ホウボゥと雨とアスファルト -3ページ目

戒め

ホウボゥと雨とアスファルト(第34回)


昨日友達のT氏と久々に遊びました。

バディホリーの「レイン・イン・マイ・ハ―ト」が流れる車の中でT氏が僕にこう言いました。


「戒めの為に頭剃ってん」


T氏の頭はモヒカンになっていました。


なにやら不甲斐ないライブをした「戒め」だそうです。


が、会うたびに赤、緑、金色と、髪の毛を変化させているT氏の表情は


モヒカンのこの日


とても幸せそうでした。







今日もアスファルトは濡れている

サヨナラNYC(3)

ホウボゥと雨とアスファルト(第33回)


「久し振り!おれの事覚えてる!?」

「あぁもちろんだよ。いつもなにも買わないで出ていってたからね」


デイヴはアメリカ人特有のユーモアのセンスで僕を笑わせようとしてきた。
自分も気の効いたアメリカンジョークを返そうとしたが、苦笑いしか返せなかった。


「なぁデイヴ、ニューヨークのロケンロールは死んだん?」

「あぁニューヨークは毎日新しものが生まれては死んでいくからね。少し前までラップも流行ったけど、それももう時代遅れだよ。ここではもうロケンロールは古すぎるかもしれないな。」


デイヴの店は町外れの小さな楽器屋で、イギ―ポップの直筆サイン入りギターなんかを店の看板商品にしている。つまりニューヨークではガチガチの保守派だ。

久し振りに来た店内の様子に目をやると、1年前にあった商品たちはほぼそのままで、つい昨日に来たかのように何も変化がない。

デイヴには失礼だけれどもめちゃくちゃ暇な店だ。


「じゃあアメリカで生きたロケンロールな街はどこなん?」


「そうだな、やっぱり南はまだまだロケンロールが生きてると思うよ。メンフィスなんかはやっぱりエルヴィスが……」


そうか、メンフィスか…そういえばギターウルフは最初のレコードをメンフィスのレコード屋から出してたな…


「ありがとう!!」


皮肉を言われそうなので、エルヴィスのブロマイドを買って店をでた。



昨夜、あまりの疲労で限界を迎えていた僕達はキャロルに電話をかけ、一晩泊めてさせてもらった。暑いシャワーとフカフカの毛布は最高や。

キャロルは、前にも書いたホームステイの時お世話になったおばちゃんで、小学生に科学を教える先生だ。暖かく迎えてくれた。

地下鉄のゴキブリを連れてきているかもしれないマルには外で留守番をしてもらい、キャロルにNYでの今までの話をして眠りについた。

そして次の日にデイヴの店に行ったのだ。


キャロルにパソコンをかしてもらいインタ―ネットで「ギターウルフ」「メンフィス」と打ちこんだところ…


「GONER RECORDS Memphis」

とでてきた。

これや…!!なになに…

なんと2週間後にこのレコード屋主催のフェスティバルが開催されるとゆう…


オオ マイ ゴッド
いや、
オオ マイ ブッダ


行くしかないやろ!?




「NY。色々あったけどやっぱつらかったなぁ~…」


キャロルの家の前にはバスケットコ―トのある大きい公園があり、そこのベンチに座り、タバコを吹かしながらバスケットゴ―ルを眺めていると。


曲が浮かんできた。
そしてキャロルにはこれをお別れの言葉の代わりにした。

「NYC」


I was walking around NYC
I was asking around NYC

I finally found a place to play
They finally shout. Stop to play


I was sitting around NYC
I was sleeping around NYC

Dave said rock and roll was born in south

So,tommorow I'll take a Grayhound out

I'll take a Grayhound down south


僕はこの「NYC」をグレイハウンドバスの曇った窓ガラスから見える、一番星を眺めながら口ずさみ眠りについた。


サンキュー、キャロル!

サヨナラNYC!!


バスは南のロケンロールシティ、メンフィスに向かい爆走中。僕達を乗せて。



今日もアスファルトは濡れている



サヨナラNYC(2)

ホウボゥと雨とアスファルト(第33回)


曇った窓ガラスから見えるマンハッタンの夜景ははとてもキレイに光り輝いていて、なんか懐かしく見えた。

ビルの窓はそれぞれが光を放ち、キラキラしているし、

ひときわ存在感を放つエンパイア―ステイトビルディングのてっぺんはこの夜景のシンボルで、願いをかける一番星のようだ。

子供の頃に飾りつけたクリスマスツリーを思い出す。


今グレイハウンドバスはロケンロールの生まれ故郷メンフィスに向かい爆走中。僕達を乗せて。




20、30人程の観客の前でピアノを弾き終えた男の人がステージを降りて僕達は準備を始めた。
この日センセイは来ていなかったけど、言っていた通りドラムセットを用意してくれていた。


が、ハイハットや、シンバルを止めるネジなんかはなかったりする。まぁ贅沢は言うてられん。


そしてやはり。とゆうか予想通りギターアンプはない。PAシステムにつないだ。想定範囲内だ。

レッドスニーカーズ、アメリカ初の「本当の」ライブが始まった。


我慢して我慢して貯めた、小銭いっぱいの貯金箱を叩き割る少年のように、無我夢中でギターのストリングスを叩く!!


「ヘイ!ちょっと待て!!」


3曲を終えたところでPAの兄ちゃんから声がかかった。


「頼むからボリュームを絞らせてくれないか?ドラムももっと優しく叩いてくれ」


じいちゃんの肩叩きに来たんちゃうねーん


こっちもマジやし、今までのうっぷんもある。


もちろん何回か断ってみたけど、もしこのまま続けるなら電源を落とさないといけないと言う。

なにやら上の住人が、うるさいから警察に通報する!と言ってるらしい。

「分かった…」

と言って、また思い切りやった。


ギターの音、マイクを通ってスピーカーから出ている自分の声がどんどん小さくなっていく。


「すまんけど、ほんま頼む…」


20から30人くらいいた観客は、気付けば3、4人になっていた。


諦めきれずその足で山本くんとブルックリンまで行ってみたが、ニューヨ―クを歩くにはもう、ずいぶん疲れた…


CBGBが無くなったときにニューヨ―クのパンクロックは死んだ。


もうここに用はないと強く思った。



続く…