最初にテレビの調子がおかしくなったのは、この間の台風が吹き荒れていた頃だ。もうかれこれ20年とか(え?10年くらいかな?)頑張ってる屋外アンテナが強風にあおられてあちゃら向いてしまったのだろうとすぐわかった。雨が止んだある日を見計らって、姉に手伝ってもらって屋根に登った。つなぎ目が相当さびついてイカレテおり、「あぁこりゃぁ・・・台風が完全に去ったらつなぎ目の部品は交換せんといかんなぁ」と思った。なにしろ、手で握って簡単に回るんだから、受信状態も安定しない。
案の定、そのあとまたぞろ風が吹いたらテレビにノイズが入り始め、その心配は的中した。
「台風が完全に去ったら付け替えるけん、少しの間我慢しとき」
家族にはそう言ってやり過ごす。そうしたらその翌日、風はまだ強かったけどもテレビがやたらとクリアーになり、「おぉ!いい方に向いてくれた!よかったよかった」と胸をなでおろしたものだ。
しかし。
更にその翌日、「この女優は誰だ?」と、その人がわからないくらいにひどいのだ。
あぁやっぱりダメだ。
しかしこの作業、屋根に登るのもそう簡単ではない。前回はちょうど姉の手が空いてて僕も元気だったし、ハシゴをえっこら抱えて屋根に上がる事が出来たけど、簡単ではないのだ。なにしろ裏の小山からハシゴを掛けなければならず、そのハシゴも2段のヤツでやたらに重い。もっと軽いのもあるけどこれでないと屋根に届かないからだ。こういうのは二人作業でないと危ないし、実際無理なのだ。
で、果たしてどんな状況なのか現物を確認しようとしたら、既に物干し場の屋根にアンテナらしき影が映っているではないか。
あ・・・。
アンテナ君は支柱からぶっちぎれてそこに横たわっておりました。映らないはずだよね。
これで、工具で締める程度ではかなわず、部品を買ってくる必要に迫られた。そうしてほぼ3日が過ぎた。
「はよ直してよぉ」の突き上げを食らいつつ、僕自身も我慢してたんだぞの言葉はぐっと飲み込み、きのう部品を買ってきました。というより、もう支柱から付け替えた方が安心だという事で、新品のアンテナを買ってきてつけた。
これがもう大変です。
天気はいいから雨で滑るとかはないけど、暑いの何のって。しかも電動ドライバが壊れてて使えず、僕は仕方ないので手で回す。付け替える為には古いものを全部まず外す必要があるけれども、さび付いててネジは回らない、ねじ山は既に潰れててない、屋根の上の作業はかなりきつい。もう汗だく。更に、作業する場所は物干し場の屋根になるけど、そこも老朽化が進んでいて屋根が極めて落ちそう(トタン屋根を破りそう)だ。だから踏ん張る時にあまり足元に体重をかけないよう、また左右のバランスを偏らせないよう注意を払いながら。支柱にはご丁寧に10本ものネジくぎが打ち込んであり、それを外すのはもう極めてきつい。支柱の支えにはパイプ穴が組み込んである為手前が曲がっており、ドライバを回す手が引っ掛かる。斜めに回してうっかり(さび付きまくっている)ねじ山を潰したらあとのまつりだから、注意深く少しずつ回す。汗だくだ。もう8月も終わりといえども空にはぎらぎらと太陽が照りつけ、そこらじゅう熱くて触れないから僕は仁王立ちのまま。不安定な足場で寄りかかる場所も無く、えっこらえっこらやりましたよ、もう。
更に、同軸ケーブルと呼ばれるアンテナにつなぐケーブル。ニッパーを持ってき損なったのでペンチに付いてる簡易切断箇所で作業していたけど、ケーブルが老朽化しているせいか、やっとこさ外皮を剥いたのに付けようとしたらポロンと折れるのだ。3度折れた!4度目にやっとつける事が出来て、取り付けようとしたらすんでのところでケーブルが届かない長さに短くなっており、肝を冷やしたね。ぎりぎり届いた。よかった。
おかげでテレビはクリアーになりました。
で、ハシゴを降りる時、くらっとしました。頭にぐわんぐわんと鈍痛が襲い、胸がどきどきした。「あぁ、俺は熱中症で死ぬな。そうか、これが熱中症か。正確にはその一歩手前だけど」という状態になりました。死ななくてよかった。
あと、右手の人差し指と中指の二本に水ぶくれが出来ました。ドライバと格闘した名残ですな。お店で気づいたけど、両足がガクガクのくたくたになっております。
この手の作業は、いつも父がやってくれていたもの。
ひとつの家族を支えるというのは、何かと大変です。


