち、接近、男の右腕を掴み、空いた脇へ刀を刺し込もうとするが、
「……っ」
 刀は男の身体直前と、止まった。
「分からない、か」
「――っ!」
 少女に衝撃が襲った。数えて今日で三度目のありえない衝撃。男が剣の腹で少女のわき腹を無造作に殴りつけただけだというのに、ボキボキと骨が数本折れ込む音が聞こえ、同時にその細い体はまるで鳥のように空中を滑空して橋の高い壁へと激突した。
「っあ、がはっ!」
 少女が呻き、胃の内容物と行き場を失った血を倒れこみながら吐き出す。
 しかしそれに汚れながらも少女は一瞬でその場から掻き消え、次の瞬間には男の目の前に接近、両剣を喉元に突きつけるが、
「――臨界っ!」
 少女がいい、
「そうだ」
 男が答え、少女の両腕を掴んだ。
「ああああっ!」
 神経を殺していたのが再構築を始めたせいか、感覚を取り戻しはじめた少女の折れた右腕から激痛が少女の頭を揺さぶる。
「苦痛も快楽に返られぬか。頭が無ければ、苦痛もない」
 呻く少女をなど見ず、男は攻撃が始まる前からずっと倒れている男を見ていた。
「死闘に於いて次席などはない。ただ死か生か」
 右手で抑えた少女を自分の目の高さまでつるし上げ、左手で剣を構えた。
「さようならだ」
 少女の細い白い首に剣が触れ、めり込む。
「あ、」

 

 

                       *

 

 

 今日も沿岸沿いのこの都市は快晴だった。昨日の雨が上がってからだろうか、今日も気温が上がりそうな陽気だ。また夕方にでも霧が発生するだろうから呼び出しを受けるのだろうかなどとぼんやり考えた。
 海を右目に大きく拡張工事を終えた真新しい専用車線を一台のスクーターが駆けていく。潮風に遊ばれるようにスクーターの主の少女の長い髪が暴れるように後ろに流れていた。
 朝日を左目に、少女はとても楽しそうな顔をしていた。
 直前の大通りとの交差路で一旦とまると、上下から車の群れがつまったレーンが地上の車線に自動的に上昇、下降してきて道路と合致。すぐにラッシュとなる。「あそこ」は地下ともつながっているからこんなへんてこな道路事情なのだろうなと少女はアクセルのグリップを離す。
 それをぼんやりと少女はみながら、家を出るときからかんでるガムを膨らませた。
 前方には巨大な塀、というかダムのような建造物がドンと鎮座していた。自分が生まれる前から計画されていた海上都市の外延部だ。風と塩害や潮や津波から守り、陸上と同等の環境をつくると銘打って今でもその建造が続けられているそれはどう考えても中に住む人たちを外に出さないための堀にしか見えなかった。まだ上腕部の飛行機の列機場や軍の割譲地などの整備が終ってない所は骨組みが丸出しであり、いつだったか友達が「でかいバースデーケーキ」と入っていたのを思い出した。

 東海沿岸の新開発地域に設けられたこのドーム状の建築物はいわゆる自分らを他人から守り、または他人を自分らから守るつまり国境なのだろうと思った。屹立するケーキの外壁はそれは約千メートルもあるのだが。
 もっとも、ケーキよりも砦のほうがかっこいいんだけどな、と少女はガムをかむと、あらかた自動車を吐き出した交差点の青のランプにスクーターを走らせる。
 沿岸部の大都市の湾に丸く突き出したように作られているこの街は合計八つの長い橋で陸上とつながれていた。スイスだかフランスだがよくわからないがどうやら有名な欧米の建築家集団に頼んだらしくレンガ造り古風な橋になっているが、上は上下に別れたアスファルトの自動車道に、下は地下鉄とリニアレーンの貨物専用車線というのはどんなコンビネーションか少女のセンスにも理解できない。
 橋の長さは大よそ二キロで、それを渡ると都市外延部のセキュリティを通る。道路の電光掲示板に「通行証、及び公証許可認定を提出してください」とスクーター、車などの専用レーン上に何個もでていた。
 少女がそのままオレンジのリチウム電池のトンネルを通過しようとすると、自動的にスクーターのエンジンが切れ、おとと、とバランスをとりながら少女がスクーターから降り、車両レーンから自主的に脇によった。
「ちょっと彩夏ちゃん! 昨日通交証切れるって言っておいたでしょう」
 トンネルのような外延部下にある長い詰め所から慌てたように20歳後半ぐらいの女性が出てきた。黒髪に両目が碧眼。黒のパンツスーツの上にカーディガンを着ているのが不釣合いだ。細いメガネに理知的な表情。歩き方からして腰に拳銃を携帯しているのが少女――彩夏にはすぐわかった。
 外延部内――つまり砦の壁の下には赤外線やらX線やらありとあらゆるセキュリティが一日何万と行きかう自動車に設置された装置と連携して自動処理されていた。もちろん彼女のような職員もいるけど。
「あ、有香ちゃんおはようー」
 彩夏が近づいてくる女性にそう言って楽しそうに手を振る。
「おはようじゃないでしょう……。通行不携帯、車両不適格、それに、『服装不適格』」
 有香と呼ばれた女性は綺麗と言っても差し支えない顔を渋面にかえながら脇にもったバインダーをペンでこつこつと叩く。
 彩夏の服装――そう、どう考えてもスクーターに乗るにはふさわしくない「道着」姿だった。しかも下は紺の袴でそれにロングブーツという恰好なのだから目立たないほうがおかしい。
 彼女の容姿は綺麗と言っていい。今笑顔でなぜか道着姿であっても誰もが認めてしまうような……そんな雰囲気があった。髪は長く、ハーフヘルメットからはみ出して後ろの髪は腰まであった。
「えーそうかなあ。結構風通し良くて着心地いいんだよ?」
「いいんだよ? じゃなくてね彩夏ちゃん。毎度毎度そんな恰好でこられると怒られる私なんだから……。第五B-2地区のセキュリティゲート事件、知ってるでしょう? 不審者扱いされて、」
「有香ちゃんとお話したかっただけなのになあ」
 彩夏は腰まである長い、茶色を帯びた髪を揺らしながら道着の胸元からアクリルでパックされたカードを取り出した。
「はい通行証。今日国交省にいったんだけどさ、おじいちゃんがわすれてて。さっき貰ってきた」
「というかどっからだしてんのよ……」
「なに? 私の人肌にキュン、ってきた?」
「バカなこといってないでさっさと学校いきなさい。服装とかは見逃してあげるから、ほら」
 はいはいー、と彩夏は楽しそうに言うとのりずらそうに――当たり前だが――スクーターにのると、
「あとでおじいちゃんが来るかもしれないからよろしくねー」
 一瞬彩夏が曇った表情でいったが直ぐにあきらめたかのような、めんどくさそうな顔になった。
「はいはい、あー、でも、罰として学校まで歩いていくこと。それで違反はみのがしてあげる」
「えー!」
 スクーターにまたがったまま彩夏はトンネル中に反響するような声で不満を言った。


 海上都市内は普通の都市とかわらない。地方の衛星都市を少し大きくしたような物で、中央にはちゃんと行政があり、小さな国のようになっている。先に彩夏が通り過ぎたところは様々なゲートチェックがあり、あんな簡単にやり過ごせるのは「ここの都市で大半の人種の議員だから」だろう。
 中は機能的に都市区画整備がされ、とても海上にあるとは思えないような様相。商業地区に住宅区画。学校は大学まであり、総合病院、図書館、消防、警察、小さいながら発電所まであるのでもし外が戦争にでもなればここは大きな核シュルターにでもなるんではないかと思う。
「どうせなら学校まで行くの認めてくれたっていいのに……」
 彩夏が初夏の街頭をぶつぶついいながら監視員の有香の言いつけ通りにスクーターを歩道上を押してあるいていた。半ヘルはすでに仕舞っている。
 風があたればいいものをこんな陽気で道着ではかなりむしむしする。
 彩夏が律儀にも言われたことを守っているのは理由がある。この都市を行き来する交通車両にはすべて駆動する機械部分に自動で制御できるようになっている為だ。イモビライザーがうんぬんと授業いわれたが彩夏は半分しかきいてはいなかったが。
 今、スクーターのキーを回してもうんともすんともいわないだろう。目的は交通の事故や盗難、などの特に防犯に特化していて、ヘリだろうが戦闘機だろうが、もし中央に体当たりでもしようものなら直前で遠隔爆破するぐらいまでできるのだった。 もちろんこれは自身の兵器方面からの受け売りなのだけども。
「暑いー」
 彩夏が自分の学校の制服に混じり、登校中の学生とサラリーマンなどにみられなることもきにせずに進んでいく。
 途中でバイクレーンを通り過ぎた一台のスクーターが彩夏の横に止まった。
「よー。蓮桐おっはよー。お前何してん?」
 彩夏が横を見る。黒のスクーターにまたがった男の子がいた。ありふれた半そでワイシャツに学校指定のズボンの制服。オレンジ色の登山用リュックに長い棒状のものを方にかけていた。カラフルな半ヘルからは茶髪が覗いている。首からは何かのアクセサリを提げ、右耳に小さなピアスが一つあった。
「おはよう。何って歩いてるのさ」
「どこへ?」
「明日へ」
 あっそ、と男の子が流す。
「どーせまたセキュでひかかったんだろ。好きだねー蓮桐ちゃん、マゾ?」
 そんなこといいながらわざわざ男の子は車両レーンから歩道へと移動してきた。
「そういう高杉は遅かったじゃない。約束どおり大通り前っていったのになー」
 そういって彩夏は口を尖らせ、足元の袴を膝まで捲り上げる。
「時間通りにいったっつーの、ていうかおめえがまたふらふらどっかいっちまうからだろ」
 とはいってもねーと彩夏が袴を腰で固定した。なんだか変なミニスカートのような風貌になったが本人は涼しくなっただけできにしてはいないようだ。
「通行証の更新やんなくちゃいけなくてさー。色々忙しかったんだよーねー? 時間は待ってくれない、ほらいうでしょ『タイムイズ私』」
「いわねーよバカ」
「あー! 今日バカって言われたの二回目ー!」
 高杉と呼ばれた男の子はイライラしたように眉間にしわを寄せながら改めて彩夏の恰好を見る。下から、上まで見て、
「柔道」
「惜しい。弓道」
 全然惜しくねー、と高杉は苦笑しながらスクーターを押しながら彼女と一緒に進む。
「今日は? 法科連のほうに顔出すわけ?」
 彼は体育会系とも思えるがっしりとした体格に似合わない白い肌の腕で髪を書き上げる。
「まあね。おじいちゃんくるし」
「大変だな、お前も。いろんな武術やってんのもいいけど時間ないからってそのままの恰好で朝くるなよマジデ。あとあとのことにさしつかえっからさあ」
 彩夏はふるふると頭を振るうとその碧眼で彼を見る。身長は数センチ彼のほうが高いくらいで彩夏が平均身長以上の身長であるだけだ。
「いいじゃないさー。これも快適なんだよー。あ、でも転んだら死ぬね。残念」
「ていうかなんで下ブーツなんだよ……」
 急にしゃがみこんで彩夏の白く細い膝の目の前で観察するように目を向ける彼に、顔面目掛けて躊躇なく彼女は膝蹴りを叩き込んだ。
「ぶぇっ!」
 しゃっくりとくしゃみを同時にしたような声を高杉は出すと、顔を抑えて呻く。
「ば……おま……」
「ごっめーん。なんだか貞操の危機を感じちゃったから思わず膝がでちゃったー。ていうか人が歩いているときに膝の前に顔を出す高ちゃんが悪いよねぇ」
 いろんなこといいながら高杉が呻いている間に彼の方に背負われている長い棒状の物を手に取る。
 手に取った瞬間、彼女の目つきが一瞬鋭くなった、がすぐに元に戻る。
「高杉ー、これってもしかして頼んでた奴?」
「そうだよ……、おまえが注文したんだろうが、ほれ」
 そういって茶褐色の棒状のものを彩夏に差し出す。彼女はそれをもつとやはり心なしか目つきが鋭くなった。
「新刀を居合刀にしてくれとか、うちもこまったぜまったく」
 そういって袋から出したものは確かに日本刀。一メートルぐらいはあるだろうか。こんな公衆の面前でこんな恰好でこんなものを出すのだからなにかのデモンストレーションととられなくもない。
「長さは?」
「ご要望どおりニ尺三寸に合わせた。重さは刀身が七百七十グラム、鞘なしで九百五十グラム」
 説明を聴きながら彩夏は朝日に刀身を当てて見、
「この柄、少し重いな。茎の部分の比率変えたか?」
「ああ、刀身は刃文にして軽くした分、手元を重くして振りをしたときの威力を増してみたんだ」
 その説明を聞いても彩夏は何も答えず見て、刀を鞘に仕舞う。
「さすがいい仕事してるね高杉。どっちにしろ空間縮するんだからこんなに凝らなくていいものを……」
 さっきまでとは口調が違う彩夏に高杉はどうも、と笑いながら立ち上がる。先ほど膝蹴りをくらった顔面はあざの一つもなかった。彼女が鞘を袋に戻して、そして肩に担いで歩き出したのを青い目でみて苦笑する。
「おまえもその性格なんとかしろよ」
「べっつにー、いいじゃに困らないんだし」
 彩夏はいつもの口調で言った。それよりも、
「今日、あれでしょ? 『外の方から』編入正くるんでしょ。うちの法科」
「ああ、あれ? でも元からくるはずだったんだろあれ。ディス系だったんだから」
「女の子らしいよ。しかも美少女」
 その言葉に高杉は驚きで青い凪いだ目を彩夏に向ける。
「うわ、マジデ?」
「嘘だよこの停学三回野郎」
 彩夏が笑いながら早足で先に行くと高杉はがっくりと肩を落とす。
「わらえねー、それ全然わらえねー」
「ドントマイケル」
「誰だよマイケルって。俺は日本国主義だっつーの」
 肩に置かれた彩夏の手を振り払う。彼女は笑いながらスクーターを押して彼に言う。
「美少女だったらいるじゃなーい、ほら私という名の美少女が」
「お前の名前、私だったんだ、じゃぁ今日から私っていうぜ、おい、私ゲンキデスカ?」
「ま、そんなどうでもいいことはいいから」
 おまえがはじめたんだろ、と高杉が髪をがしがしと掻く。
「それより、その子、うちらのところに来る見たい」
 それをきいて高杉が止まる。
「うちって、法科制圧部? ジオイドにくんの?」
 らしいねー、と彩夏は長い髪を触りながら楽しそうに頷いた。
「うちらの後輩だよ。楽しみだね」
「めんどくせぇだけだよ」
 高杉は交差点を渡って学校の坂を上り始める。
 本当に面倒なのは自分たちのことだけではないんだろうけど、彩夏は思った。
「私たちのやってること、あんまり理解してくれなさそうだけどね。どうせ」
 

 

世界は三つに分かれ、そして二つに分かれている。そんなこの世界で何が分かり合えるというのだろう。

 

 

 

 

 

 

Still I am waiting.

 

 

 

そゆわけで主にC肝炎で入院していました。けど、途中で無痛性甲状腺炎がでてきて、顎関節症がでてちょと精神やんでw中盤からアキレス腱と両肩のいたみでスポーツ禁止。だのいろいろでちゃってなんだかんだで無痛性の確定診断でたのが2月15日でそれからあれやあれやで退院したのが3月31日でしたという。

 

はぁw

 

まぁ入院中に甲状腺炎とかみつかったからなぁ、でもかなり精神やんでたからね。まぁ妥当かなこの期間。

 

で、なんとスマホうちすぎて指の腱鞘炎バネ指になっちゃってww仕事もできていないというああ、暇だ。

 

というわけでとりあえずの日記。あとからまとめますねぇ。小説もテキトーにあげてきます。

vitaで打ってるんでうちにくい。なので手短に。

三ヶ月間サボっていたのはあれですね、病気もあるけど色々あちこちきたっていうか。

主に肝炎と無痛性甲状腺炎の2つで後喉の異物感の燕下障害プラス顎関節症とまあ、いろいろ。

とりあえず体重維持できるようになったんで今週中に退院になりました。てなかんじ。

足のあざえお見るとどこでぶつけたんだろうとか思うけども、普通に座椅子とかこたつはいってるときに長時間組んでうっ血した跡なんだよねぇ。

で、呼吸正常、湿疹回復(要経過)、リンパ若干腫れ?
なぐらいまで回復。うーん、やっぱ副鼻腔からくる鼻水とそれの痰だしの咳、あとステロイドの間違えっつーことで長引いたただのちょっとした湿疹っていう落ちかなぁ。
まぁリンパの腫れは生検とおっておkなんで晴れてるのが普通になったんじゃないとかいわれたけどんー。

あ、なんだか夜中に起きるように戻ってきちゃったどうしようwwww熱も35.7の平熱にもどっちゃったからなぁ。ぶっちゃけ病気してた頃のほうが健康的だったような・・・。うん。

あ、そうそう父の足傷にキズパワーパッドをつかってみたら、なんとまぁ防水だからシャワーですませば風呂はいれるし動けるしで5日はりっぱで今日はがしたらまんま皮膚ができててワロタ。スゲー!傷パワー!って感じでした。まぁ治りかけだから赤いけどね。しかし俺のニキビのときはあんなすんなりいかなかったけれど場所によって違うのだろうか。

とりあえずほうぼうよばれとるんでこれで元気(?)さわいで年越せそう

・・・あー年賀状かいてねぇ・・。

しかしゆゆゆ2期おわったから今度少女終末旅行みてるけど、なんつーかこれ子供の頃に書いた小説ににてるwwwとにかくこれもおもしろいねぇ。同じものではあとはキノかぁ。

とりあえずPCの構成と小説の構成を見直さないといけないorz

 

つってもずっと病気だったけどね!今も病気だけどね!wwww

あーねなーならんのでちゃっちゃと。前の日記なにかいたんか忘れたけどまぁリンパ腫れて3日放置はまずかったねっていう。・・・勉強しなくちゃな。
とりあえず平熱は体のリンパが落ち着いてきたので36.5~.70が35.7~ぐらいにおちついてきた。
背中及びリンパ周辺の湿疹も、まぁおちつてきたのかどうか。とりあえずペニシリン系とステロイドはまずいだろうとドルイマシンつかってるけど治りは遅いのか早いのか。

まーまとめると、咽頭炎→風邪→(急性リンパ節炎)→体温上昇につき腫れ、就寝中の発汗により湿疹→頚梁節リンパ節炎→治り?
1日でなおらねーんだなぁ。なんでだろうなぁ。

そもそも風邪からリンパが腫れるっていうのはあるけどどのタイミングでうつったのかっていうかなんのウィルスだったのかはDKST検査でもしないかぎり不明。まーこんな1ヶ月ちょいなんちゃらやってるのは諸症状がつづきまくったとしかいいようがないというか、経度すぎて処置がおくれたっていうか

いや、2週間とかぐらい普通だとっていう医療機関の概念が(ry

まぁ、すぎたことはどうでもいいんすが・・・うん・・いいのかなぁ。このままおちつければ15日には回復?石橋たたくなら15日に耳鼻科いってみてもらって大丈夫だよ太鼓判もらって年末ヒャハーしたい。したいなぁ。
あとはリンパの腫れだけど、ふーん。今回のこれ、もっとちじめて治療できなかったものか。

うーん、ってこと考えながらアニメみて仕事してますたまんま闘病日記だなぁ。

とりあえず治療費にけっこうでていったんで冬コミは(ry