LARME 041号 連載シネマ32. グッバイ・ゴダール! | la petite chambre

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掲載誌のお知らせ。

発売中の LARME 041号 シネマページで「グッバイ・ゴダール!」について描きました。

 

LARME 041号 cinema fashion room vol.32  グッバイ・ゴダール!/ Le Redoutable

 

アンヌ・ヴィアゼムスキーとゴダールとの結婚生活から別離までが描かれ、

原作はアンヌの小説「それからの彼女」。

以前少しその辺りについても書いたので、よろしければこちらを⇒

 

赤・青・黄のゴダールカラーやゴダール映画を意識してオマージュした映像。

1968年のパリ、五月革命の時代で、ゴダールが商業映画終了宣言し、

より難解な作風となり始めた頃についての話だけど、中身はシニカルな

笑いが散りばめられたポップな作品。

嫉妬深くて面倒臭いゴダールがコミカルに描かれた恋愛映画で、

アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督らしく、

笑いと哀愁がミックスされていて、ゴダール映画を敬遠する人でも

楽しめると思います。

バカンスファッションも可愛くて、サマームービーとしてもオススメ。

スレンダーで衣装映えするステイシー・マーティンの可愛さに終始釘付け。

 

アンヌとゴダールを演じたのが美男美女の好きなキャストで、

ルイ・ガレルは美貌を消してゴダールに扮し、一方でステイシー・

マーティンはアンヌには似ていないな、と思ったら敢えてそうしたらしい。

ボブヘアのルックスは「男性・女性」の時のシャンタル・ゴヤの雰囲気、

顔やスレンダーなルックスは若い頃のジェーン・バーキン似。

ちなみに、ラース・フォン・トリアーの「ニンフォマニアック」で

(ジェーンの娘)シャルロットの若い時代は演じていたステイシーは、

シャルロットには似てませんでした。。

 

ステイシーは「グッバイ・ゴダール!」でヌードシーンがあったけど、

「ニンフォマニアック」ではヌード&かなりきわどいシーン(本番は

ボディダブルだったらしい)が多かったので、本作では衝撃的ではなく

美しいアートヌードっぽい感じでした。

ガレルのフルヌードもあったけど、こちらはかなりコミカルな内容で、

アンヌが有名監督からの電話で、ヌードのある映画出演のオファーを

受けるシーンがあり、嫉妬したゴダールが「裸で出るなんてロクな映画

じゃない、断れ!」(のような内容だったと思う)と怒っていたのが、

2人共全裸で(映画に出ていて)会話内容と矛盾したコントのようで

可笑しかった。

 

南仏からパリに戻る道中、大人数で相乗りした狭い車内で理屈こねて

論破し合う大ゲンカのシーン(自己主張の強いゴダールとアンヌの友人)

が、フランスの国民性を自虐的に投影してるようで爆笑。

ゴダールのメガネが何度も壊れるドタバタコメディもあり。

ゴダールへのリスペクトがある前提だと思うけど、彼が度々色んな人と

揉めたり毒づいてるエピソードやイジってる感じが多々あって、

ラストのエピソード以外は基本的に笑えるシーンが多いです。

実話ベースとは言え、元妻(アンヌ)側の視点の原作なのでフィクションも

入ってると思いますが。

 

ゴダールと親交のあったベルナルド・ベルトルッチ監督が、口論して

決別するシーンがあったけど、「はなればなれに」で3人がルーブル

美術館でかけっこする名シーンを、後年にベルトリッチの「ドリーマーズ

で主演の3人(エヴァ・グリーン、ルイ・ガレル、マイケル・ピット)が

再現したオマージュシーンは、その後ゴダールと和解したのか、

和解ないままゴダールへのリスペクトとしてのオマージュだったのか、

気になりました。

 

 

「ドリーマーズ」はルイ・ガレルの知名度を上げた初期作品で、

「グッバイ・ゴダール!」と同じく、68年の五月革命で政治運動に

傾倒する若者の話でした。
ルイ・ガレルは「美しいひと」を見て以来ハマった好きな俳優ですが、

それ以前に見ていた「ドリーマーズ」は、エヴァ・グリーンとマイケル・

ピットの印象が強く、当時ルイにはまったく魅力を感じなかったので、

「美しいひと」でルイ・ガレルの色気に驚きました。

「ドリーマーズ」はかなり前に見て、エロティックでスキャンダラスな

作品という印象以外に記憶が薄いので、再鑑賞してみたくなりました。

 

アンヌ・ヴィアゼムスキーが主演、フィリップ・ガレル(ルイの父)

監督作「秘密の子供」も昔見たものの、モノクロで淡々として眠くて

内容も主演のアンヌのことも全然覚えてない…。

ルイが出演したフィリップ・ガレル作品も多いので見てみたいけれど、

昔ほぼ睡魔に負けた記憶から(「内なる傷跡」も多分見た記憶あり)

チャレンジする気に至らず。。

 

ルイの妻レティシア・カスタが「ゲンスブールと女たち」でBBに扮し、

ルイが本作でゴダールを演じ、それぞれ別の映画で50-60sのレジェンド、

ゴダールとBBを演じたのも興味深いです。

夫妻が結ばれたきっかけとなった共演作「L'homme fidele」(リリー=

ローズ・デップ共演)日本で公開されたら見たいな〜

レティシアが再婚なのは知ってたけど、ルイ・ガレルも再婚でしかも

前妻がゴルシフテ・ファラハニだったことにダブル・ビックリ!

どちらもタイプの異なる美女。

 

ルイ・ガレル(父が映画監督、妻が女優、妹が女優)、

アンヌ・ヴィアゼムスキー(祖父が著名作家、元夫が有名監督)、

シャルロット・ゲンスブール(父が音楽家、母が女優・歌手、

夫が俳優・映画監督、姉がフォトグラファー、妹がモデル・歌手・女優)、

エヴァ・グリーン(伯母が女優)…と、この記事内の登場人物だけでも、

欧米では(ここで挙げたのは主に欧州)同業や著名人の二世・三世や

親族の芸能人が多く、それに対してあまり批判的な意見を聞かないです。

日本でも二世芸能人・著名人が多いですが、偏見や批判が多いのは

残念だなと思います。。

親のコネで得たスタート地点はアドヴァンテージになるけど、その分

期待値やハードルも高くなり、逆に色眼鏡で見られたり批判も多く、

0からスタートより悩みもあるのも大変なのではないでしょうか。

 

ところで、ゴダールとウディ・アレンって共通点が多く似てますよね。

ゴダールの方が少し年上だけど割と年齢も近い。

メガネで薄毛のコンプレックスなルックス、理屈っぽく自虐的、

インテリで才能のある映画監督、かなり年下の女好きな点など。。

作風は違えど、どちらも哲学的で陽ではないところも含め。

若い頃のルックスはまさに似てたのに、近影はかなり違いますが…

昔、ゴダールの「リア王」にウディが出演してたので見たことあるけど、

(ウディ以外にも、ピーター・セラーズ、モリー・リングウォルド、

ジュリー・デルピー、レオス・カラックスなど豪華キャスト。内容は

やはり全然覚えてない…)ドキュメンタリー短編(ウディ・アレン会見
があったのは知らなかった。

 


LARME 041号のカバーガールは、山本舞香ちゃん。

結構前から本誌でもモデルをされてるけど、今回は本誌初カバー。

普段は黒ばかり着てるらしいクール系美女だけど、本誌で見せる

甘系コーデもキュート♡

渡辺美優紀さんの特別カバーバージョンもあるそうです。

 

次号は、9月17日の発売予定です。

シネマイラストは、珍しく80年代(90年代寄り)の人気作品を

描きました。お楽しみに!