『ジョ-ジとドラゴン』の伝説と、正義感の自己中心性。 a | barsoのブログ

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今回は、西方の英雄伝説とその絵画ですが、まずはジョークからどーぞ。

 

 18世紀のイギリス。  

 疲れて腹をすかせた旅人が『ジョ-ジとドラゴン』の看板のある旅籠に

たどりついた。  

 ドアをノックすると旅館の持ち主の妻が窓から顔を出した。

「食べ物をくれませんか?」  

 女は男の粗末で薄汚れた服装を見て、「ダメ」と叫んだ。 

「では、ビール一杯だけでも」 

「ダメ!」 「じゃあ、せめてトイレでも」 

「ダメよ」 「ええと・・・・」

「ダメよ。今度は何よ?」 

「あのう、ジョージの方と話させてもらえませんか?」

 

         kikwc.jpg           

                                        ※看板とは無関係の参考画像です。 

  

 (海外のジョークと訳文も面白い『夏への扉』の「ドラゴン」2015/07/06より

 

ジョージ(George)とは聖ゲオルギオスの英語名で、イングランドなどの守護聖人。 

邪悪なドラゴン(竜)を退治して人々を救った話は、西方では有名な英雄伝説です。 

 

この旅人は、その守護聖人の名を出したのですが、ご加護にはあずかれずでした。

 

 

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絵画に多く描かれた『ゲオルギオス(ジョ-ジ)とドラゴン』の伝説。 

ゲオルギオスが殉教死した4月23日(正教圏では5月6日)は、キリスト教の聖名祝 

日で、15世紀から18世紀終わりまではクリスマスに比肩する祝日だったそうです。  

 

 以下の絵はすべて『聖ゲオルギオスとドラゴン』を描いたものです。  aeUBAR.jpg  

 パオロ・ウッチェロ (1456頃) 

 

《伝説のあらすじ》 

ゲオルギオスは3世紀後半のローマ帝国の兵士。出身は現トルコのカッパドキア 

だったが、その首府付近に、人に害をするドラゴンがいた。人々は毎日、2匹の 

羊を捧げていたが、羊を出し尽くしたので、人間をいけにえに出すことになった。 

くじ引きで王の娘が当たった。そこに通りかかったゲオルギオスが槍でドラゴン 

に刺して倒し、姫の帯で町まで引っ張ってきて、人々に「お前たちがキリスト教 

徒になれば、このドラゴンを殺そう」と言ったら、異教徒の住民がみな改宗した。 

 

 

 edwaqd.jpg  

   エドワード・バーン=ジョーンズ (1866) 

 

 

後にゲオルギオス自身は、キリスト教徒を嫌う異教徒の王に拷問されて改宗を迫 

られるが、断ったために斬首され、殉教者としてヒーロー的な守護聖人となった。 

彼は、他者には改宗を迫ったが、自分が改宗させられるのは死より嫌だったのだ。

 

 

    sante60.jpg  

      ラファエロ・サンティ(1505-1506)       

 

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さて、人が命より大事にしているものは、なんでしょう? 

愛ですか、名誉ですか、忠誠ですか、それとも子供、配偶者、親ですか? 

走れメロスさんは、友情か責任感か、身勝手な自己陶酔のようでしたが。 

 

まあ、いろいろあるでしょうが、一番は正義感ではないですか。

正義のためには、喜んで命を捨てる人がいますから。 

 

 

     lgp09.jpg  

       ピーテル・パウル・ルーベンス (1606 - 1610) 

 

 

ゲオルギオスは宗教的な正義感ゆえに殉教の死を遂げ、聖人とされましたが、 

信じてない神を押し付けられた町民たちは、彼を聖人と思ったでしょうか。 

 

ドラゴンの脅威から救われたときは、大喜びした人もいたでしょうが、 

自分の信仰を棄てるのは死よりつらい、と悩み苦しんだ人もいたはずです。 

 

 

     Stgeorge-dragon.jpg 

      ギュスターヴ・モロー (1889) 

 

 

人生の道で出遭うドラゴンは、自分で解くべき課題と思うほうがいいでしょう。

 逃げよう避けようとしていると、実地試験放棄、採点ゼロとなり、情けないだけ。 

でも頑張って立ち向かえば、自分の人間性の幅を確実に拡げられます。 

 

絵の中のドラゴンは意外に小さくて、自分でも勝てそうだと思わなかったですか。 

もう耐えられないと思えても、大丈夫。逃れ道が必ずあると聖書が言ってます。 

 

難題はしっかり体験して、クリアーすることです。

そうすれば、自分の人生劇の英雄になれますよ。 

 

            giieor5.jpg  

 

リーさんも『燃えよドラゴン!(笑)』とか言ってますし。(←空白部をドラッグ) 

 

 

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●伝説の竜(ドラゴン)は西洋では悪的怪獣扱いされ、龍は東洋では神的霊獣扱いされています。

 

※聖書コリント第一10:13 「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます」 

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