サヨナラNYC(2) | ホウボゥと雨とアスファルト

サヨナラNYC(2)

ホウボゥと雨とアスファルト(第33回)


曇った窓ガラスから見えるマンハッタンの夜景ははとてもキレイに光り輝いていて、なんか懐かしく見えた。

ビルの窓はそれぞれが光を放ち、キラキラしているし、

ひときわ存在感を放つエンパイア―ステイトビルディングのてっぺんはこの夜景のシンボルで、願いをかける一番星のようだ。

子供の頃に飾りつけたクリスマスツリーを思い出す。


今グレイハウンドバスはロケンロールの生まれ故郷メンフィスに向かい爆走中。僕達を乗せて。




20、30人程の観客の前でピアノを弾き終えた男の人がステージを降りて僕達は準備を始めた。
この日センセイは来ていなかったけど、言っていた通りドラムセットを用意してくれていた。


が、ハイハットや、シンバルを止めるネジなんかはなかったりする。まぁ贅沢は言うてられん。


そしてやはり。とゆうか予想通りギターアンプはない。PAシステムにつないだ。想定範囲内だ。

レッドスニーカーズ、アメリカ初の「本当の」ライブが始まった。


我慢して我慢して貯めた、小銭いっぱいの貯金箱を叩き割る少年のように、無我夢中でギターのストリングスを叩く!!


「ヘイ!ちょっと待て!!」


3曲を終えたところでPAの兄ちゃんから声がかかった。


「頼むからボリュームを絞らせてくれないか?ドラムももっと優しく叩いてくれ」


じいちゃんの肩叩きに来たんちゃうねーん


こっちもマジやし、今までのうっぷんもある。


もちろん何回か断ってみたけど、もしこのまま続けるなら電源を落とさないといけないと言う。

なにやら上の住人が、うるさいから警察に通報する!と言ってるらしい。

「分かった…」

と言って、また思い切りやった。


ギターの音、マイクを通ってスピーカーから出ている自分の声がどんどん小さくなっていく。


「すまんけど、ほんま頼む…」


20から30人くらいいた観客は、気付けば3、4人になっていた。


諦めきれずその足で山本くんとブルックリンまで行ってみたが、ニューヨ―クを歩くにはもう、ずいぶん疲れた…


CBGBが無くなったときにニューヨ―クのパンクロックは死んだ。


もうここに用はないと強く思った。



続く…