映画「コレット」と女性作家・芸術家を描いた映画 | la petite chambre

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昨年秋は個展でバタバタしていて、アップするタイミングを逃したので、

今更ですが、遅ればせながら昨年11月のカレンダーと関連映画について。

 

フランスの作家、シドニー=ガブリエル・コレットの伝記映画「コレット」

でコレットを演じた、キーラ・ナイトレイを11月のデザインにしました。


斜めに冠る麦わら帽が可愛く印象的で、映画で何度か登場しました。

女性が自分の名前で作品を発表するのが難しかった時代背景、

コレットの奔放な恋愛や人生について描かれ、ファッションの推移も

楽しめる映画でした。

18世紀後半の旧時代のフェミニンな年代ドレスから、パンツスーツの

メンズライクなファッションなど、ジャンル豊富な衣装も見応えあり。

欲を言えば、キーラ・ナイトレイでも良かったけど、フランス人作家なら

フランス人の魅力的な女優もたくさんいるのに勿体ないな〜と思いました。

 

 

 

コレットより無名だけど、個性的なフランス人女性作家として知られる

「ヴィオレット」の伝記映画も(以前こちらでも少し書きました)

波乱万丈な生き方が泥臭く、興味深い作品でした。

コレットの華やかな衣装より地味だけど、ヴィオレットの衣装も好みで、

庶民的な可愛さがあり、こじんまりした部屋も可愛くて好きでした。

他人への依存が強く、メンタルが弱くてダメな面が多いヴィオレットの

人物像にも共感しました。

 

ヴィオレットの隠れた才能を見出し、彼女の作家活動に大きな影響を与えた

シモーヌ・ド・ボーヴォワールも登場します。

自己肯定感の低いヴィオレットと対照的に、凛としたクールビューティーで、

洗練されたシックな装いも魅力的です。

マデリーン・フォンテーヌという衣装デザイナーが衣装を担当し、

「イヴ・サンローラン」や「カミーユ、恋はふたたび」などのフランス映画、

ジャクリーヌ・ケネディの伝記映画「ジャッキー」などのスタイリングも

印象的でした。

 

 

ボーヴォワールとサルトルの愛憎劇を描いた映画「サルトルとボーヴォワール、

哲学と愛」という映画もありました。

「ヴィオレット」では、サンドリーヌ・キベルランがボーヴォワールを演じ、

こちらではアナ・ムグラリスが演じています。

 

 

「コレット」も「ヴィオレット」もそれぞれ興味深いファッションで、

シネマファッションイラストで紹介したい題材です。

ちなみに、アナ・ムグラリスがココ・シャネルを演じた「シャネルと

ストラヴィンスキー」のシャネルのファッションもシックで素敵でした。

 

 

「ヴィオレット」では、情緒不安でメンタルが弱く、他者依存で感情的な

主人公を演じたエマニュエル・ドゥボスが、最近の主演作「パリの調香師 

しあわせの香りを探して」では、完璧主義で自尊心が強く、他人を信用せず

感情が少ない調香師を演じ、孤独という意味では共通していましたが、

性格的に全く違うキャラクターで面白かったです。

 

 

 

女性が自由に作品を発表出来なかった時代の作家や芸術家を描いた近作の

伝記映画として、文学界では「若草物語」の著者ルイーズ・メイ・オルコット

の自伝的小説の映画化リメイク「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」、

「フランケンシュタイン」小説の生みの親、メアリー・シェリーの伝記映画

「メアリーの総て」も女性名で作品を公表する難しさを描いていました。

 

 

 

女性芸術家では、ロダンの助手で愛人、才能がありながら精神を煩い、

不遇な人生を送った、女性彫刻家の伝記映画「カミーユ・クローデル」、

実在の人物の伝記ではないけれど、当時の女性画家の地位を表現した

「燃ゆる女の肖像」など。

狂った女を演じたら魅力増しなイザベル・アジャーニがカミーユを怪演し 

(宿敵イザベル・ユペール様もヤバい女役の怪演多い…)、彼女の美しさに

釘付けでした。

「燃ゆる女の肖像」は劇場鑑賞時より、レンタルで見直してからの方が

心に残りました。

 

 

 

 

ベル・エポックのパリを舞台にしたアニメーション作品「ディリリと時間旅行」

「ミッドナイト・イン・パリ」のごとく、上述のコレットやカミーユ・

クローデル、ロダンをはじめ、当時のパリを賑わせた数々のセレブリティが

コミカルに登場し、美しい映像を楽しめる作品です。

ミッシェル・オスロ監督作品は、映像美が特徴的で「アズールとアスマール」

も西洋とイスラム文化が融合された幻想的な作品です。